空き家対策の推進に向けて
仲介手数料制度が今年7月から改正されました。
賃貸住宅オーナーにも関連する大きな制度改正です。
この改正では、
800万円以下の「低廉な空き家等」の売買における仲介手数料の
上限が引き上げられました。
上限額は、売主か借主の一方から受け取れる手数料は30万円、
両方からなら60万円となりました。
従来は、
200万円以下の仲介手数料は売買価格の5%+消費税が上限なので、
利用されていない空き家などの低価格物件が
200万円で売買されたときの仲介手数料は11万円にしかならず、
ポータルサイトへの広告掲載費用や手間を考えれば
仲介会社は積極的に取り扱いできませんでした。
それが、30万円まで引き上げることができるので、
その差は大きいわけです。
そのため国は、
2018年に400万円以下の空き家に限って
仲介手数料を18万円まで上げました。
さらに、今回は物件価格が800万円まで、
手数料は最大60万円まで大幅に引き上げることになったのです。
この改正は、
全国に800万戸以上近くあるとされる空き家の
市場流通を促進させるのが目的です。
売買仲介会社向けITサービスを提供する会社によると
「この改正で、大手不動産会社を含め、
多くの仲介会社が低価格物件を扱うようになり力を入れ始めた。
市場に出回る物件も徐々に増えつつある」
と言います。
また投資家にとってもプラスは多いようで、
ある不動産オーナーによると
「市場に出回りにくかった物件が流通する可能性も高まるため、
新たな投資機会にもつながりそう」
と期待します。
一方で注意すべき側面もありそうです。
同じ投資家は
「郊外で相場よりも100万円以上も安い価格で戸建て住宅が売りに出ていた。
すぐに不動産会社に電話したが、
すでに大勢の投資家から問い合わせがあった後だった」とのこと。
担当者は、
「売り出し価格を低くし過ぎたのでしょう」と語ります。
低く査定しても手数料が変わらないので、
価格査定が甘くなってしまった可能性もありそうです。
オーナーとしては、所有物件の安値売却には注意したいところです。
空き家については賃貸仲介の手数料も引き上げになりました。
貸主からは、
通常の上限である家賃1ヶ月分の1.1倍を超えて
2.2倍までの手数料を受け取ることができます。
1年以上 誰も住んでいない戸建ての空き家や、
相続などで使われなくなった住宅が対象となります。