築年数を経た物件を
リフォーム及びリノベーションする際に
配管も交換しているでしょうか?
配管は、
住まいにおいて重要な役割を果たしていますが、
修復や交換が必要かどうかを見た目で判断するのが難しく、
そのまま放置すると大きな損害が出る設備です。
そこで今回は、
「配管交換すべきかどうか」についてケースに分けて解説いたします。
本題に入る前に、
一般的な賃貸アパート・マンションに設置されている
配管の種類を確認しておきましょう。
配管は給水管、給湯管、排水管、ガス管と
大きく分けて4種類あり、
それぞれの素材は建設された時期によって異なります。
2000年頃(平成10~12年頃)より前に
建てられたアパート・マンションでは、
給水管と排水管には鉄管が、
給湯管とガス管には銅管が使われているケースが大半でした。
(銅管は100℃超の液体にも耐性があります)
鉄と銅には経年によって錆が発生するという欠点があり、
そこから水漏れを引き起す危険性があります。
一方で、
上記の年代以降に建設されたアパート・マンションや、
配管交換が行われた住居には、
ポリエチレン管、ポリブデン管、
ポリ塩化ビニル管が使用され始めていて、
これらの素材は錆びることがないため、
しばらくは漏水の心配がないと言われています。
つまり2000年頃より前に建設された物件は、
いずれ漏水が起きてしまう可能性がある、
ということになります。
配管には寿命がありますので、
完成から年数が経過している物件は
漏水に備える事が重要です。
もし2000年頃以降に設置された配管ならば、
鉄管と銅管以外であることを確認したうえで
目立った劣化が無ければ、
当分は交換しなくても良いということになります。
「では、2000年頃より前に建てたアパート・マンションの配管は早く交換しなければ!」
という流れになりますが、現実的には懸念すべき点もあります。
まず工事費用の問題です。
配管を部分的に取り替えるのであれば
それほど高くなりませんが、
部屋全体の配管交換を行うと、
お部屋の広さや、水道メーターから給湯器、
キッチン、浴室の距離により、
およそ30万~50万程度の費用がかかります。
配管部分は借主には見えないので、
交換してもグレードアップにはならず、
家賃アップには繋がりにくいでしょう。
内装や設備のリノベーションのように工事費用を家賃アップで補うのも難しいのです。
配管に鉄管や銅管が使われていることが分かっているのに、
そのままにしておくと漏水のリスクが年々上がっていきます。
ひとたび漏水が起こると、
最悪のケースでは借主の退去という事態になるため、
家賃収入が途切れるという損失が起こります。
退去を要しないケースでも応急処置は必須ですし、
配管が露出したままの工事となるため見た目が悪くなります。
また、配管の場所によっては
ユニットバスを解体しなければ配管交換ができず、
プラスの工事費がかかることもあります。
「漏水は火災保険でカバーできたはずでは?」
と思われるかもしれません。
実は、経年劣化によって発生した漏水による損害は補償対象にはなりません。
また、壊れた部分を応急処置のまま放置し、
完全修復されなかったことが原因で発生した
漏水による損害も補償の対象外です。
火災保険における補償対象は、
あくまでも「偶発かつ突発的な事故」とされています。
以上のように配管交換は、
ユニットバスやキッチンの交換を伴う
リノベーションをするのであれば、
併せて済ませておくことをおすすめします。
あらかじめ配管素材を確認し、
鉄管や銅管が使われているようなら
一緒に交換してしまいましょう。
そして、突発的な事故や災害によって起こりうる
損害にもしっかり対処できるよう、
保険の加入や補償オプションの追加などを専門家に相談してはどうでしょうか。
建物と設備は、建てた時から劣化が始まりますので、
長い賃貸経営の中で修繕や取替え計画を立てておくことが重要だと思います。