A
今回は「賃貸経営のリスク」について
皆さんのご意見を伺いたいと思います。
B
賃貸経営のリスクといえば、
まず「空室」「値下がり」「滞納」の3つが思い浮かびます。
それに加えて予想外の修繕費ですね。
空室対策のための工事や、
メンテナンスにかかる費用も予定より増える一方です。
C
僕も、それが4 大リスクだと思いますが、
最近では「施設内の事故」で入居者さんが死傷するという
事件も起きていて怖いです。
これは「第5のリスク」と言えるかもしれない。
D
外階段が崩落するとか・・・ですよね。
E
怖いですね。
そのような事故が起きた場合、
オーナーは どんな影響を受けるのでしょうか?
B
当然に修繕費負担がありますが、
他の借主が退去して空室が長期化することで、
賃料の値下がりや収入の悪化が考えられますね。
C
みんな出ていくし、
これから住む人を見つけるのも大変ですよね。
B
原因が判明して、万一 所有者責任が認められたら、
遺族からの損害賠償請求もあり得ます。
D
うわっ怖い。ホントですか?
E
でも、賃貸オーナーは建築について素人ですから、
そこまで把握しろ、と言われても難しくないですか?
B
もちろん僕たちには、
建物や設備の老朽化について知識はありません。
死傷者が出るような事故だって起きる確率は低いですよね。
でも、所有者としての責任を問われるなら、
リスクに遭う確率をゼロに近づけるための
方策はとるべきだと、最近では感じています。
D
どうすればいいのですかね?
B
基本的には、リスクを防ぐための「予防」と、
被害を最小に抑える「対応」だと思いますね。
E
具体的にお願いします。
B
まず、消防設備などの法律で定められた点検。
これは不良箇所を見つけるだけでなく、
点検と報告という実績が
オーナーを守ってくれる場合があると思います。
それから、
建物や設備は年数によって必要な修繕が予想できるので、
定期的に巡回点検することで
問題を事前に知ることができます。
手すりや外階段の耐久力不足が見逃されているのは怖いですよね。
A
さらに定期的な修繕工事も必要ではないでしょうか。
点検だけでは見つけられない問題箇所もありますからね。
E
でも、お金がかかりますよね。
A
そうなんです。誰でも支出は防ぎたいですよね。
問題が起きたとき対処するのと、
事前防止のために費用をかけるのと、
どちらが多くのコスト負担になるか・・・。
これが判断の分かれ目になると思います。
C
保険に加入しておく という方法もあるのではないですか?
事故が起きた時の損害を補填する保険もあります。
施設賠償保険とか。
A
そうですね。
不慮の出来事で入居者さんが亡くなったとき、
家賃収入が減額になったとき、
大家側の責任による日常事故や漏水の費用などを
補償してくれる特約とか。
損害保険の選択肢はいろいろと増えたみたいです。
E
保険も経費負担が増える話ですが、
損害額と秤にかけて判断していく必要がありますね。
B
そう。そのうえで「この費用はかけない」と決めるのも、
ひとつの判断です。
避けたいのは「リスクを知らないで過ごして、
その時に慌てる」ことですね。
施設内で起きる事故を考えると、
それを思い出させてくれます。
D
実際に、どうやってやればいいのでしょう。
C
自分でできることは自分でやる。出来ないことは任せる(笑)。
A
僕は管理会社への業務委託契約の中で、
巡回点検の報告も受けています。
この施設内事故のリスクを知って、
報告をもっと真剣に読んだ方がいいと思いました。
B
やはり収入を増やして支出を減らすことは、
賃貸経営の大目標だと思います。
それに対して、リスク管理は支出増につながりますね。
最悪の事態は皆が防ぎたいのですから、
そのバランスの判断が重要だと思いました。
この記事は当社のオーナー向けニュースレター2021年6月号に掲載されたものです。