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オーナー座談会「借主としての外国人」

B 建設や介護や飲食店や小売などの現場で「人手不足」が深刻のようですね。

D そうですね。働く人がいなくて閉店に追い込まれたりしていますね。

Y 近所のコンビニにも日本語が片言の店員さんが見られるようになりました。

T 不足している人手を外国籍の方で補っているんですね。

A コンビニで買うお弁当にも、生産したり加工したり販売する現場のあらゆるところで「人手不足」が起きているみたいです。
今や外国の労働力がないとお弁当も食べられない。

D 僕らの時代は、店を増やして従業員を多くすることが会社発展の証(あかし)と思っていましたが、今はそれがリスクになるなんて価値観は大きく変化するものですね。

司会 日本人の人口は減り始めているのですから、足らない分を外国から補うという傾向は これからも増え続けるのでしょう。
そうなると「住む部屋」が必要になります。賃貸物件のオーナーである皆さんの出番ということになりますね。

T オリンピックも控えているし、外国人の住居の必要性が増していくワケですね。

A 賃貸住宅の供給が続いているので空室に困っているオーナー側の問題があります。
一方で、不足している労働力を補う外国人が「住まい探し」で困っているという現実もあります。
普通に考えれば両者の思惑はピッタリと合うはずなのですが。

B できれば外国人には「貸したくない」と考える方もいるという現実もありますね

司会 外国人に貸すのは問題なのですか?

D そんなことはないと思います。
僕は、近くの工場で働くブラジルとペルーの方に住んでもらっていますが、キチンと約束を守る人は多いと思います。
ただ、一部に不良外国人がいるのも事実でしょうが、それは日本人でも同じことですよね。

A 不法滞在をしたり犯罪行為をするような外国人は当然に排除しなければなりませんから、在留カードやパスポートをチェックします。
でも真面目に日本で働く外国人が多いですよ。当たり前ですけど。

司会 では何が問題なのですか?

T やはり生活の文化の違いがトラブルになることがありますよね。
ゴミの問題や料理とか友人を招いて泊まらせたりとか。

D 遠い異国で暮らしていれば同じ境遇の友人を招きたくなるのは当然ですけどね。

T でも人数や頻度が多かったりします。
別に騒ぐワケではなくても、多勢が外国語で話し合えば他の入居者には気になりますよね、料理の香りも違うし。
それが月に数回の頻度で起こってクレームになったことがあります。

司会 ではどうしたらいいのでしょう?

A 国土交通省ではガイドラインを用意していますね。
我々のような民間賃貸住宅に、外国人を円滑に入居させることを目的に作られていて、オーナーと仲介業者と管理業者向けに編集されています。

T どんなことが書かれているのですか?

A 外国人に貸すことに不安を感じるオーナーに対してアドバイスしています。
たとえば、ゴミ出しの方法や生活騒音についての「住まい方のルール」については契約時に説明しましょう、とか。
日本では、両隣と上下階の部屋の入居者に挨拶する習慣があるので、それを勧めるように、とか。

T へぇー。最近の日本の若者でも挨拶しない人は増えてるのに(笑)。

A あるいは、日本では無断転貸が禁止されていることと その理由を説明しましょう、とか。
家賃支払いが不安なら家賃債務保証サービスの利用を勧めたりしています。
そして、外国語の入居申込書や賃貸借契約書が用意されています。

Y 外国語とは?

A 英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の5カ国語ですね。
「外国人向け部屋探しのガイドブック」というのもあり、すべてインターネットでダウンロードできますよ。

司会 それで解決できますか?

D そんな単純ではないと思いますが、入居前に日本の「賃貸住宅での住まい方ルール」をしっかり説明すれば、トラブルはそれなりに防げるのではないでしょうか。
でも、外国人特有の問題はありますから、起こったら解決していくしかありませんよね。

Y 空室を埋めるのに苦労して、入居したあとまでトラブルで苦労したくないです。

D でもそれが賃貸経営ですよね。
部屋があれば必ず埋まり、部屋が埋まったら手間いらずで家賃が入ってくるというような、そんな楽な商売ではありませんよね。
そのために管理会社さんもあるのですし。

Y うーん。僕は外国人の方に貸した経験がないのですが、ちょっと慎重になりますね。

司会 オーナーさんによっても色々ですね。
日本の人手不足を外国人が補っていくという現実と、空室の問題を解決するために外国人というマーケットがあるのは事実です。
そこには外国人向けの「貸し方の工夫」という課題もあるようですね。有り難うございました。

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