司会 全国で「空き家」が問題になっています。その解決に向けて「空家等対策の特別措置法」というのが5月26日から全面施行されるようです。
Y 「空き家」というのは賃貸の空室のことですか?
A 国内の820万戸の空き家のうち、賃貸住宅は約半分の429万戸だそうです。問題になっているのは318万戸の「その他の住宅」で、売却や賃貸募集中ではない未利用住宅ですね。
Y では、僕たちの空室が法律に規制される、ということではないのですね。
D もちろんです。ただ賃貸住宅の中にも募集もされずに放置されて、近隣の住民に迷惑や不安を与えてる問題住宅があるみたいですよ。
T そうですね。東京都大田区では去年の5月に、老朽化した10世帯の木造2階建てアパート(延べ床面積186㎡)の除却に踏み切ったと、大きく報道されていました。
Y 除却とは?
T 強制的に取り壊すということですね。
Y その費用は?
T 当然に所有者に請求されますが、まだ回収できていないみたいです。
K 未利用の老朽化した空き家が、何で大きな問題になっているのですか?
A 倒壊して、周りの住宅に被害がでたり、前面道路が塞がれる恐れがあります。放火などによる火災で周辺が延焼するとか、不審者が侵入や不法滞在してしまうとか、ゴミ放置によって悪臭や害虫が発生するとか、空き家は周辺の住民にとって大きな「不安要素」となっているのです。
D 良好な景観も破壊されますしね。この10年で老朽空き家は約100万戸も増えたそうですよ。このまま放置すると大変なことになると考えられているのですね。
T 僕は秋田の出身ですが、大仙市ではこれまでに3件・13棟の除却実績があって、どれも老朽化が激しく、このまま放置すれば道路通行に支障をきたすレベルにまで危険度が切迫していたそうです。積極的に「空き家管理条例」を制定する自治体が急増していますね。
A 今回の空家対策特措法では、所有者が不明でも代執行(代わりに取り壊す)を可能とする内容が新たに盛り込まれました。
Y 所有者が不明の住宅なんて あるのですか?
D あるみたいですよ。不明でも自治体が取り壊せるのですね。
A ただし「悩みの種」は費用の回収です。さきほどの東京都大田区では回収は「交渉中」と発表されていますし・・・。
T 大仙市では一部が回収できただけのようです。所有者が高齢者や年金生活者だと、高額の費用を回収するのは難しいですね。
K その費用は税金で賄われるワケだから、自治体も及び腰になりますよね。
司会 ほかに、この法律の特色は?
A 土地の固定資産税に「住宅用地特例」があって6分の1に減額されていますよね。居住として認められないほど老朽化している空き家の場合は、この特例を排除できるようになります。
Y 土地の固定資産税が6倍になる!?それは大きいですね。僕らがアパート経営を始めるときの、ひとつの理由が固定資産税の軽減でしたから。
D でも、すでに老朽空き家として対象となっている所有者には、効果が出るかは分からない、と言っていますね。そのままでも壊しても6倍に変わりないですから。
K これから どうなるんでしょう。
A 20年後の空き家率を予測した数字がありますが、新築住宅が5年ごとに段階的に減少したと予想しても、13.5%の空き家率は20年後は22.8%に上昇するとしています。
K 増えても 減ることはない。
T たとえ30年40年経っていても、しっかりと手を尽くせば、賃貸住宅として活用し続けることは出来るのに・・・・。
D 僕らの賃貸住宅が、近隣に迷惑をかける「その他の住宅」に分類されないよう、頑張りましょう。
司会 有り難うございました。