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賃貸物件(貸室)という商品の作り方

賃貸経営されるオーナー様の目的はさまざまです。

たとえば相続税対策もそのひとつです。

でも、たとえ土地や建物の相続税評価を下げることができたとしても、
赤字経営でよいわけではありません。

赤字の不良資産を受け継いだ子や孫は大変ですよね。

つまり、オーナー様に共通している目標とは
「収益を挙げ続けること」なのです。

では、収益を増やすにはどうすればいいでしょうか? 

「家賃収入を増やして運営コストを減らせばいい」。

シンプルで正しい答えですが具体性に欠けますね。

そこで今回は、
収入を増やすための「賃貸物件という商品づくり」というテーマでお話しします。
 

賃貸物件(貸室)は商品である

ご所有の賃貸物件(貸室)を、
「借主に選んでもらう商品」と考えたことはありますか? 

ふだんは意識していない「商品」について、少し考察してみましょう。
 

たとえばラーメン屋さんなら、
お客様に食べていただくラーメンが商品ですから分かりやすいです。

毎日、お客様の前でラーメンを作る店主(オーナー)は、
一所懸命に、“商品づくり”をしています。

商品がお客様に評価されるかどうかで店の存続が決まるのですから、
“商品づくり”に真剣に取り組むのは当然です。

ところで、ラーメン屋さんの商品は「美味しいラーメン」だけではありません。

店の雰囲気、注文のしやすさ、提供されるスピード、接客対応なども商品です。

繁盛しているお店は、これらの総合力で支持されているわけです。
 

良い商品の条件とは?

さて、賃貸物件(貸室)という商品について考えましょう。

良い商品の条件として思い浮かぶのは、
「築年数が新しい」「最新の設備」「収納が多い」
「ゆったりした共用スペース」「見栄えのいい外観」
「最寄りの交通機関から近い」などですね。

これらは良い商品の条件に違いありませんが「絶対条件」ではありません。

なぜなら、対象としている入居者層と家賃設定が、
商品づくりを考える大前提だからです。

地域の家賃相場の上限で運営している物件なら、
築浅や最新の設備や、いつも綺麗な共用部分は必要な要件でしょう。

反対に相場の下方で運営されている築年数の古い物件には、
必ずしも「新しい」「きれい」という条件は求められていません。

支払える範囲の家賃設定や、入居しやすい募集要件が、
商品づくりの条件として重要になります。

この2つの例は極端ですが、
賃貸物件(貸室)の商品づくりには、
「対象となる入居者層の設定」が欠かせません。

想定した入居者が容認できる立地か、間取りか、
築年数かを考えて決める必要があります。

そして、
その入居者層に合った家賃設定や初期費用の条件や入居審査の条件を決めていきます。

築年や立地は変えようがありませんので、
設定した家賃の収入予想範囲で、
対象が求める設備の入れ替えや簡易なリフォーム、
場合によっては間取り変更を伴うリフォームなどを検討する、という順序です。
 

前味、中味、後味とは何か

商品の提供で、
「前味(まえあじ)、中味(なかあじ)、後味(あとあじ)が大切」
という説があります。

商品をただ売っておしまい、というわけではない、という教えです。

賃貸経営では、募集から内見の段階で、
この部屋で暮らす良いイメージを与えるのが前味(まえあじ)でしょうか。

このために、前述した、
入居者層に合わせた賃貸条件やリフォームなどが効果を発揮します。

後味(あとあじ)は、退去したあとの関係性になるので、
賃貸経営では、それほど重要ではないかもしれません。

一番に重要なのは中味(なかあじ)。

つまり入居期間中のサービスという商品力です。

この満足が高ければ、(合意更新の地域では)更新のときに、
家賃の値上げ交渉が可能になるでしょうし、
何よりも「不要な退去」を防ぐことにつながるので、
長く入居してもらえます。

このサービス内容も、
対象とする入居者層によって一律ではありません。

ただ、共通の認識として、共用スペースがいつも小ぎれいになっていて、
設備等のトラブルに迅速に対応してくれて、
共同住宅のルールに違反する者には厳格に対処してくれるという、
暮らしやすい環境を提供するサービスが万人に求められています。

この中味(なかあじ)は、賃貸経営の商品づくりに大切な要素なのです。
 

余談ですが、
私たちの賃貸管理もオーナー様に選んでいただく商品です。

そのように捉えて、商品価値の向上に取り組んでいます。

「賃貸管理はどこも同じ」ということはありません。

ただ、「賃貸管理は商品」と捉えずに、
ただ作業としてこなしている不動産会社があるのも事実です。
 

さて、賃貸物件(貸室)は借主に提供する商品であると考えることが大事です。

オーナー様の商品を借主に選んでもらい、
使い続けてもらう商品づくりが、収益最大化の近道ではないでしょうか。

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