退去時のリフォームには、少なくとも二通りありますよね。
ひとつは原状回復のためのリフォームです。
入居時の状態に戻すために行う工事ですが、
戻しているのは、壁クロス、畳、襖、くらいのもの。
そしてルームクリーニング・・・。
たまに、フローリングの補修や、
この原状回復リフォームだけを繰り返していたら、
あなたが管理している物件の商品価値は市場の相場以上に低下して
原状回復リフォームで修復されない個所が、
退去時にはもうひとつ、
「グレードアップさせるための」リフォームが必要です。
この「グレードアップのためのリフォーム」はさらに、
「目的と効果」によってふたつに分類されます。
ひとつは「新しさを取り戻すためのリフォーム」、
もうひとつは「ライバル物件に差をつけるためのリフォーム」
この違いを理解して、
そして意識しながら、
オーナーに提案していく必要があります。
提案する側が理解・意識できていないと、
もう少し詳しく説明しましょう。
「新しさを取り戻すためのリフォーム」とはどんなものか。
たとえば木製部分。
窓枠とか敷居とかドア・扉・戸など・・・
この部分の表面や角の部分が、傷んだり、剥げたり、変色したり、
プラスチック部分も、欠けたり変色したり、しますね。
ドアや扉の取っ手やノブや、
蛇口やシャワーヘッド・・・
キッチンの収納扉の表面 などなど
経年と使用によって劣化していきます。
内見時に、女性だったらキッチンの扉を開けますよね(
そこに見えるのは「カビで薄汚れたベニヤ板」だったり、
変色したり欠けている「包丁受け」や錆びた「S字パイプ」
それだけで「ここはイヤだな」と思うかもしれません。
照明器具も、
10年も経てば、デザインや機能も古いし、
キッチン・トイレ・
(あー、ひとつひとつ挙げていくとキリがない・・・)
これらは通常の原状回復リフォームでは「見逃され」
なんとなく「古さ」を感じさせてしまう原因になっています。
その「古さ」を野放しにしてはいけません。
あなたの管理物件が築5年を過ぎたくらいから注意が必要です。
オーナーに「新しさを取り戻すためのリフォーム」
「5年は早すぎる」と思うかも知れませんが、
この頃から先手をうって「目を光らせる」べきです。
問題がなければ先に延ばせばいいのですから。
実際に我が家のサッシ周りの木製部分は、
築5年でペンキが剥げ、少し腐食し始めたので塗り直しました。
(費用をケチりすぎて“手抜き”されたいとう噂もありますが)
では具体的にどのように行うのか、
いまも現場にいるあなたの方が詳しいでしょう。
木製部分ならペンキやオイルステンで塗り替え。
プラスチック部分は取り替え。
金具の部分は「入念に磨く」か取り替える。
キッチンの収納扉は“塩ビ製化粧シート”を貼る。
※塩ビ製化粧シート=スリーエムでは「ダイノックシート」
キッチンのシンク下の収納部分のベニヤ板にはペンキを塗る。
これらのリフォームは「ある時突然」一気に実施するのではなく、
退去のたびにコツコツと行っていくのが「ミソ」です。
費用も家賃の1ヶ月以内に抑えればオーナーも承諾しやすいはずで
そのとき、
リフォームの「目的と効果」を説明することが、説得のカギです。
そう、
「原状回復リフォームだけでは“見逃されて”
目立ち始めたところから修復したいと思います。
そうすれば、お客様が何となく感じる「古さ」
このように説明すればいいですね。
もうひとつは「ライバル物件に差をつけるためのリフォーム」
同じエリアに、
同じ時期に、
同じタイプのライバル物件が多く募集中になっていますよね。
それらのライバルに「どのような」
たとえば和室。
和室を洋室に変更するという選択肢ありますが、
この方法は「差をつける」ことにはなりませんね。
どこもかしこも「やっている」からです。
二部屋とも洋室の2DKや2LDKは珍しくなくなりました。
オーナーに投資を提案するときには、
「このリフォームはライバルと差が付くか?」
同じような物件は供給過剰なのは明白ですから。
そうでないと単なる「自己満足のリフォーム提案」
(言い過ぎてます?)
でも和室の場合、
「琉球畳」や「カラー畳」なら珍しいのではないでしょうか。
畳縁(ふち)を豪華にしてみるのも「あり」ではないでしょうか。
襖(ふすま)も「有り勝ち」な模様でなく洋風を用いるとか、
昔からある日本古来の色(茜色、江戸紫、桔梗など)
木部を濃いめのオイルステンで全て覆ってしまうとか、
天井材や照明器具に凝るのも「あり」ではないでしょうか。
“ジャパニーズモダン”という用語を調べると、
「現代の工芸・室内装飾の分野において、
「まさに」という感じですが、参考になるフレーズだと思います。
和室は決して「嫌われている」のではありません。
古さの目立つキッチンセットの化粧面には、
「真っ赤な塩ビ製化粧シート」
(もちろんバランスとセンスは重要ですね)
ユニットバスの壁の一面だけ、
「木目の塩ビ製化粧シート」
ホテルの浴室のような豪華の印象でした。
広い壁は家具を置くスペースとしても重要ですが、
様々なアイディアを試してみるキャンパスのようなものだと思いま
稼働式棚を取り付けるとか、
ポスターが自由に飾れるピクチャーレールを取り付けるとか。
※
キーワードは「ライバルと差がつくかどうか」です。
そして「投資に見合うかどうか」です。
決して「お金をかける」方法だけが、
競争力を失いつつある物件には、
退去のたびに、
「ライバル物件に差をつけるためのリフォーム」
あなたのアイディアを実現すべきです。
あなたがプロパティマネジメントを行っているなら、
あるいは目指しているなら、
その目的は「オーナーの収益改善に貢献すること」でしょう。
そのために「リフォーム提案」は必須です。
オーナーに了承をいただけるカギは、
そのリフォームの「目的と効果」が明確に説明できることです。
その前にあなたが「目的と効果」に納得していることなのです。
あなたが行っている「リフォーム提案」は、
あなたにとってもオーナーにとっても「明確」ですか?