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賃貸経営の節税とは①

司会 今回のテーマは賃貸経営での節税についてです。法人化されているオーナーさんと個人事業でやられているオーナーさんに集まっていただきました。法人化のメリットやその他についてお話しいただきたいと思います。まず、自己紹介をお願いいたします。

A 僕は3棟50室を所有しています。3年前に法人を設立して、3棟のアパートは会社で一括借り上げしています。満室で年間4000万程度の家賃収入になりますが、それを約3000万円で会社に貸し出しています。

F 僕は5年前に24戸のマンションを新築しましたが、その時に法人を設立しました。物件は法人名義にしています。年間の家賃収入は2400万ほどです。

D 個人事業で青色申告しています。ふたつのアパートですが家賃収入は2000万円くらいです。

Y サラリーマン大家です。個人事業で確定申告しています。

W 駅前にテナントビルを所有していて、家賃収入は年間で6000万ほどになります。税理士には法人化することを勧められています。

司会 有難うございます。
さて、まずYさんですが白色申告をされているそうですね。

Y 僕は、賃貸収入だけではまだ食べていけないので、サラリーマンとしての給与所得もあります。あまり時間がとれない関係で白色で確定申告しています。節税策は何もしていないカンジですね。そもそも税金はどのように課税されるものなのですか?そこから勉強しないとダメですね。

A アパートの家賃収入から必要経費を差し引いたのが所得です。その所得額に対して税金がかかります。

Y 「家賃収入-必要経費=所得」ですか。必要経費とは、保険料や固定資産税や業者に支払う手数料などですよね。それからローンの支払い利息とか。

A その通りです。家賃の収入を増やすために直接必要となった支出が必要経費です。

Y じゃあ、必要経費を沢山使ったら所得が減って税金も下がる、ということですか?

F 確かにそうですが、無駄なお金を使っても意味がありませんよね。アパート経営の目的は収益を確保することですから。

Y 多く儲ければ税金が多くかかる・・。節税のために経費を使えば儲けが減ってしまう。矛盾しますね。では・・・どうやって節税するのですか?

F まず、必要経費にできるものはしっかり計上する、ということです。不動産業者への手土産とか、打ち合わせの飲食代とか。自宅で事務処理をしているなら、電気代の何分の一かは必要経費にできるかもしれません。車にかかる費用も必要経費にできるかもしれませんよ。

Y でも、ほとんど通勤に使っているので難しいのではないかな。

F 車でアパートに行ったり管理会社を訪問することはありますよね。Yさんが大家の活動するのは土日だけとしても1ヶ月で8日ありますから、8日÷30日=26.6%なので、25%(4分の1)は事業用として按分して計上する、というのは根拠があると思います。

Y なるほど。お金は出てるのに必要経費として計上していないものがありそうですね。

F 実際にどこまで可能かは税理士さんに相談してみてください。

A もうひとつ、「お金の出ていかない必要経費」を作ることも重要だと思います。

Y お金が出ていかない・・・それで必要経費になるのですか?

D Yさんは白色申告にされているのですね。

Y そうです。帳簿付けとか面倒なので・・・

D 僕は青色申告にしています。これで65万円の特別控除が受けられます。つまり必要経費として計上できます。別に65万円の出費があるワケではありません。(そのためには、ある程度の事業規模と複式簿記での確定申告が必要になるのですが。)そして妻に「専従者給与」として年間300万円を支払っています。合わせて365万の必要経費が計上出来ています。

Y でも、奥さんに300万円を支払ったらお金が減ってしまいますね。それに奥さんに税金がかかるでしょう?

D 確かに、お金は妻の元に移動しますが同じ財布の内ですから(笑)。妻に税金がかかるのも事実ですが、「給与所得控除」もあるので税額は大したことはありません。妻の給与分は僕の所得が減るので、合計で負担する税金を下げることができます。

Y ・・・・なるほどね。「お金の出て行かない必要経費」ですか・・・。僕も帳簿をしっかり付けて青色申告に切り替えようかな。

D ところで、僕は個人事業で青色申告をして、妻に専従者給与を支払う等のことはやっているのですが、AさんFさんのように法人化までは踏み切れていません。法人にすると、どんなメリットがあるのですか。

F 5年前に税理士さんから勧められた理由のひとつが「必要経費と認められる範囲が広い」ということでした。僕の場合は建物の所有者を会社にしているので、家賃2400万がすべて会社の収入になっています。そこから自分と妻に役員報酬という必要経費(損金)を支払っています。これが大きいですよね。

D なるほど自分に給与を支払うのですか。僕は個人事業なので所得がすべて僕の給与みたいなものです。でもFさんは役員報酬なので、個人の給与収入から「給与所得控除」が受けられる、ということですね。会社の収入から給与を必要経費(損金)で落として、更にその給与の中から給与所得控除を受ければ二重の節税になるワケですね。

Y 給与所得控除で二重の節税・・・・って何ですか?

A 給与所得控除とはサラリーマンの必要経費みたいなものです。Yさんが勤務先から受け取る給与は収入ですね。そこから必要経費を差し引いた給与所得に税金がかかるのですがサラリーマンの必要経費って難しいですよね。なので収入に応じて「給与所得控除」が決められていて、その分は誰でも給与収入から差し引けるのです。

Y サラリーマンの必要経費ですか・・。すると法人にすると、自分の給与が必要経費になって、受け取った給与からもう一度、給与所得控除という必要経費が差し引けるのですね。だから「二重の節税」ですか。

それはお得ですね。よく分かりました。

D 法人化すると必要経費と認められる範囲が広くなる、と仰いましたが他にもありますか?

F まだまだありますよ。

司会 続きは次回ですね。
どうも、有難うございました。

 

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