先日、あるセミナーを受けました。
とても感銘を受けたのでシェアしたいと思います。
あなた(もしくは、あなたのスタッフ)が、初めてのオーナー宅に訪問したと想像してください。
運よく玄関まで通していただきました。
「はじめまして、○○不動産の〇〇と申します」と「綺麗なお辞儀」をして挨拶します。
そして「名刺の裏に私の紹介が書いてございます」と言います。
言われた人は100%、裏返して確認します。
すると、
「ほーっ、ワンちゃんを飼っているんですか」とか、
「ああ、この街のご出身なんですね」と反応してくれます。
名刺の裏の家族欄に「太郎(ボストンテリア)」とか、
出身地に「〇〇町居住歴25年」などと書いてあったのです。
最初の出会いで、少しだけ、距離が近づけた感じです。
これを「レベル11」といいます。
運よく応接室まで案内されました。
あなたは「失礼します」と言ってハンカチを広げ、その上にカバンを置きます。
オーナーさんは「そんなことまでしなくても、いいんですよ」と、少し驚いたような反応を見せました。
なぜ、カバンの下にハンカチを置くのでしょう。
カバンを外に持ち歩いているときは、両手が塞がると「ついつい」地面に置いてしまうことがありますよね。
それを、そのまま家の中に持ち込むのは、
「靴を履いたまま上がり込む」のと理屈は同じと、あなたが考えているからです。
だからハンカチを敷くのです。
オーナーさんも、それを知っているから「そこまでしなくても」と言ったのです。
今まで、このような営業スタッフは見たことがないかもしれません。
これを「レベル11」といいます。
あなたはご主人に、あなたの賃貸管理の利点を、一所懸命に説明しています。
オーナーさんも「ふむふむ」と聞き入ってくれている様子です。
あなたの言葉には熱が入ってきました。
そのとき戸が開いて、奥様がお茶を持ってきてくれました。
お茶が差し出されるとき、あなたは、どんなに話が佳境でも会話を止めて、奥様に向き直って頭を下げます。
「ありがとうございます」
そして、部屋を出ていく奥様が振り返って一礼したときも、
「ごちそうさまです」と会釈をします。
これを「レベル11」といいます。
賃貸管理の説明が終り、質問もいくつかいただきました。
「前向きに検討するよ」と言っていただき席を立つときに、
あなたは飲み干した湯呑を、オーナーの湯呑にスーっと近づけます。
奥様があとで片づけるとき、この方が片付けやすいからです。
そして玄関で靴を履き、振り返って、
「本日はお話を聞いていただきまして、有難うございました」と深々と頭をさげます。
頭をさげた状態で2秒くらい静止するような挨拶です。
外に出て玄関の戸が閉まり、オーナーの姿が見えなくなった後も、もう一度、深々と頭をさげて、そして帰ります。
これを「レベル11」といいます。
僕が受けたセミナーでは、このような事例が数多く紹介されていきます。
あなたは「レベル11ってなんだ?」と思いましたよね?
説明しましょう。
普通の営業スタッフの「振る舞い」をレベル10と定義するのです。
これは、不動産会社の営業スタッフの基準値です。
たとえば、不動産会社の営業スタッフは、
「髪の毛が短くしっかりと整えられて」いますか?
そうではないですね。
長くしている人もいるし、中には「ちょっとむさ苦しい」と感じる人もいます。
不動産会社の営業スタッフは、
「濃紺かグレーのスーツ、白いワイ(カッター)シャツ、黒い靴」というスタイルですか?
そうではないですね。
色々な素材の、色々なカラーのスーツやジャケットや靴を着用しています。
中にはネクタイを「だらしなく」ゆるめている人もいます。
不動産会社の営業スタッフは、
「元気で明るく礼儀正しい挨拶」をしますか?
そうではないですよね。
「挨拶の作法と重要性」を教わっていない人が多い業界だと思います。
中には「米つきバッタ」みたいに、頭をチョコチョコと下げる人もいます。
怒らないでください。
これが、世間一般の「不動産会社の営業スタッフ」に対するイメージではないでしょうか。
100人いたら90人以上は抱いているイメージです。
これを「レベル10」と定義するのです。
だから「レベル10」は業界や業種によって違います。
たとえば、大手の証券会社のスタッフと、
街の不動産会社のスタッフに対する一般的なイメージは違います。
つまり、それぞれの「レベル10の基準」は違うのです。
ある業界では当たり前の振る舞いが、
ある業界では「レベル11」になります。
京都のMKタクシーが、
世間一般の「タクシーの運転手さん」のイメージを覆して人気を集めましたね。
当時のタクシー業界の従業員の基準値=レベル10は低かったのです。
そして、MKタクシーは「レベル11」を実現したのです。
(実際は、レベル15くらいの差だったかもしれません)
あなた(もしくは、あなたのスタッフ)も、
オーナーさんや
部屋を探すお客様や
管理物件の入居者さんに対する振る舞いで
「レベル11」を目指しませんか。
「たった1の差」が、積もり積もって「大きな差」となります。
同じ商品を売っている会社で、
営業スタッフの成果に大きな差がでるのは、
「売れるか売れないかを決めるのは『商品』ではない」ということの証拠です。
決めるのは「営業スタッフの振る舞い」です。
では、才能とか能力が「それほど」大きく違うのか。
そうではありませんね。
「たったレベル1の差」だったりするのです。
とても「いい話」だと思いませんか。
このセミナーの講師は、川田修氏。
著書に「かばんはハンカチの上に置きなさい」というベストセラーがあります。
(Kindle版もあります)
川田氏はセミナーの冒頭でこのように仰いました。
営業の目的は「買っていただくこと」ではありません。
それは、「紹介していただくこと」です、と。
同感ですね。
不動産会社の営業スタッフは、
買って(借りて)くれたことで満足して、
そのあとは「お客様との縁」を切っている人が多いですよね。
もし僕が、
「一回だけの取り引き」を目的に今の商売をしていたら、
とっくに「干え上がって」いますよ。
あなたも、あなたが受けたサービスの「レベル11」を思い返してみてください。
そして、
あなたの日常の振る舞いの「レベル11」を考えてみてください。