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立退き交渉の成功例と失敗例

 

司会 今回は「立ち退き交渉」を経験されたことのあるオーナーと、これから交渉する必要のあるオーナーに集まっていただきました。いろいろな経験談や教訓をお聞きしたいと思います。

A 5年前に自分で立退き交渉したことがあります。なんとか退去していただくことが出来ました。

司会 成功だったのですか?

A 退去していただき、建物を取り壊せたので成功と言えるかもしれません。でも、ある方との交渉に難航して、最後の解決までに1年以上かかってしまいました。

司会 具体的にお聞かせください。

A 5世帯の方と交渉しました。一番長く住んでいる方がリーダーとなって、残りの4世帯と話し合って巻き込んでしまったのです。

F それで、どうなりました?

A 集団との交渉には応じませんでした。各世帯との賃貸借契約は期間も賃料条件も個別ですから「お話し合いも個別でお願いします」と言いました。4世帯は何とか、こちらの提示額で納得してくれたのですが、巻き込まれたお陰で時間がかかってしまいました。

F リーダー格の人はどうなりました?

A 最初から条件闘争を仕掛けてきました。初めは法外な条件を突きつけてきたんですよ。

H どれくらいですか?

A 家賃の20年分くらいに相当する額です(笑)。

H 20年分ですか!? その方は何年住んでいたのですか?

A 30年近く・・・ですね。

F 30年間に支払った家賃の20年分を返せ、というワケですね。

A そういう計算になりますね。それから何度も交渉の場を設けました。他の借主はすべて退去した淋しいアパートの一室に行って、この方との交渉だけで半年くらいかかってしまいました。一時は諦めかけましが、建て替えはできず、一世帯の賃料収入では税金も払えませんから、最後は悲壮な覚悟で交渉に臨みましたね。

F 立退き料はいくらになりましたか?

A 言いたくありません(笑)。高かったと思いますが一世帯だけだったので何とか捻出しました。

司会 教訓はありますか?

A 立ち退き交渉に慣れた業者さんに任せた方がよかったかな・・とも思います。もし自分でやるなら、借主を見極めて、常識的な交渉の可能な相手からドンドンと進めるべきだと思います。長く住んでいる、賃料が相場より安い、という条件の借主は注意が必要ですね。僕は逆に考えていましたから。

G 僕は立ち退き交渉を管理会社に任せました。

司会 どうだったですか?

G 最初に言われたのが「立退き料を用意してください」でした。

F いくらぐらい?

G まず、借主さんが新しく借りるのに必要な費用ですね。礼金、敷金、手数料などです。それと引越しにかかる実費ですね。それにプラスして迷惑料・・だそうです。

Y 迷惑料ですか?

G ええ、こちらの都合で引っ越してもらうので・・・。

F 合計でいくらですか?

G 僕の場合は家賃の8ヶ月~10ヶ月分くらい・・・というい提示でした。でも全国でみると地域差が大きいみたいです。

H 多いですね?

G 僕も「そんなに多く!」と言ったら、築30年の木造アパートの建て替えでは「老朽化による」という理由では正当事由は認められないでしょう、ということでした。交渉が難航したら立退きは難しくなるので、あくまで「話し合い」での解決しかないのです。「ある程度の金額は覚悟してください」と言われました。

司会 他に言われたことはありますか?

G 今後は借主との直接交渉は避けるように、です。もし借主が何か言ってきても「不動産会社に任せたので」と言ってください、と。

Y なるほど、窓口が2つあるのは良くないですものね。

H 結果はどうなりました?

G ちょうど6ヶ月で完了しました。Aさんのように交渉が難航した借主が一人いて、最初は「出て行かない」と言ったので、この方だけ残して交渉を進めたようです。最後は退去に応じてくれましたが、立退き料は一番高くなりました。でも、少なめで退去してくれた方もいたので、平均すると最初の提示額の範囲で収まりました。

Y やっぱり不動産業者に任せた方がいいのですね?

C 経験があって信頼できる業者がいれば・・・ですね(笑)。

司会 その他で失敗例をご存知ありませんか?

A いきなり内容証明を送りつけるのはよくない、と言いますね。

H なぜですか? 大家は6ヶ月前の通告が義務付けられているから「通告した」という事実は残した方がいいのではないでしょうか。

A Gさんも言っていた通り、大家側に正当事由が認められないことが多いので、あくまでも話し合いが大事なんですね。いきなり内容証明では相手の気持ちを硬化させてしまうのです。

Y 硬化させたら交渉が長引く、立退き料も増える、ということですね。対決ではなく話し合いの精神で臨まなければいけない。

H 感情的になってはならない、ということですね。僕には難しいかも(笑)。

Y Hさんは他人(ひと)に任せた方がいいようですね(笑)。

C 定期借家をうまく活用する、という方法もありますよね。

F どのようにですか?

C たとえば築30年で、あと5年~10年の間には「取り壊すだろう」という場合、新規の契約は定期借家にしておいた方がいいですよね。契約期間は5年の長さでも良いでしょうし。

Y うん、そうすれば正当事由は必要なしで契約は終わらせることが出来ますね。

A 入居中の借主も更新のときに定期借家に切り替えできますか?

C 定期借家が施行された平成12年3月1日以後の賃貸借契約なら可能なので、ほとんどのケースで大丈夫だと思います。でも、その前から契約している場合は「認めない」ということになっているそうです。

Y なるほど。「建て替え」とか「取り壊し」が視野に入ってきたら、更新の時に「定期借家に切り替えませんか」と交渉するのは、たとえ「ダメ元」でもトライすべきですね。

A 借主に何かメリットがあるといいかもしれません。少し賃料を下げるとか、希望する設備を取り替えたり新設するとか・・・。

H 定期借家なら「立退き料ゼロ」で本当に解決するのでしょうか?

C 法律的にはそうですね。その時になってゴネる借主はあるかもしれませんが、大家の立場が普通の借家契約とは全然違うので有利です。

司会 はい、有難うございました。
建物に寿命がある以上「取り壊しのための立ち退き交渉」は避けられません。賃貸経営の宿命です。それを意識している大家さんは少ないかもしれません。
そのときに、精神的にも金銭的にもダメージを少なくできるように準備しておきたいものです。

本日のお話で見えてきたことは、

・借主との関係を良好に保つ
・相場以下の条件では貸さない
・定期借家制度を上手く活用する
・任せられる業者を持つ
こんなところでしょうか。

本日は有難うございました。

 

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