司会 皆さんが退室時のリフォーム工事に心掛けていることは?
E 退室時には原状回復工事をするだけですね。必ず行うのがルームクリーニングと畳の表替えです。
襖や壁紙(クロス)は居住期間が3年以上の時や、期間が短くても傷みや変色が激しいときに張り替えます。そのときは借主に請求しています。
L 同じですね。フローリングの傷や変色があれば補修します。
N おなじく、原状回復工事以外はやっていません。
司会 皆さん、同じようです。
実は退室時には「原状回復にプラスアルファのリフォーム工事」が必要というアイデアがあるのですが?
E プラスアルファの工事?
新しい設備を取り付けるとか?
司会 そうではなく、その工事の目的は「築古感」を取り除くことにあるようです
E 築古感ですか?
A あの・・・。僕はその「原状回復にプラスアルファのリフォーム工事」というのを行っています。
あるオーナーさんのセミナーを聞いたのがキッカケで「その通りだな」と感じて実施しています。
L どういう工事ですか?
A 皆さんが仰るように、原状回復工事とは、壁紙(クロス)の張り替え、畳の表替え、ルームクリーニングが基本ですよね。傷みや汚れがあれば、床(フローリングやCFシート)や天井や扉(襖も)が補修されますが、この原状回復工事から漏れた細かな所が手つかずで放置されると「築古感」を漂わせてしまうのです。
L 原状回復工事から漏れたところ・・・ですか? たとえば?
A たとえば、変色したコンセントとスイッチプレートやカーテンレールなどです。ドアなどの取っ手も、サビや表面塗装が剥がれたりしますね。室内の柱や巾木や敷居とか襖や戸の木枠に使われている木部に、傷やペンキの剥がれや汚れが染みついたりします。蛇口などの水栓や配管も錆びたり汚れが染みついたり、細かなところを挙げるとキリがないですが・・・・(笑)。これらは通常の原状回復工事では交換や補修がされずに、取り残されてしまうのです。
この細かな部位が「なんとなく築古感」を漂わせ、案内されたお客様が新築や築浅物件と決定的な違いを感じるのだそうです。
N うーん・・。分かるけどそれを退室のたびに補修するのですか?
A すべてを補修したら大変なので、僕の場合は1回の工事費は家賃の1ヶ月分を上限と決めて、気になるところを交換か補修してもらっています。
L そういうところは大規模なリニューアル工事の時に一緒に行う、と考えがちだけど、少しずつコツコツと退室のたびに行うのがミソなのですね。
A そうです。少しずつコツコツと・・・・。
L お金の使い方としても理に適っていますね。利益が出ているときに必要経費として処理できますから。
A この前、築10年経っている部屋の退室があったのですが、キッチンセットの表面にカッティングシートを貼ってもらい、扉を開けたシンク下の部分をペイントして、包丁受けを取り替えてもらいました。内見に訪れた奥さんは必ずシンク下を覗くので・・・・。
気になっていたのです。
E うーん。家賃の1ヶ月分か・・・。なかなか捻出するのは厳しいけど。
N 家賃の1ヶ月分は厳しいですが、空室対策に効果があるなら取り入れてみたいですね。
L グレードアップ工事を築20年で行うとしても、それまでの間を原状回復工事だけで過ごしていてはダメなのですね。
A なんとなく築古感を漂わせて、そして、なんとなく内見客が感じてしまう・・・・のです。
司会 有難うございました。