低金利が続く日本経済ですが、
世界的なインフレの影響で物価上昇が顕著になり、
昨年末から金利上昇の可能性を指摘する専門家の予想が出てきました。
金利と不動産経営は密接に結びついているので、
オーナーにとって重要なニュースとなります。
金利上昇の可能性と賃貸経営への影響
金利は市場の動向に基づいて銀行が設定しますが、
「銀行の銀行」と言われる日本銀行は
様々な手段で金利をコントロールし、
現在はマイナス金利政策を採用しています。
このマイナス金利は世界的にも珍しい政策で、
「金融機関の収益低下」
「市場の調整機能を歪ませる」
「資産バブルのリスク」など様々な弊害も指摘されています。
つまり、そもそも現在が異常な事態であり
早く正常化させなければいけない、
という主張が多く聞かれるのです。
昨年4月には、日銀総裁に経済学者の植田和男氏が就任しました。
日銀・財務省出身者ではない新総裁に
期待されるのは正常化以外にはない、とまで言われていて、
現在のところは今年4月を目処にマイナス金利を解除し
正常化に進むという予想が多いようです。
2年後には住宅ローン4%台の時代!?
金利上昇について、みずほ銀行系列のみずほリサーチ&テクノロジーズが
昨年11月に金利レポートを作成しています。
そこでは2026年頃の住宅ローン金利が
1.0%(変動)、4.8%(固定)と予想されていて、
2023年度の0.3%(変動)、1.8%(固定)から
大きく跳ね上がった数値となっています。
「いくらなんでも変動が激しすぎる」と思ってしまいますが、
現在は物価上昇率が3〜4%と高い数値で推移していることや、
3万5,000円を超える株価(執筆時点)などの経済指標は、
89年〜90年のバブル経済の頂点に迫る勢いもあります。
金利も同様に上がっていてもおかしくはないというわけです。
このレポートにはアパートローンの記載はありません。
現在のアパートローンは1%前半〜2%後半の相場ですが、
仮に住宅ローンと同じとすれば、
2026年度には4%前半〜5%後半くらい
になってもおかしくないと言えそうです。
いやはや大変な事態です。
高金利になれば不動産取引は減少し
不動産価格も下落するため、
所有物件を売却するには不利になる一方で、
現預金を持っていたり、
多数の担保を所有する資産家にとっては
久しぶりの仕入れ時になるかもしれません。
住宅ローンが上昇すれば住宅を購入できる人も減少し、
家を買えずに賃貸住宅を選ぶ人が増えるなら
家賃相場が堅調になる可能性もあります。
所有物件の建て替えや、
新規取得する予定がないオーナーにとっては
悪い話ばかりではなさそうです。
ある金融機関のアナリストによると
「今年中に金利が上がるのは既定路線。
ただ、市場がパニックになるほど急速に上がる状況は考えにくく、
その兆候もない」と言います。
別の金融関係者も北陸・能登の復興需要もあるので
急速な変化はないと話しています。
いずれにせよ、不動産市況に直接的な影響を与える金融政策を
注意深く見守っていく必要があります。