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賃貸経営塾 ~賃貸経営のリスクマネジメント 地震災害編~


■質問
父から築20年の賃貸マンションを相続した新米大家です。繁忙期も終盤になりましたが、入居募集も順調に進んでいて3月末には満室となる予定です。
ここからの賃貸経営には、どんなことに注力していけばよいでしょうか︖

■回答
満室後の賃貸経営では、入居者さんの満足対策と、建物設備のメンテナンスが大事になりますので、そのテーマでお答えしようと準備しておりました。

しかし、元旦に発生した能登半島地震のこともあり、賃貸経営における地震などの災害に対する備えについて確認しておきたいと思いました。

質問者のオーナー様は、お父様から受け継いだ賃貸物件が加入している火災保険等についても、この機会に再チェックしておくことをお勧めいたします。

このたびの災害のニュースを観ていても、地震や津波でアパート等の建物が倒壊しているケースはほとんど報じられていませんが、一般の住宅と同様に、多くの賃貸建物が被害に遭っているはずです。

全損や半損であれば、入居者さんは避難生活を余儀なくされますし、オーナー様は賃貸経営の元となる建物を失うわけです。
日本のどこにいても地震に遭うリスクから逃れられないわけですから、基本的な備えとして「地震保険」に入るか、少なくとも内容を学んだうえで検討はしておくべきです。

地震保険は火災保険選びが重

基本的なお話しになりますが、地震保険は、地震・津波・噴火(地震等という)によって被害を受けた住宅等の損害を補償する損害保険です。
火災保険だけでは地震等による損害の補償を受けることはできません。

地震保険は単独で加入することはできないので、必ず火災保険とセットにする必要があります。

補償範囲は火災保険の保険金額の30%から最大50%までとなっています。
今回のように全体の損害が巨額になると、ひとつの保険会社で負担できるのかと不安になりますが、地震保険制度は「地震保険に関する法律」に基づき政府と民間の保険会社が共同で運営していて、政府が保険金の支払責任を分担する「再保険」という形で成立っていますので、その心配は不要です。

法律により補償内容や保険料が決まっているということは、どの保険会社で加入しても内容や保険料に違いがない、ということになります。
しかし、火災保険商品については各社で異なり、それぞれに特徴があります。つまり、地震保険選びで重要なのは火災保険選びであり、その内容になります。
地震保険の話しから始まった今回の解答ですが、結局は、大元の火災保険選びが重要、ということになります。

質問者様のお父様が、どのような火災保険を選んでいたのか、その内容を知っておくべきですね。

火災保険選びのチェックリスト

私から、どの保険商品がよい、というようなお勧めはできませんが、チェックリストとしては、以下の項目が挙がると思います。

まず、地震保険に対応している「火災保険商品」かどうか。

さらに、「火災補償」は当然ですが、台風や竜巻による「風災補償」、大雨や洪水による「水災補償」、不測かつ偶発的に起こる事故による「破損・汚損補償」などを付加できるか、などがチェックポイントになります。

そして、賃貸住宅オーナー向けの特約があるかどうかの確認も必要です。
火災などで賃貸住宅が損害を受けた時に復旧までの家賃損失が補償される「家賃収入補償特約」、住宅内で孤独死などの事故が発生した時に補償される「家主費用補償特約」、建物の管理不備等の偶然事故のケガや破壊によって発生した法律上の損害賠償を補償する「賃貸建物所有者賠償特約(示談代行なし)」などですね。

この火災保険に地震保険がセットされていれば、賃貸経営の保険加入によるリスク管理としては申し分ないと思います。
ただし、保険内容を充実させるほどに保険料という経費が増えてしまいます。

言うまでもなく賃貸経営は事業ですから、使える経費には限りがあります。
経費を惜しまずリスク管理を万全にしても、収益の出にくい事業体質では元も子もありませんね。

このバランスをみて決断していくのが賃貸経営だと言えます。

賃貸経営とはリスクマネジメント
 
前段でも触れましたが、賃貸経営にはリスク管理という考えが必須になります。
30年を超える長い年月には、想定以上に、環境変化による空室発生や賃料相場の下落が起こるかもしれません。

法的な問題に問われるようなトラブルに見舞われる可能性もゼロではありません。

経営というものは、それらのリスクがあることを知ったうえで、その回避策を講じながら、被害を最小限に抑えていくものだと思います。
地震災害も、避けて通れないリスクなのです。

しかし、その確率が高いわけではありません。可能な限りの、収入と支出のバランスがとれた対策を検討してみてください。

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