1. ホーム
  2. トップ , 管理を増やす賃貸管理とは >
  3. 【賃貸管理入門⑥】トラブル対応の基本 ~騒音~

【賃貸管理入門⑥】トラブル対応の基本 ~騒音~

賃貸管理のスタートアップをテーマにした6回目です。
今回はクレーム・トラブル処理について解説します。
その中でも発生頻度で一位二位を争う「騒音トラブル」を取り上げます。

その前にクレーム・トラブル対応の基本的な考え方について説明いたしましょう。

ひとつめは「テナントリテンション」という発想です。

これは入居者さんに快適に永く暮らしてもらうための、
あらゆる行為をいいます。

それが大家さんの収益につながります。

クレーム・トラブルも、
テナントリテンションの発想で対応する必要があります。

ということは、ただ問題を解決するだけでなく、
その過程や結果によって、入居者さんに満足してもらうことを目指します。

クレームを言っている方に、
最後は満足していただくというのは簡単なことではありませんが、
目指すところは入居者満足です。

そしてもうひとつの目標は再発防止です。

最高のテナントリテンションは「トラブルゼロ」なのです。

ゼロは難しいとしても、
同じ原因によるトラブルが何度も起きるようなことは避けたいのです。

ふたつめは「サービスリクエスト」という捉え方です。

クレームとは、裏を返せばお客様の要望です。

お客様が感情的になると強く苦情を訴えることになりますが、
元々は「こうしてほしい」というニーズから生まれています。

それを「サービスリクエスト」と呼んで、クレームとは捉えないのです。

つまりクレームとは「希望」であり、お客様の「困りごと」です。
そしてクレーム対応という仕事は「人助け」なのです。

このような発想の転換をして、クレーム対応に取り組んでください。

では、今回のメインテーマの「騒音トラブル」について解説していきましょう。

一口に騒音トラブルと言っても、
いろいろなケースがあり、対応方法も異なります。
そこで、騒音を、次の3つに分類して、それぞれの対応を考えておくと便利です。

迷惑騒音、
設備が原因の騒音、
生活音が原因の騒音、

の3つです。

では、それぞれの騒音トラブルの対処法を解説していきますが、

その前の大切な前提として、
騒音トラブルが解決したときの着地点をイメージすることをお勧めします。

トラブルが解決したときのイメージとは分かりにくいかもしれませんが、
たとえば漏水トラブルの場合は、
この着地点は「漏れている水が完璧に止まる」ことです。

水が漏れてきて困っている入居者さんに対して、
「まだ少し漏ってますけど、お客さん、これで我慢してください」
と言うようなことはありませんよね。

それに対して騒音トラブルは、
音がまったくゼロになるという解決は難しいです。

もちろん、飲み会などの迷惑騒音は、完全にやめさせることが着地点ですが、

生活音はそうはなりません。

ですので、着地点としては、

音を無くす、
音を小さくする、
音を無くす努力してることをアピールする、
苦情元に建物の限界を知ってもらう、
過剰反応の苦情元には退去してもらう、

など いくつかのケースがあり、
この着地点を最初の段階でイメージしておく必要があります。

そうでないと際限の無い対応が続くことになってしまいます。

残念ですが騒音トラブルにおいては、音をたてる騒音元と、
クレームを言う苦情元が、100%納得して解決することは多くありません。

どうしても、相手とこちらの主張が一致しなければ、
最後は平行線にするしかないのです。

そのために、騒音の内容によって、
その都度の着地点をイメージすることをお勧めします。

では、飲み会などで起こる迷惑騒音の対処法から始めるとしましょう。

この騒音の特徴は「騒音元が特定できている」ということです。

この騒音トラブルの対応手順はつぎの通りです。

まず騒音元に確認にいきます。
相手が認めたら、止めるように注意します。
止めないときは、さらに注意します。
さらに、保証人か親に連絡をいれます。
最後は退去を迫ることもあります。

このように手順を決めておくと、
その都度の対応の判断がしやすくなるのです。

たとえば、学生の飲み会騒音は新入学生に多く発生します。

最初は、飲み会をしたことを認めさせる必要があるので、
気軽な感じで「○日に飲み会をやったでしょ」と話しかけます。

最初から怖い顔をして詰め寄ると用心されてしまうからです。

相手が「はい」と認めたら、そこから態度を改めて、
「部屋で騒ぐのは厳禁です。絶対にやめてください」と厳粛に申し渡します。

これで2度とやらなくなることが多いです。

中には先輩に強要されて断り切れずに部屋を提供する学生もいて、
注意しても繰り返す場合があります。

その場合は、「もし他の部屋の人が退去しちゃったら損害を弁償することになるかも」
くらいのプレッシャーをかけてみます。

それでも止めなければ、親や保証人に通知して、
やめるように言ってもらうように依頼します。

もし、確信犯で注意を無視しつづける時は、
貸主との信頼関係が破たんしたということで
契約解除を通告して退去を迫ることもあります。

迷惑騒音の場合は、そこまでいくケースは希です。

この迷惑騒音の着地点は、もちろん「音をなくす」です。

つぎは、設備によって起こる騒音です。

築年数が経過してくると、戸の立て付けが悪くなり、
開閉に多少の力が必要になったりしますが、
そのときに「ガタン」と音がしてしまうことがあります。

明け方や夜遅いと響くので、
隣や階下の入居者には「何か叩いたような音」に聞こえるのでクレームになります。

自分に向かって音を出しているように感じてしまうのです。
この音は、建具等の調整で直すことができます。

キッチンや洗面室や浴室などで水栓を締めた時に
「ゴン」という衝撃音が鳴ることがあります。

これはウォーターハンマーという現象です。

これも明け方や夜遅いと周りにも響く音でクレームになります。

水栓をゆっくり締めるように注意することと、
「水撃防止器」という機器を付けて解決させることもできます。

このような設備が原因の騒音は、原因の特定が重要になります。

経験を積んでくると「あの音では?」と予想がつくようになってきます。

わざわざ音をたてる人は希ですので、
最初から「意図的にやっているのでは?」と犯人捜しをしないことです。

騒音元と思われる部屋を訪問して
「○時頃に○○のような音が聞こえると相談があったのですが、
お聞きになったことはありますか?」

「もしかしたら設備が原因かもしれないので、
見せていただいてよろしいですか?」
と協力を求めます。

原因が分かったら、原因となっている設備を修理したり、
使い方の注意を入居者さんにして、音が出ないようにします。
このケースの着地点も「音を無くす」ことです。

つぎは、生活音が原因の騒音です。

生活音とは、人が生活すれば当然に出る音のことで、
歩く、話す、戸の開け閉め、水栓を回して水を出す、
冷蔵庫を開閉する、シャワーを浴びる、テレビを見る、
音楽を聞く、目覚ましをつける、など多彩な音になります。

この生活音が度を超えるとクレームとなります。

対応手順は、

最初に音の事実確認をして、
その音が受忍限度を超えていると判断したら、
まずは全体に注意を促す文書を配布します。

具体的に、曜日や時間や どんな音かを明確にします。
それで止まないときは騒音元へ訪問して、
注意とお願いをします。

たとえば、歩く音が響く場合には
「かかとで歩かないで、つま先で歩く」ようにお願いすることもあります。

または、一戸建てやアパートから引っ越してきた方が、
「マンションだから大丈夫だろう」と思って、
リビングで体操をしてしまった、というコトが原因の場合もあります。

「マンションでも音は聞こえる」ということを理解していただければ、
その後は気をつけて生活していただけます。

受忍限度を超える音を出しながら、
まったく注意を聞こうとしない借主には、
根気強く注意を繰り返した後に、
退去をお願いすることもあります。

着地点は「音を小さくする」ことです。

音の確認をしたときに、この音は受忍限度を超えていない、
と判定した場合は、同じく全体に文書を配布します。

その上で苦情元に、この音は建物の限界であることを説明します。

生活音は誰でも出てしまうこと、
壁と天井が他世帯と接している共同住宅では構造の限界があることを説得します。

どうしても納得してもらえない時は、
部屋の変更か退去をお願いすることもあります。

着地点は、「苦情元に建物の限界を知ってもらう」、
あるいは「過剰反応の苦情元に退去してもらう」、です。

さて、生活音の騒音トラブルで難しいケースがあります。
それは、受忍限度を超えているか超えてないかが微妙なときです。

このときの対応手順は、
全体に文書を配布するところから始めるのは同じです。

騒音元には「なるべく気をつけていただく」ように、
苦情元には「お願いはしているが微妙な音なので出来るだけ我慢してほしい」、
とメッセージを伝えたいのです。

着地点を、
「音を無くす努力してることをアピールする」に重点をおきます。

そして「苦情元に建物の限界を知ってもらう」。
この2つに着地できるように交渉を繰り返すのです。

これで騒音トラブルの解説を終わりますが、
すべての騒音トラブルがマニュアル通りに解決に向けて進む訳ではありません。

自分勝手で注意を聞こうとしない借主もいますし、
小さな音でも過剰反応して 建物の限界を説明しても納得しない借主もいます。

基本は根気強く説明を続けて、その努力をアピールすることです。

しかし、何度説明しても納得していただけない時は、
前にも説明した通りにその先は平行線になります。

最後は部屋を替えるか我慢していただくことになります。
強制退去というケースもあります。

また、音を確認して受忍限度を超えているかどうかの判断をする、
という説明もありましたが、ここにも明確な指針がある訳ではありません。

生活音に対して騒音計で測定するのは現実的ではありませんから、
社内に判断基準を作る必要があります。

音の確認の時は複数の管理スタッフで現場に行って、
意見を摺り合わせるようにしてください。
そして社内基準を作り上げるのです。

更に騒音トラブルが起こらないようにする行動も必要です。

騒音トラブルの防止のために、契約時の説明をしっかりと行います。

・共同住宅なので他世帯の生活音は聞こえること、
・限度を超えた音量と時間帯をお互い様の精神で気をつけこと、

この2点をしっかりと説明して理解していただく必要があります。
そのためのツールなどを用意しておくとよいでしょう。

今回は以上となります。

つぎの記事は
「漏水とゴミと無断駐車トラブル」について解説いたします。

管理と仲介手数料が増える!無料メルマガ 賃貸管理戸数を増やし、仲介売り上げを増やすために役立つメールマガジンを無料で公開しています。 →さらに詳しく知りたい方はこちらをクリック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です