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【地震災害マニュアル】賃貸オーナーと管理スタッフのための災害時の行動規定

賃貸管理業務は平時だけでなく緊急時の対応も求められます。

緊急時とは停電や断水、火災や施設内での事故・事件などありますが、
このたびの能登半島地震のような大きな災害も想定されます。

私たちの現場でも、東日本や熊本の地震が起きた後に
「災害時の行動規定」を作成しました。

今回は大きな項目のみを紹介させていただきます。

家主さまの災害時の準備にも役立つところがあるかもしれません。

【事前準備】緊急時に必要なデータの準備
 
事前の準備が重要になります。

まずは行動する基となるデータです。

通常の管理業務に必要なデータは紙媒体で保管してあり、
管理ソフトを用いた電子データは自社サーバーに格納してありますが、
平時と緊急時では必要なデータが異なりますし、
被災で事務所が倒壊することもあり、
緊急時用に整理して用意しておく必要があります。

当社では災害時用のデータだけを、
紙媒体をPDF化してクラウドサーバーに保管して、
スタッフの誰でもアクセスできるようにしています。

それは以下のようなデータです。

①家主さまと入居者の緊急連絡先
家主さまと入居者の固定電話と世帯主の携帯番号は当然ですが、
緊急時は連絡がつかないことも想定されるので、
可能な限り、奥様やお子様の携帯番号も控えるようにしています
(入居者の場合は書き込んでいただけないことも多いです)。

②被災時用の管理物件の一覧
こちらは、現地調査の時に便利なように地区別に分けてあります。

構造や築年数や室数などのほかに、
火災保険の内容(地震保険を付帯しているか)も記入してあります。

さらにグーグルマップにピン留め(ピンを立てること)して保存し、
スタッフで共有できるようにしてあります。

③避難所候補の一覧とマップ
避難所候補は自治体のホームページで確認できます。

これをマップに書き込み、
管理物件ごとに避難所を特定しておきます。

管理物件の入居者にも避難所を伝えていますが、
平時では覚えていただけない、という課題があります
(掲示板のある物件では大きく書いて張りだしています)。

④管理スタッフの緊急時の連絡方法
就業時間外で被災した場合は、
管理スタッフはバラバラになっているので、
安否確認も含めて連絡をとる必要があります。

そのため電話番号のほかに、
管理、仲介、事務など職種別にLINEグループを作っています。

また、災害用伝言ダイヤル「171」などの知識も共有してあります。

⑤緊急時のために用意しておくもの
緊急時はガソリンが貴重になりますので、
車両規定で「ガソリンは半分になったら補充する」
と取り決めをしています。

管理家主さんにガソリンスタンド経営を
されている方がいらっしゃるので、
被災時は一般よりもガソリン供給を
優先していただけるように(一応は)お願いしてあります。

また、管理スタッフの人数分の自転車と、
ヘルメット、ひざ当て、ひじ当て、手袋を用意。

靴は、被災現場に瓦礫(がれき)が散乱していることもあり、
用意できるなら、簡易な登山靴のような、靴底が厚く固い、
足首をホールドしてくれる靴の用意を推奨しています
(これは各自の用意なので、予算の都合でなかなか準備できていませんが)。

⑥防災準備品を用意する
過去の大規模災害で「何が必要だったか」という、
業界先輩の貴重な体験談に基づいてリストを作り、
備品を用意するようにしています。

保存水や緊急医薬品セットなど40項目ほどのリストになります。

【被災直後】行動するための取り決め
 
全員が大きな災害は未経験であり、
思考が止まってしまうことが想定されるので、
行動の規範となるような「初期対応の優先順位」を
定めておく必要があります。

以下のように順番になっています。

1.スタッフの安否確認
2.自社・店舗事務所の被害確認
3.家主さま・入居者の安全確認
4.管理業務遂行のための連絡と社内体制確認
5.管理物件被災状況の現場確認調査

 
家主さまと入居者の安全確認が3番目になっていますが、
1と2が確保できないと、
その先に進めないのでご理解いただければと思います。

①自分と家族、親族の身の安全確保

自分と家族の安全確保が何よりも優先です。

もし自宅が危険な状態なら、
避難所への移動を完了させて、
生活を落ち着かせる必要があります。

家族を残して管理業務のために現場に行けるような
態勢を整えることに注力することが最優先です。

②会社に原状報告と今後の指示確認
 
会社には、固定電話、携帯電話、LINE、
災害用伝言ダイヤル「171」、web171災害用伝言板などを使って、
自身の安否報告と、本社や店舗事務所の被災状況確認を、
できるだけ早く行います。

当社では、スタッフのメーリングリストを作っているので、
そちらでも逐次、情報の共有ができるはずです。

また、災害時や大規模な通信障害時など、
いざという時に使える
「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」
という無料Wi-Fiが解放されるので、
それらの知識も共有するようにします。

③社内の災害対策本部の立ち上げ確認
 
本社や店舗事務所の被災状況によって、
社内の「災害対策本部」がどこに設置されているか、
確認する必要があります。

災害対策本部は、インターネットと固定回線がつながり、
FAXなどの通信手段が確保されている必要があります。

確認後は、そちらに集合して、管理業務をスタートさせます。

④家主さまと入居者の安否確認
 
固定電話・携帯電話を用いて連絡をとり、判明した結果を、
大きなホワイトボード(用意できない場合は模造紙)に記入していきます。

連絡がとれない方は、現地や避難所で確認していきます。

物件が住める状況ではない入居者については、
最寄りの避難所に退避できたか、避難所に入れない状態か、
分かる範囲で把握。

被災した家主さまについては、
管理物件の近くに住んでおられるか、
離れた地域に住んでいるか、
確認しながら把握するように努めます。

連絡がつかず避難状況も分からない方に対しては、
災害用伝言ダイヤル「171」で伝言を残します。

また、安否の分からない入居者の貸室玄関に
「管理会社からの安否確認です。避難先と連絡方法をご記入ください」
という張り紙をガムテープで留めておきます。

⑤管理物件の状況確認
 
その時点で集合できた管理スタッフで、
地域別に担当管理物件を決めて、
現地に行って被害状況と被災状況と入居者の安否確認をします。

確認の際のポイントは右上の通りです。

・スタッフが安全に確認できるか判断する。
・継続して住める状況か否かを判断する。
・修繕が必要な場所や危険箇所をチェック。
・入居者の安否や避難状況をチェック。
・入居者へ危険箇所を周知するため張り紙。
・犯罪を防ぐための注意・対策をする。

 
管理物件の被害状況は、
倒壊破損しているか、入居は可能か、
などを目視で確認するため、
「管理物件被害状況チェックシート」を用いて、
管理物件ごとに記入していきます。

これよりあとの段階になりますが、
これらの被害状況を元に、賃貸借契約を解除するか、
家賃の一部を免除するかなどの判定をして、
家主さまに報告することになります。

⑥入居可能な空室の確認と一覧の作成
 
住めなくなった管理物件の入居者の移転先として、
管理及び募集を委託されている物件の現空室を把握して一覧にします。

また、管理と募集を委託されていない物件家主さまも、
分かる範囲で連絡して、一室でも多くの空室情報を集めます。

管理物件の入居者以外にも、
入居依頼が殺到することが予想されるからです。

この確認も家主様への電話連絡と訪問が主になります。

⑦クレームの優先順位付け
 
管理物件と入居者確認の現場調査チームとは別に、
クレーム電話受付チームを複数名で構成します。

被災直後から、故障や破損の連絡や相談の殺到が予想されます。

クレーム電話の受け付けは、
かなりの緊張とひっ迫感が予想されます。

すべての電話に同様の対応をしようとすると、
重要な案件が後回しになる危険性があるので、
以下のような優順位付けをしておきます。

1.緊急性も重要性も高い
2.緊急性が高い
3.重要性が高い
4.緊急性や重要性が低い

 
また、クレームを「故障・破損」についてと、
「相談」とに分類することで整理できます。

【被災後】一定期間が経過したあと

管理物件の被害状況によって契約終了か、
家賃免除かを判定して、預り金や家賃の返還に応じます。

●必要な修繕工事の手配(優先順位付けが必要)。
●管理物件の保険加入状況に応じて保険会社と折衝。
●家主さま、入居者に各種補助金(災害弔慰金、災害障害見舞金、災害援護資金)の説明。
●家主さまに罹災証明書取得の助言。
●空室の「賃貸型応急住宅への提供」の検討。 

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