前回に続いて「空室対策」の話です。

お部屋が決まらない理由は様々にありますね。
その理由を知り、
それを取り除く作業が「空室対策」と言えると思います。
もちろん、前回の話のように、
「オーナーの目的に沿った方法で」という大切な前提があります。

お部屋が決まらない理由を探る時は、二つの観点があります。
それは、
・案内が行われていない、のか
・案内はしているのだが、決まらない、のか　　です。

当たり前の話ですが、案内をしなければ、部屋に申込みは入りません。
もし、ほとんど案内がないのに「決まらない」と嘆いているなら、
まず案内を発生させることです。

もし、何度もお客様を案内しているのに決まらないなら、
お客様から評価されない「何か」を探すことです。

なので、ある物件の「空室対策」を考えるときは、
・案内が行われているか
・案内しても申し込みがないのか、
を、整理して下さい。

ある管理会社に伺った時のこと、
「もう半年近く、空室のままの物件があります。
　何か、いい案はありますか」
みたいな相談を受けました。
僕は、そんな相談を受けると反射的に質問します。
「ここ1カ月の間で、案内は何件　行われましたか？
　自社、他社を問わず」

そうすると、すぐに答えが返ってきませんでした。
「たぶん・・・・1～2回だと思います」
みたいな、あやふやな答えが多いですね。

意外なことに、
空室ごとの案内件数を把握していないケースが多いんです。
案内がなければ、部屋が決まることはないのに｡｡｡｡

普通に想像すると、半年近く空いている部屋だったら、
最初のうちは案内がある程度発生しますが、
時間が経つにつれて、その件数が減っていると思います。
この管理会社さんの場合も、ここ1カ月の案内は、
ほとんど発生していないかもしれません。
それでは、決まるはずがありませんね。

なので、「案内していない」ことが問題なのです。

空室対策は、
「案内を増やすため」と「案内後の決定率を上げるため」と、
ふたつに分けて考えるべきです。

そのためには、空室ごとに、案内実績を把握しましょう。
出来れば、決まらない理由（お客様が決めなかった理由）を
尋ねてメモしておくといいです。
これは、オーナーさんを説得するときの材料になりますから。

まず、案内を発生させるために、どんな方法が考えられますか？
すぐに思いつくだけでも、
・しっかりとした案内図面を用意する
よくある「毎速図面」ではなく、
その部屋の魅力をアピールしたカラー図面を作りましょう。

・業者に周知する（できればＡＤ付きで）
・現地に鍵を置く
・初期費用、フリーレント等の「おすすめポイント」を用意する
・もし、募集賃料が近隣相場より高いなら、値下げを提案する
・そして、担当者を決める

まだまだ、あるはずですが、「案内を増やす」ことに絞って、対策案を考えます。

それでも案内が発生しないなら、
さらに強化し、実施案も追加すべきでしょう。

つぎに、案内後の決定率をあげるために、どんな方法が考えられますか？

「いい物件」は、少ない案内件数で決まります。
魅力に乏しい物件は、決まるために、より多くの案内が必要でしょう。

・部屋に家具等を置く（モデルルーム化）
・玄関マット、スリッパ、消臭剤を玄関におく
・周辺マップを用意する
・設備などに説明用のPOP広告を貼る
・照明器具も標準装備する
・エントランス、階段、通路などを綺麗にしておく
・定期的に、室内の換気、清掃、水差しを行う

自分の部屋にお客様を迎える、
ことを想定すれば、「当たり前のこと」ばかりですね。

さらに、オーナーに費用を負担していただかなければなりませんが、

・物件のターゲット（住んでもらいたい人）の望む設備を追加する
・物件のターゲットが好むクロスに貼り替える なども、許容範囲の提案でしょう。

前回も言いましたが、5000円の賃料を下げるなら、
5年間、毎月5000円を支払う気になれば、278,000円が使えます。
一部屋に278,000円の予算なら、いろいろな提案ができます。

まとめますが、
部屋を決めるには、
まず「案内すること」が前提です（超当たり前ですが）。

そのために、案内の実績を把握して、
その対策を、部屋ごとに立てましょう。

つぎに、「決まりやすい」状況を現地に作りましょう。
「自分の部屋にお客様を迎える」をテーマにすると良いと思います。

これらが、日常業務の中で当たり前に行えるように、
「空室対策」「稼働率（入居率）アップ」というスローガンが、
社内に浸透していることが大前提となります。

「空室対策会議」の実施や、
「空室対策委員会」の設置など、
とても、よいアイディアだと思います。