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空室対策編① 家賃と物件価値のバランスを合わせる

あけましておめでとうございます。
2025年が明けました。

すでに繁忙期が始まっているので
ゆっくり読んでいる場合ではないかもしれませんが、
まだ間に合う空室対策について解説していきますので
時間を作ってお読みください。
週一ペースで配信していく予定です。

大家さんに提案する空室対策の基本は、
物件の価値と募集する家賃のバランスが合っていることです。

お部屋を探しているお客様はインターネットで多くの物件を見ていますので、
家賃と物件価値のバランスを無意識に秤(はかり)にかけています。
この中で、少しでも家賃より価値の高い物件を見つけようとしていますから、
バランスの著しく崩れている物件は見向きもされません。

つまり誰も問い合わせてこないのです。

余談ですが、ポータルサイトが用意している管理画面で
掲載している物件がお客様に閲覧されているかを確認できます。
ここで、詳細画面が表示されている数が極端に低い物件は
価値と家賃のバランスが合っていない、ということです。
すぐに何かを変えた方がいいですよ。

たとえば、5年間暮らした借主が退去するとします。
大家さんに次の募集家賃を相談したら「今までと同じにしてほしい」と言われました。
この地域が、多少なりとも家賃相場が下がっているとしたら
この家賃設定は、物件の価値と家賃のバランスが合っているでしょうか。

ただでさえ5年間分、建物や設備が古くなって価値が下がっているところに、
5年分の相場が下がっていますので、おそらくバランスは合っていないと思われます。

ここでは、まず、崩れたバランスを合わせるような提案をするべきです。
このまま、大家さんの願望を聞き入れても、時間の無駄になることが多いでしょう。
2ヶ月後にバランスを合わせて再募集をするとしたら、その間が無駄になるのです。

では、価値と家賃のバランスを合わせるとは、どういうことでしょうか。
大家さんを説得するためにも、そのメカニズムを理解してください。

ここに架空の秤(はかり)があるとします。

向かって左側には、物件の価値を構成する錘(おもり)が乗っています。
反対の右側には、家賃(礼・敷など入居条件)という錘が乗っています。
なかなか決まらないとか、問い合わせがこないとか、
近隣の業者が案内してくれない、という物件は、この秤が右側に傾いているのです。

さきほどの例でいうと、
5年前はバランスが合っていたはずなのに、
5年間で左側の“価値という錘”が少し蒸発して軽くなってしまった、ということです。
左側の錘の中に蒸発して軽くなる性質のモノが含まれているのです。

左側にはどんな錘が乗っているのかみてみましょう。

【立地】
1つめは立地という錘です。
駅などの主要な交通拠点からの所要時間。
周辺の環境。
地域の人気度などです。

【建物】
2つめは建物という錘です。
木造か鉄骨か鉄筋コンクリート造などの構造と階数。
外壁や外観のデザインなどの要件です。

【部屋】
3つめは部屋という錘です。
間取りや専有面積。
水回りの配置。
収納スペース。
床や壁や天井の色や素材なども構成要素です。

【設備】
4つめは設備という錘です。
昔はエアコンくらいしかありませんでしたが、
昨今ではインターネット設備、防犯用の設備に加えて、
WEB対応設備の需要が増えてくるでしょう。
もちろんキッチン、トイレ、浴室、洗濯機スペースも重要な構成要素ですし、
水栓具や建具なども設備の中に含まれます。

【賃貸条件】
5つめは賃貸条件という錘です。
ペット可物件とか高齢者・外国籍オッケイというのも条件になります。
礼金敷金ゼロ、フリーレント、入居金ゼロという入居促進のためという条件も増えています。

【サービス】
6つめはサービスという錘です。
サービスが錘に含まれているのは意外ではないでしょうか。
なぜなら今までの賃貸経営に「お客様にサービスをする」という概念が少なかったからです。
なくても部屋が埋まるという時代が長く続いたのです。
同じく建物設備を使わせることで成り立っている商売に旅館・ホテルがありますが、
顧客が旅館・ホテルを評価するときの一番のポイントはサービスの質です。
立地やお部屋を褒めるお客様もいますが、何と言っても心に残るのはサービスの質です。
これからの賃貸経営もサービスという価値で差別化がはかれるようになりますから、
この錘は重要なのです。

賃貸経営でどんなサービスがあるかと言えば、
共有部分がいつも綺麗に整頓されているのはサービスのひとつです。

管理スタッフが常に現場にいて、借主とコミュニケーションするのもサービスです。

以上の6つが秤の左側に乗っていて、物件の価値を作り上げている錘です。
そして右側の家賃(礼・敷など入居条件)という錘の重さによって、
この秤のバランスを合わせるのです。

そうなりますと、
秤のバランスを合わせる方法は「2つしかない」ということに気づくと思います。

左側の錘のどれかを重くするか、
右側の錘を軽くする、つまり家賃を下げるという方法の2つです。

そして多くの管理会社が、安易に家賃を下げる方法を選んでいるのではないでしょうか。

ご存じの通り、左右の錘を軽くするという判断は、
「物件の価値を下げる」という判断と同じです。
管理している物件の価値を下げる提案を積極的にしていたら、
資産を失うのは大家さんばかりでなく、
その管理会社も収入の元を減らしていることになるのです。

もちろん、家賃を下げるという判断が必要なときはあります。
建物設備が古くなり、相場も下がっているなら、
錘の重量をそれに合わせる必要はあります。

しかし一方で、
価値を構成する錘の重量を増やすという選択肢があることを忘れてはいけません。
効果的に左側の錘を増やす方法を提案できることが管理会社に求められています。

では、左側の錘を重くするとして、
どの錘から手をつけるべきか、何かセオリーのようなモノがあるでしょうか。

ひとつの考え方として、
すぐに出来て、なるべく費用のかからない方法から検討すべきです。
そして家賃を下げるのは、左側の錘の検討が終わった後の最後に考えるべきです。

では具体的に考えてみましょう。

まず、すぐ出来て、比較的費用がかからないのはサービスの強化です。

日常清掃や、入居者アンケートや、
スタッフが現場に定期的に足を運べる方法について検討しましょう。

もちろん管理会社の手間が増える分は、
管理フィーとして大家さんにご負担いただくのですが、
物件の価値を高めるために継続すべき仕事としてご理解をいただくことです。
更新時のプレゼントなども、すぐに始めていただきたいサービスです。

つぎは賃貸条件の検討です。

入居条件を緩和することで、入居希望のお客様のターゲットを広げることができます。
高齢者は、これからますます増えるマーケットです。
そして外国人も、これからますます増えるマーケットです。

このマーケットに何の手立てもなく門戸だけ開放したら
トラブルのリスクが増えてしまいますが、
賃貸管理の仕組みを対応させることで、
この有望なマーケットを取り入れることができるかもしれません。

この賃貸条件を緩和することで、左側の錘の重量を増すことができます。

ペット可という賃貸条件にも、まだ多くの需要が見込めます。
特に、人気の猫の飼える賃貸住宅は多くありませんので有望なマーケットと言えます。
こちらにも、それに対応する賃貸管理の仕組み作りが必要です。

このように賃貸条件を変更することで、ターゲットとなるお客様を増やすことは可能です。
大家さんの考え方や物件特性によって異なりますが、
空室対策として検討すべきテーマです。

次は設備です。

いまやエアコンは部屋ごとに必要になりました。
単身世帯のTVドアホンや無料Wifi、高速インターネット、
宅配ボックスやカップル世帯のバス乾燥機などもマストアイテムとなりました。

比較的、費用をかけないで実施できますし、
ひとつひとつ大家さんの資産価値が高くなります。
物件のターゲット入居者ごとの希望をしっかりと研究して、
効果のある設備の設置を提案しましょう。

そして左側の錘である、部屋と、建物、というように順に検討をしていきます。
あとになるほど、手を加えるには費用がかかりますので、
もはやリフォームというよりリノベーションの範疇になります。
こちらも20年30年の周期では検討が必要になるでしょう。

このように、空室対策を検討するときは、
まず秤のバランスが合っているかをチェックします。
この秤が、本当に目に見えたら楽ですが、残念ながら見ることはできません。
しかし目に見えない秤は存在しています。
決まらない物件はバランスが崩れているのは事実です。

そのバランスを元に戻す時に検討すべき対策の順序と方法を、
ぜひ知っていただきたいと思います。

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