この記事をお読みいただいているオーナー様の物件は、地域の賃貸仲介の営業スタッフから「どのように」見られているでしょうか。架空のA君を登場させて考えてみたいと思います。
A君は賃貸仲介の営業を担当していました。
彼の会社ではオーナーから募集依頼を受けている物件は多くないので、他の管理会社の物件を紹介して手数料を挙げることを主力としていました。
会社の売上は、借主からの家賃1ヶ月分の仲介手数料と、物元(オーナーから募集依頼を受けている業者)からの広告料です。
広告料はオーナーが負担しているのですが、物元によっては広告料を仲介会社に出さないところもあります。
A君のノルマは毎月100万円の売上で、頑張って何とか達成し続けています。
A君が仲介する物件の平均家賃は5~6万円なので、借主の仲介手数料だけだと毎月のノルマを達成するために20件近くの契約をこなす必要があります。
そこでA君は100万円のノルマを達成するための原則を決めました。その原則とは、
・1件当たりの手数料単価を10万円とする。
つまり広告料の出ない物件は本命としないということです。
広告料を出さない物元の物件は目の前のお客様に紹介しません。それが「条件に合った」物件でもです。「どの物件を紹介するか」の決定権はA君が完全に握っているのです。
・決まりやすい部屋を本命物件にする。
物件には「決まりやすいもの」があります。家賃が適正なことはもちろんですが、共 用部分が綺麗だったり、室内に家具がセットされていたり、ちょっとしたところに特徴があると説得しやすいのです。
・必ず「あて物件」を一緒に見せる。
決めたい物件の特徴を際立たせるためには、特徴のない普通の部屋を先に案内すると効果的です。
特に綺麗でも汚れいるでもなく取り得もない普通の部屋です。これを「あて物件」と呼んでいます。
この原則を守っていたら、仲介する物件が一定になっていました。
数社の物元と自ら物件資料を持ってきてくださるオーナーさんの物件ばかりを決めていました。
物元の担当者もA君に対して「よく決めてくれて有難う」と言ってくれて、優先的に物件を紹介してくれるようになっていました。
A君はますます広告料の出る「決まりやすい物件」を選んで、それ以外の物件は「あて物件」とするか、無視してお客様に紹介しないというスタイルを取るようになりました。
A君のような仲介スタッフは普通に、しかも多くいます。空室を素早く埋めるためには彼らの応援が欠かせません。
募集中の物件が彼らに「本命」として見られているか「あて物件」として扱われているか、あるいは無視されているかは大きな問題です。
オーナー様の物件はいかがでしょうか。