あるコンサルティング先の営業スタッフに「彼」はいました。
彼のことを「まんべんなくさん」と呼ぶことにします。
理由は、
いつも、まんべんなく、成績が悪い営業スタッフだから・・・。
毎月の営業会議で「まんべんなくさん」に、
「なぜ、営業成績が振るわないのか」を自分で気付いてほしいと思いました。
そのために「お客様カード」をチェックすることがあります。
月初めから応対したお客様について、ひとりひとり、
部屋を探す理由や、
どんな生活をしたいのか、
何を紹介して、
どのようにクロージングしたのか、
掘り下げて聞いていくのです。
その過程で「まんべんなくさん」の欠点が、本人の気付くところとなればいいと思っています。
ある日、「お客様応対チェック」を実施しました。
そこで最初に気が付いた「まんべくなくさん」の共通点は、
【お客様のことを覚えていない】ということです。
僕が「このお客様は?」と尋ねると、
「えーと・・・」と、すぐに答えられません。
僕は「去年のお客様の事を聞いてるのではないよ」と言いますが、
「うーん・・・」と、なかなか出てきません。
その原因は、お客様のことを真剣に考えていないからでしょう。
接客中も「集中」していないのです。
たとえば、お客様の先に玄関ドアが見えるとします。
「まんべくなくさん」はお客様と話している最中でも、
ドアが開くたびに視線をお客様から逸(そ)らしてドアに向けます。
電話が鳴るたびに意識をそちらに向かわせます。
接客中は、お客様だけに意識を集中すべきですよね。
また、
いつもお客様のために物件を探していないのです。
だから覚えていないのでしょう。
これでは、敷居の高い不動産会社に入って、
心ならずも、自分の私生活を明かしたお客様が可哀そうですね。
2番目の共通点は、
【お客様カードの未記入が多い】ということです。
何も聞けていないようです。
たとえば「勤務先」が書かれていません。
僕は「勤務先を聞かないで物件を紹介できる?」と問いますが、
「別に・・・仕事先を聞かなくても紹介できますよね」と言い返します。
下手をすると、氏名と住所と携帯番号だけしか書かれていないカードもあります。
「これじゃ、お客様の事を覚えられないよな・・・」とも思います。
僕はよく言います。
「お客様カードなんて、不要なら無くした方がいい」
お客様は何も聞かれないで、物件だけ紹介してほしいと思っているはずです。
誰だって、初めて会った不動産会社のスタッフに、
勤務先や家族のことを明かしたくはないでしょう。
ソフトバンクに行って「携帯が欲しい」と言うお客様に
「何に使うの?ご家族は何名?」なんて、上戸彩でも聞きはしません。
お客様カードなんて無い方がお客様の希望に沿っていると思います。
でも、それでは、お客様に住んでいただく物件を紹介できないから、
仕方なくお客様カードに記入しています。
あなたの会社のお客様カードで、
スタッフの多くが未記入の項目があり、
それで営業成績に支障がないのなら、
その項目は削除した方がいいです。
お客様カードはシンプルにできるなら、それに越したことはありません。
あなたのお客様カードに残っている項目は、必要だから残っているのです。
「まんべんなくさん」は、
「聞くべきこと」が聞けていないから
「まんべんなくさん」なのです。
このあとも「まんべんなくさん」の共通点が続きます。