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オーナー座談会「サブリース問題」

司会 サブリース契約が問題になっています。皆さんは、この問題をどうお考えになっていますか。

D NHKの番組で取り上げられていましたね。一括借り上げを条件に建築受注した業者が、契約内容をしっかり説明していないことを非難されていました。

K 30年間家賃を保証してくれると思っていたら、突然 大幅な家賃の値下げ要求がきた、という内容でしたね。
中には、値下げに応じたらローン返済ができなくなるので、賃貸契約を解約した方もいました。

A これは、問題になっているケースだけを取り上げていましたから、一概(がい)に「良い、悪い」は論じられないと思いました。
でも、サブリースというシステムには問題もあると思うので、その背景を考えて、僕らの賃貸経営の参考にしなければいけないと思います。

Т でも、賃貸住宅が供給過剰と言われていて、空室率もドンドン悪くなっていくと予想されているのに、なぜ、賃貸住宅の着工が止まらないのでしょう?

W 増税された相続税の対策を考えると、賃貸住宅を建てる以外に有効な手段が見つからないという理由があると思います。

一方で、建てても「部屋が埋まるか」という不安は、「30年も家賃を払ってくれる」という条件で解消されるのでしょう。

司会 そのとき、どんな問題が起こり得るのでしょう?

A 一番の問題は、オーナーに「賃貸経営をする」という覚悟がないことだと思います。
相続税評価を下げるのが第一目的になっていて、毎月定められた家賃を受け取ることが二番目の目的となっています。
賃貸経営の方は、サブリース会社が「上手くやってくれるだろう」と考えているのではないでしょうか。

D それはマズイですよね。僕たちオーナーが無関心では「いい賃貸経営」は出来るはずがありません。管理会社とオーナーが力を合わせないとダメですよ。

A 築5年や7年を過ぎて空室が目立ってきても、約束の家賃が入ってくるなら、誰でも経営努力しなくなるかもしれません。

W サブリースという仕組みが、そうさせてしまうのですね。

Т でもそれは、サブリース会社が責任をもって「いい賃貸経営」の努力をすべきですよ。建てた責任があるのだから。

W そういう建設会社もあるでしょうけど、「建てること」がメインになってしまっている会社もあるのでしょう。
その見極めは、発注する側が気を付けるしかないですよね。

Т 僕は、知識や情報の不足している地主を、もっと法律が守るべきだと思います。
サブリースの原契約において、貸主であるオーナーは事業者だから「消費者契約法が保護してくれない」というのは厳しい。

D その点は、国土交通省でも問題にしているみたいですね。

司会 他には、どんな問題が?

A サブリース会社も空室を出したくないので、家賃設定がシビアになっています。
低い査定はオーナーも受け入れがたいのが通常ですが、相続評価を下げることが目的のオーナーだと、収益には比較的こだわらないでしょう。

Т つまり、どういうことですか?

A つまり、地域の家賃相場が下がりますよね。
新築が「高い家賃設定」で出てくるなら、僕たちにも対抗手段はありますけど、それが安かったら、周辺の既存物件の入居者が移動してしまうし、新規に地域に入ってくる人たちも吸い取られてしまいます。

D 空室率を低く抑えたいサブリース会社と、相続評価を下げるのが第一目的の地主の思惑が、「家賃設定の低い新築」を供給する、という構図ですね。

Т つまり建てたい事情の人がいて、建てさせたい会社の事情もあって、双方の希望が交差する方法が「サブリース」ということですね。

A 僕らは、今まで通りに、お客様(借主)に気に入ってもらえる部屋を作って維持していくしかありませんね。
賃貸経営の当事者という覚悟のない貸主や、「建物や設備が新しい」ことでしかアピールできないサブリース会社に負けていられません。

Т 強気ですね(笑)

司会 他に問題はありますか?

A 最終的には、いま問題になっているように、建主さんは「家賃の減額要求」をサブリース会社から受けることは避けられないですね。
建てた会社側も「逆ザヤ」になってまで、最初の家賃を払い続けることは出来ないですから。

Т そんなことは許されるのですか?

W 最初の賃貸借契約(原契約)に、「10年以降は2年ごとに家賃改訂を行う」とか書いてありますから合法ですよね。
僕らも、相場に合わせて家賃を下げたりしますから、いわば商売として「当たり前」なんですよね。
ただ、30年間も変わらない家賃を払ってもらえると勘違いしていたり、「こんなに下がると思っていなかった」と予想が大きく外れていることが問題です。

司会 サブリースは「悪」でしょうか?

A 僕は、そんなことはないと考えてます。国の税制が変わらなければ、相続評価を下げるために賃貸住宅を建てる、という需要はなくならないですよね。
建てる方たちは、もともと賃貸経営を望んでいたワケではないので、経営の一部を委譲してでも、「安定と安心がほしい」というニーズもあるはずです。

D 僕たちのように、第一線に立って賃貸経営に携わり続けた方が、そこから得られる利益は大きいと思いますけど、それよりも「安定や安心」を優先する方たちがいるのは理解できます。

Т 僕だって、管理料は支払っていますよ。ただ「任せきり」にしてはいません。

A サブリースを選ぶときに重要なことが、2つあるのではないでしょうか。
ひとつは、Тさんのように、「任せきり」にしないということです。
いくら決まった家賃が入ってくるといっても、空室が増えれば、必ず減額請求に繋がります。「借主さんはお客様で貸室は商品」ということを忘れてはいけないと思います。

D そうですね。そしてサブリースは自主管理ではないのだから、サブリース会社にドンドン意見を言って、徹底的に動いてもらうことですよ。

A もうひとつは、しっかりと業者を選ぶことだと思います。
NHKの番組などを見ていると、一部上場の大手といえども、現場の営業では無責任な説明がされているように見えました。
非常に残念ですけれども。そのためには徹底して質問することです。あるいは、サブリースのメニューを持っている建設会社同士を競合させるのもいいでしょう。
納得いくまでは絶対に契約しないことですよね。

W いくら相続対策といっても、子孫に不良資産を残すワケにはいきませんからね。

司会 有難うございました。

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