年に一度の繁忙期に入りました。
もし空室をいくつか抱えておいででしたら、その部屋は遅くとも3月初めまでに決めたいものですね。
今回は「繁忙期の空室対策」についてお届けします。
空室に入居申込みをいただくためには、まず「お部屋を見てもらう」ための工夫が大事です。
多くのお客様にお部屋を見てもらうために何をすべきでしょうか。
3つのチェックポイントを説明いたします。
1.インターネットで掲載状況を確認
この情報誌をお読みのオーナー様のことを「オーナー」と呼ばさせていただきます。
まず、オーナーの物件がどのようにネット上に登録されているかチェックしてください。
方法は、オーナーが部屋を探すお客様になったつもりでネット検索をします。
(お子さんやお孫さんに手伝ってもらってもいいですね)
たとえばオーナーの物件が「駅から10分、1LDK、家賃6万円、エアコン・オートロックつき」だった場合は、グーグルなどで、「〇〇駅 1LDK エアコン オートロック」と入力して検索してみます。
このような方法でカンタンにオーナーの物件に辿りつけるほど、登録状況は良好、ということになります。
ひとつのサイト(ホームページのこと)だけでなく、多くのサイトに掲載されているのが見つかれば「さらに良い」ということです。
もし見つけるのに苦労するようなら、ちょっと注意が必要かもしれません。
つぎに、詳細ページに表示されている写真や間取図をチェックします。
写真の数は多ければ多いほどいいです。
部屋を探しているお客様は、ネットから出来るだけ多くの情報を得たいと考えているからです。
サイトによっては20枚くらい掲載できるところもあります。
外観やエントランスや各部屋と設備のほかに周辺施設の写真などが載っていると、お客様は注目してくれます。
もし掲載されている写真が少なかったり満足できない写真なら、オーナーが撮影して、募集を依頼している業者に届けてあげたらいかがでしょう。
間取図も、見やすく間違いなく作成されているか、方位は入っているかなど確認します。
もうひとつ大事なのが設備についての記述です。
オーナーの物件に設置されている設備がもれなく掲載されているかどうか。
特に重要な設備が漏れていると、その設備を希望しいるお客様の検索結果に表示されないという機会損失が起こります。
オーナーが募集依頼をしていない不動産会社がオーナーの物件を掲載している場合もあるでしょう。
これは、オーナーが依頼した業者さん(元付といいます)の了解を得て、近隣の不動産会社(この場合は客付といいます)が掲載しているケースでしょう。
これはいいことだと思います。
なるべく多くの不動産会社がオーナーの物件を宣伝してくれている、という状態は望ましいですね。
とにかく今のお客様は、インターネットで物件を篩(ふるい)にかけてしまいます。
ここで選ばれないと部屋を見てもらえません。
同じような条件のライバル物件よりも、オーナーの物件が早く「見つけてもらえる」ようになっているかが重要です。
そのために「より多くの」サイトに掲載してもらいたいのです。
そして、見てもらえたとしても選んでもらえるように掲載されているかが次の課題です。
そのために、写真や間取図などの「質の高さ」が大切なのです。
オーナー自らチェックしてみてください。
2.近隣業者の募集の協力体制を確認
お部屋を見てもらうために次に重要なのは、不動産会社がお客様に紹介してくれるかどうかです。
部屋を探しているお客様に「どの物件」を紹介するかを決めるのは不動産会社のスタッフだからです。
もちろん、オーナーが募集依頼している会社のスタッフが最優先で紹介するのは当たり前ですね。
その他の近隣の不動産会社が、オーナーの物件を選んで紹介し、そして案内まで繋げてくれるかがポイントになります。
出来れば案内だけでなく真剣にオーナーの物件を勧めてほしいのです。
そのためには、オーナーが依頼している元付(もとづけ)の業者さんが、どのように近隣業者に客付(きゃくづけ)のお願いをしているのかが「カギ」となります。
最近では「ほとんど」見られなくなりましたが、以前はオーナーから募集を依頼された業者が物件を公開せずに、手数料を独り占めするということもありましたので、ちょっと注意が必要なのです。
もうひとつは、物件を紹介してくれる不動産会社にインセンティブ(お礼・報奨)を与えることです。
一般的にはオーナーが負担する「広告料」と呼ばれている成果報酬が、客付けしてくれた業者に渡るケースも増えていますね。
こうなれば多くの業者が積極的に紹介してくれるでしょう。
近隣不動産会社の多くが、オーナーの物件をお客様に紹介してもらえる状況は、オーナーにとって心強いでしょう。
3.物件の訴求力
インターネットで見つけやすくなっていても、不動産会社が窓口で紹介してくれたとしても、最後はやはり物件がお客様に訴える部分があることが重要になります。
物件の訴求力が乏しいと、せっかく紹介しても案内まで繋がらないこともありますから。
訴求力とは、築年数や設備や立地ばかりではありません。
築年数が古くても、設備がなくても、駅から遠くても、募集条件を含めた全体のバランスが良ければ、お客様に選んでもらえます。
「フリーレント」や「家具付き」や「選べる」などの条件が注目されることもあります。
お客様から「ちょっと見てみたいな」と思ってもらえる部分があると、案内に繋がりやすいのです。
<入居を決めてもらうために>
お部屋を見ていただいたら、つぎは「決めてもらえる工夫」が必要になります。
5組に見ていただいても10組を案内しても決まらないとしたら、物件の状態に「なにか」原因があるのかもしれません。
決めてもらうための、3つのチェックポイントを説明いたしましょう。
1.外観から部屋の入口までで勝負が決する
物件に案内されたお客様は、まず外観を見ます。
つぎにエントランスを抜け通路を通って部屋に至ります。
その間に印象が悪いと部屋を見る前に「ここはやめよう」と決めてしまうお客様があります。
外観とエントランスと通路等に、ゴミや「吹き溜まり」のようなものがあったり、ゴミ収集日の後始末や自転車置場が乱れていたりすると、印象を悪くされます。
いつお客様が来てもいいように、常に整理整頓しておく必要があります。
「そのために管理を任せているはずだ」という場合でも、管理会社が定期的に現地に行くのは最大でも「週に一回」でしょう。
「月に一回か二回」という管理会社もあると思います。
日常清掃を依頼していないなら、お客様の案内以外ではトラブルでも起きない限り現地に行かない場合もあります。物件は常に整理整頓しておく必要があるのです。
この繁忙期は多くのお客様が現地に訪れるでしょう。
足らない部分はオーナー自ら「気に掛ける」必要もあるかもしれません。
部屋を見る前に「決めない」と決断されてしまうのでは勿体ないですから。
2.暮らしたいと思える部屋
お客様は、募集条件などをインターネットや不動産会社のスタッフから得て、興味を持ったので案内に応じました。
つぎは「この部屋で暮らしてもいいな」と思ってもらえる仕掛けが必要です。
まず、部屋が綺麗なことです。埃(ほこり)がたまっていないか、臭いはしないか、蜘蛛の巣や虫の死骸がないか。
これが基本です。
空室だから、多少の埃(ほこり)や臭気や蜘蛛の巣は仕方がないとは、お客様は考えてくれません。
そのために定期的な室内掃除と空気の入れ替えをしておきましょう。
ここでも「管理を任せているはず」となるかもしれませんが・・・。
そのうえで、部屋が暗ければ印象が悪いので照明器具をつけたり、生活感を演出するためにテーブルやカーテンなど設置すると印象が良くなります。
これらは「モデルルーム化」といわれています。
あるいは、オーナーからお客様に向けたメッセージを掲示したり、物件から周辺施設までの位置関係が分かるマップを用意したり、中にはBGMまで流す「猛者」もいるそうです。
案内に同行した営業スタッフも「物件のいいところ」を説明しますが、「部屋に利点を語らせる」工夫は効果が大きいのです。
3.お得感と選べる楽しさ
案内されたお客様が「そこそこ気に入ったけど決断できない」というケースが多いです。
ライバル物件のことも気にかかるし、「もっと他にいいのがあるかもしれない」と考えてしまうのです。
そこで「さらにお客様の背中を押して差し上げる」仕掛けを考えます。
まずは、お客さまが「得した」と感じられる条件です。「1ヶ月間は家賃を無料(フリーレント)にします」とか、「1ヶ月間は家賃を100円にします」とか、「決めてくれたら液晶テレビ(自転車でもテレビドアホンでも)を差し上げます」など。
もちろん、これらはオーナーの出費を伴いますので、収益面からの検討は必要です。
ただ、「これで決めてくれる」なら検討の余地は大いにあるのではないでしょうか。
つぎに、お客様に「選べる楽しさ」を提供するという方法も最近では増えています。
代表的なのは壁のクロスです。洋室の一面だけ、お客様が自由に壁クロスを選べるというのは喜ばれています。自分が選んだ色と柄だと愛着も覚えるでしょう。
お客様は特別な「お得感」があったり、自分だけのオリジナル感があると決断してくれます。工夫の余地があるようでしたら、考えてもいいのではないでしょうか。