賃貸管理入門編の9回目の記事で、
「解約受付から退去立ち会い」を解説しました。
借主からの解約連絡を受けて一覧表に記入する流れと、
退去立ち会いの実務について話をしました。
今回の中級編では、
空いた部屋をいかに早く埋めるか、について項目ごとに説明いたします。
1.解約を止める
借主からの解約連絡を受けたとき、管理スタッフはまず、
「この解約要請は止めることは出来ないか」と考えます。
退去を思いとどまっていただければ、この後の立ち会いも募集も不必要です。
入居率も下がりません。
大家さんにとっても管理会社にとっても一番良い結果です。
そのために「退去理由」を聞き出す必要があります。
普通に聞けば、当たり障りのない理由を言うかもしれません。
転勤とか結婚とか、遠くの地域に行くという理由なら止められませんが、
引っ越し先が近隣で、賃貸条件も大きく変わっていないなら、
「なぜ 住み替えるのか?」について真実の理由を知りたいのです。
理由の内容によっては、その原因を取り除くことで、
解約を思いとどまってもらえるかもしれません。
2.改善のヒントをつかむ
もし、解約の真実の理由が、上の階の借主の騒音だったとしたら、
このまま放っておくわけにはいきません。
その音が許容範囲か否かを確かめる必要があります。
許容範囲を超える音を放っておいたら、次の借主でも、
退去かクレームにつながることは確実です。
解約の理由には、このような重要な秘め事が埋もれている場合があります。
もし借主の解約の理由が、
同じ街で、もっと設備等の条件の良い物件が
同じくらいの価格で募集されていることだったら、
大家さんに交渉をするべきでしょう。
そして家賃を下げるか設備をつけてあげるかという条件で、
このまま住み続けてもらえるように借主に交渉します。
退去されてしまえば次の家賃は下がりますし、
新たな設備にお金を使わなければならないのですから、
いま住んでくれている方に投資した方が生きたお金になります。
このように、管理物件にも、
物件で暮らしている借主にも、
そして あなたの賃貸管理にも、
常に改善の余地はありますので、
それを見つける機会として、解約連絡の受け方を考えてください。
3.決まる条件を大家さんに提案する。
やむを得ない理由の退去であれば、
解約と退去についてすぐに大家さんに伝えます。
そのときに「つぎの募集条件」を決めることになりますが、
それを大家さんに尋ねるのではなく、管理会社から提案します。
その提案は「1ヶ月か2ヶ月で決まる募集条件」です。
あなたが1ヶ月か2ヶ月で決める自信のある募集条件を提案してください。
あなたが「少し高いな」とか、
「この設備では決めるのは難しいな」と思う条件で募集しても時間のムダです。
募集して2~3ヶ月経ってから条件を変えても、過ぎた時間は戻りません。
その間のあなたの努力もムダになります。
だから、募集する人間が、
「これなら1~2ヶ月で決められる」と自信の持てる条件を提案するのです。
もし断られてもいいのです。
そのままの条件で決まったらラッキーですし、
あなたの査定にも反省すべき点があったのかもしれません。
それは事例を重ねながら修正していくしかありません。
断られて1ヶ月経っても決まる様子がないなら、
「反響も少ないので前の提案でいかがでしょう」と再提案ができます。
断られるのを恐れることはないのです。
その代わり、大家さんのこれからの収入を決める査定ですから、
その都度、真剣に募集中のライバル物件を見回して決めてください。
その繰り返しで査定能力は身につくのです。
4.原状回復工事完了までを時短する。
退去立ち会いしてから原状回復工事完了までの期間を可能な限り短くします。
工事が終わらないとお客様は内見できませんので、
その日を一日でも早くするのです。
まず、退去立会いからリフォーム業者の見積り提出までの時間に目標を持ちます。
放っておくとすぐに数日が過ぎてしまいます。
この時間を短くするためにも、
退去立ち会いをリフォーム業者に同行してもらうのは合理的です。
次に、見積りを受け取ってから工事発注の時間にも目標を持ちます。
この間には、工事金額を大家さんと借主の負担に分けて、
大家さんと借主の双方に了承をもらうという作業があります。
このとき、
大家さんや借主との連絡がつかない、
借主から工事内容について不満を言われる、
などの事態が工事短縮を邪魔することがあります。
この間の時短に目標意識があるなら、
大家さんと借主との連絡が付きやすい方法をあらかじめ決めておくでしょうし、
退去立ち会いのときに借主にある程度の金額を提示して了解を得ておくはずです。
このような言い訳が出ないように、この期間の時短目標を徹底してください。
次は、工事発注から完了までの期間にも目標を持ちます。
リフォーム業者は、他にいくつもの現場を抱えていますし、
なるべく余裕のある工事期間を欲しがるのは当然です。
そこで「いつまでに出来ますか?」と聞けば先方の都合に合わせられてしまうので、
「○日までにお願いします」と、こちらから期日を指定します。
その上で、少し伸ばすなら、交渉に応じれば良いのです。
ただし、業者泣かせのような厳しい条件を常に押し付けるのはやめましょう。
必ず、見えないところでしっぺ返しをされると思ってください。
関係業者さんとは、持ちつ持たれつの良い関係を築かないと、
長い間の良い仕事関係は期待できません。
それにしても、
「あの会社は、期日や仕事の質には厳しい」
というイメージは持ってもらうことは良いことです。
このように、
借主の退去日から工事完了までの期間を、
一日でも半日でも短くする仕組みを作り上げてください。
5.速やかに募集活動に入る。
解約連絡を受けて、つぎの募集条件が決まったら、
速やかに募集活動に入ります。
間取り図や写真を揃えてインターネットに登録。
同じく募集図面を作成。
レインズに登録。
業者に募集情報を配布。
現地に看板や幟を設置。
店頭に図面を貼りだし。
見込み客に情報発信。
インターネット掲載の室内写真は、必要であれば工事完了後に撮って差し替え。
特にインターネットに掲載する際は、
サイトに掲載できる限度一杯の枚数を掲載すること。
一枚一枚の写真を綺麗に情報豊富に撮影すること。
パノラマや動画も駆使すること。
間取図は見やすく分かりやすく作成すること。
コメント欄の文はお客様を想定して限度一杯に書くこと。
などに100点満点のレベルを維持してください。
解約受付から退去立ち会い、そのあとに続く募集活動を、
単なる賃貸管理の作業と捉えると、
賃貸管理のレベルアップにつながりません。
これはテナントリテンションのためと、
高い入居率の維持のために
極めて重要な業務であることを理解していただき、
ひとつひとつの質を高めてください。
【賃貸管理中級編⑧】正しい解約受付から入居募集の流れ への1件のコメント