不要なうえ、管理費や固定資産税や管理責任が課される土地を、
国へ返還できる相続土地国庫帰属制度が
2023年の4月に施行されて1年以上が経過しました。
法務省が発表した統計によると、
2024年7月末時点での申請総数は2,481件に上りますが、
実際に国有化された土地は667件にとどまっているようです。
申請された土地の内訳を見ると、
田畑が930件と最多で、次いで宅地889件、山林391件となっています。
一方、国有化されたなかでは宅地が272件と最も多く、
農用地203件、森林20件と続きます。
気になるのは却下・不承認件数と取下げ件数です。
却下は11件、不承認は30件と比較的少数ですが、
取下げは333件もありました。
却下や承認されない理由としては、
通路として使用されている土地、崖のある土地などが挙げられています。
原則として建物がある土地、賃借権が設定された土地は承認されません。
この制度の申請には1筆あたり1万4000円の審査手数料がかかるうえ、
審査に通過した場合、
土地を管理するのに必要な10年分の標準的な費用負担が必要になります。
金額は土地の種類や状況によって異なりますが、
原則として1筆あたり20万円ほどのようです。
法務省によると制度開始から5年をめどに
制度の適用範囲や条件の再検討が予定されています。
高齢化と人口減少が進む中、
不要な土地の管理に苦しむ地主さんの利用は増えそうです。
本当は崖地など危ない土地ほど国に管理してほしいところですが、
より使いやすく効果的な仕組みへの改善が期待されます。