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【賃貸管理中級編⑦】入居率をあげる更新契約の流れ

賃貸管理入門編の8回目の記事で
「更新契約処理」について解説しました。

この中で、更新契約の流れについてはすべて説明してありますので、
今回の記事では、
テナントリテンション(借主の満足度を高くする)という視点で、
更新を戦略的にみてみたいと思います。

前の更新契約についての記事で、
更新の目的を次のように書きました。

1.借主の最新状況を把握する。
これは管理会社として必ず把握しておくべき情報です。

2.借主の不便・不満・要望を知る。 
借主の満足度を高めるためには、とても重要な目的です。

3.退去を防ぐ、あるいは改善に活かせる。
これがテナントリテンションの真の目的です。

4.更新手数料を得る(稼ぐ)。
この大事な収入を失わないようにしたいのです。

特に3.と4.について掘り下げましょう。

関東や京滋地区では2年ごとの更新契約のときに、
新賃料の半分を更新事務手数料として
借主から徴収するという慣習が行われてきました。

これは管理会社の大きな収入源です。

しかし、更新料と更新事務手数料を負担する借主の立場が、
相対的に貸主よりも強くなっている現在では、
いつまで既得権として維持できるかは不透明です。

礼金がゼロになりつつある現状をみれば、
つぎに無くなるのは更新料という予想も見当違いではありません。
大家さんが更新料収入を失ったら、
不動産会社の更新事務手数料も「今まで通り」とはいかないでしょう。

更新事務手数料という収入を失っても大丈夫な体制に変えておくか、
あらたなサービスで収入を生み出すか、
いずれにしても備えておく必要はあるのではないでしょうか。

そのために、更新というイベントを、
大家さんのためだけでなく、
借主の利益にもつながるイベントへと
進化させていく必要があると考えています。

前回の記事とダブる部分もありますが、
そのアイディアを披露させていただきます。

「住むほどに得するという仕組み」

昭和40年から60年代は家賃が上がり続けていましたので、
永く住んでいる借主と、入居したばかりの借主とでは、
支払う家賃に差がありました。
前から住んでいる借主の方が低い家賃で住めていたので、
住み替えの抑止となっていました。

当時は更新ごとに家賃を上げてはいましたが、
募集家賃の上昇と同じ率で値上げする訳にはいかないので、
新旧の借主に差が生まれていたのです。

それが平成4年頃から全国の家賃相場が下がり出すと、
その家賃差が逆転し始めました。

いまでは、
5年前から住んでいる借主より、
これから入居する借主の負担する家賃の方が安いという事例も多くみられます。
しかも5年前から暮らす部屋にはエアコンが付いていないのに、
新しい部屋はエアコン付きで募集されていたりします。

この「永く暮らすほど損をする」という状況を放っておいたら、
適当な時期に借主が住み替えを検討するのは当然のことです。
合意更新の地域なら なおさら です。

いま募集されている他の物件が、

礼金敷金ゼロとか、
入居時の費用ゼロとか、
1ヶ月のフリーレントとか、
エアコン、TVドアホン、Wifi無料などの条件で募集されているのを知れば
目が移るのは当然です。

そこに「更新料・更新手数料・保険料・保証料が必要です」という、
無愛想な通知を届けるということは、
「どうぞ、住み替えを検討してください」と言っているようなものです。

このような、
永く利用してくれている馴染み客を大事にしない商売は、
他にあまりないのではないでしょうか。

そこで発想を変えて、
「更新するごとに得をする仕組み」を、
大家さんに提案してはどうでしょうか。

その費用は大家さんにご負担いただきますが、
それで無駄な退去が防げるなら、
大家さんにとって意味のある経費となります。

なぜなら大家さんにとって退去とは、
数ヶ月の空室による家賃収入ロスがあり、
家賃を下げることの収入減や
リフォーム等の出費増があり、
広告料などの出費も重なるという、
良いことがひとつも無い事件なのです。

これを防ぐと言うことは大きな利益になりますので、
借主に更新ごとに得を与えるという考えは、
ご理解いただけるのではないかと思います。

では具体的に、どんな得を与えれば良いでしょうか?

・借主が希望する設備をつけてあげる。

エアコン、TVドアホン、バス乾燥機、備え付けの大型テレビなど、
借主が希望する設備をつけて差し上げます。
これは大家さんの資産が増えるので見返りのある投資です。
家賃の2ヶ月分くらいの予算を組んでも損は無いと思います。

・設備以外のモノをプレゼントする。

駅から遠いなら電動アシスト自転車とか、
4年以上の借主には畳の表替えやルームクリーニングのサービスなどです。
これは大家さんの資産価値には影響しないので家賃の1ヶ月程度の予算でしょうか。

・話題性のあるサービスをプレゼントする。

東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンの招待券。
それ以外のプレミアチケットを差し上げるなどです。

これらのサービスは契約時に説明しておくことで、
イベントとしての面白さがさらに増すと思います。

そしてサービスを受けた借主さんの姿を「お客様の声」として
ホームページに残しておけば、
物件や管理会社のイメージアップとしても活用できるでしょう。

ぜひ、検討していただきたいと思います。

「借主の不満や不安を聞く機会に」

もうひとつの更新を借主のためのイベントにするアイディアは、
借主が抱いている不満や疑問や不安などを、
たとえ小さなコトでも良いので聞いてあげる機会にするということです。

最近の借主は、
昔よりもクレームや要望を遠慮しないで主張するようになったように思います。
30年前の賃貸管理の現場と比べてみると、
クレームの数も増えて、内容も重くなっているように思います。

しかし、すべての不満や不安が明らかにされている訳ではありません。
静かで人の良い、大家さんにとって最も住んでいただきたい借主は、
あまり小さなコトまでは主張しないで暮らしています。
でもそれは、何かのキッカケがあれば解約の理由になります。
ですから何か問題に感じているなら、大きな芽に育つ前に聞き出したいのです。

それを聞くタイミングは2年ごとの更新が一番適しているのです。

実務的には、
更新の際は借主さんに来店していただき、
お茶とケーキでもお出しして、2年間のご利用のお礼を述べて、
この間に借主さんの状況の変化があれば聞き出しつつ、
「何か、ご不満や問題などがありましたら お聞かせください」
と尋ねるという段取りになるでしょう。

来店応対に手間がかかって出来ない、と言うならば
郵送によるアンケートとなりますが、
なかなか本音は語っていただけないと思います。

やはり、ケーキとお茶くらいは出して、
おもてなしの姿勢を見せることで、
2年間の感謝という気持ちを伝えることができるのではないでしょうか。

こういうところで人間関係を作っておくことで、
借主さんの住み替えの相談を事前にしていただけるようにもなるのです。
売買の斡旋につながるかもしれません。

そして、聞き出した不満や問題点などは、
あとで「どうすべきか?」について吟味をすることになります。
すべてが取り上げるべき課題ではありませんが、
借主の退去を防ぐヒントも見つかる可能性もあります。
検討に値する問題点を指摘いただいた借主さんには、
必ず事後に報告を忘れないでください。

前回の更新の記事では、
更新の流れを「郵便のやり取りで行う」と説明しました。
しかし、今回の記事のアイディアでは、更新の時には、
借主さんとお会いすることが前提となります。

実務的には、この点が一番検討すべきところであり、
実現の難しいところでもあります。

業務の効率化を優先するなら、郵送か電子契約で済ませたいでしょう。
防げる退去を止めたり、借主と関係性を強化することに重きをおくなら、
2年に1度くらいは、正式なカタチでお会いする機会を作るべきです。

賃貸管理の業務を決めるときの重要なポイントです。
十分に検討してください。

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