司会 最近、賃貸関係の本やセミナーを見ると「不動産投資家向け」が、やたらに多いと感じます。
いつも集まっていただいている皆さんは「地主系オーナーさん」ですが、投資家オーナーが周りに増えた実感はありますか?
A 実感はありませんが、僕たちが分からないところで増えているのではないでしょうか。
司会 地主系オーナーさんにとって、投資家オーナーはどんな存在ですか?
A とても良く勉強している、と思います。商売敵(がたき)としては怖い存在ですね。
K 賃貸経営の目的が明確ですね。「収益を上げるため」とか。だから、しっかりと「出口戦略」を考えている方が多い。
Y 出口戦略って何ですか?
K 購入して運用するだけでなく、売却や建て替えまでを視野に入れて経営する、ということです。
D まあ、すべての投資家オーナーが・・・・・ということではないですけどね。
M 僕は投資家オーナーは計画性が高いと思います。購入するときに10年くらいのシミュレーションを描いている方もいます。その中には、家賃の下落や、入居率の変化や、メンテナンス費用の計上や、
10年後の売却予想額まで書かれていて、驚いたことがありました。
Y 10年後の売却額が分かるのですか?
M 10年後の予想純利益から逆算するんです。たとえば年間の純利益予想が1000万円なら、
10%の利回りで割ると、1億円の評価額になるワケです。その額なら購入する投資家がいるだろう、ということですね。
D 確かに増えているのかもしれませんが、全体の数の中では、問題にするほどのものではないと思います。僕は、ほとんどを借入れで購入している実態を聞くと、資本が脆弱で危うさを感じます。「所有すること」が目的になっているような・・・。
A 確かに・・・。賃貸は所有してから「始まり」ですからね。
ある若い女性オーナーが、短い期間に数棟の中古賃貸マンションを所有して脚光を浴びています。ほとんどの資金は借入れです。短期間に、近いエリアで、同じタイプの物件を、借金で所有して大丈夫なのかな? と思いますね。僕のような地主系オーナーには真似できません。ローン返済後のキャッシュフローが月100万円というような話が、これから不動産投資を始める人にとっては羨ましいみたいです。
Y 月100万円の現金が残るなら、僕も羨ましいです(笑)
A もちろん、そのオーナーさんは、これからの賃貸経営の厳しさや難しさは承知の上だと思いますが、その本やセミナーを聞いた人が、「とにかく借金をして所有したい」という目的観で不動産に投資するのは怖いですよね。
司会 投資家オーナーから学べることは何かありますか?
A やはり勉強熱心なところですね。先日、一日で4万円のオーナー向けセミナーが東京で開催されていましたが、札幌や福岡からも来ていましたよ。
僕は、パートナーの管理会社さんや税理士さんに任せるところと、経営者である自分が、しっかりと決断すべきことがあると気付かされました。そのためには、常に勉強が必要ですよね。
K 僕が学びたいのは、「賃貸経営の目的を持つ」ことですね。私達は税金対策や土地の有効活用が目的ですが、もっと「収益」に拘(こだわ)ってもいいと思います。
さきほど「出口戦略」の話をしましたが、私達は「売却」することは無いとしても、最後に建物を取り壊して更地に戻したときに、「賃貸経営の目的が果たせた」と言えるようにしたいです。「とりあえず、土地を手放さないで済んだ」ではなく、その間に、しっかりと儲けるべきですよね。
M 中古の物件を所有してみるのも良いかな、と思っています。
土地を活用するために始める賃貸経営は「守り」ですよね。その土地には、色々と制約もありますし。他人(ひと)が建てた中古の物件を、ローンを借りて購入するのも「あり」だと思いませんか?中には、土地の値段で買える「掘り出し物」もあるようですし、管理会社さんも不動産業だから、探してもらおうかと考えています。
司会 日本の賃貸物件のオーナーは、ほとんどが「地主系オーナー」さんで、それは、今後も変わらないでしょう。「地主オーナーは不勉強だから」などと言われないように、賃貸経営を頑張ってください。有難うございました。