賃貸管理のスタートアップをテーマにした3回目です。
入居募集活動が順調に進んでいくと、
お客様から入居の申し込みが入ります。
今回の記事では、
お客様から入居申込みを受け付けたところから、
入居審査をして賃貸借契約を締結して、
無事に入居確認するまでの流れを解説いたします。
空室を自社で決めたときと、
他社から申込みが入ったときでは若干の違いがありますが、
今回は他社からの紹介をベースに話を進めることにいたします。
入居申込みの前に、業者からは物件確認の電話が定期的に入ってきます。
今までは電話による確認が主流でしたが、
専用サイトやアプリというサービスに移行していくと思われます。
いずれにしても、客付け業者から物件確認が入ったら、
すぐに正確に答えられるように空室一覧を用意しておきます。
その一覧には募集条件の他に、
部屋の状況、(原状回復工事中か済みか)、
内見用の鍵の場所、
ADなどの条件 などを記載しておきます。
そして内見予定があるかどうかを確認します。
問い合わせの数が解るように「正」の字で記録するなど、工夫をしてください。
(正の字は古いかもしれませんが・・・)
業者からの問い合わせが極端に少ないときは、
募集条件に改善ポイントがあるはずですので、
検討ミーティングを行ってください。
さて、ここから入居申し込み受け付けです。
他社の紹介客からの入居申込みは、
通常は事前に電話か、システムに入力が入いります。
すぐに物件を仮止めして、入居申込書が届くのを待ちます。
FAXやシステムからで入居申込書が入ったら、記載内容に漏れがないか確認します。
入居審査のために必要な項目は保証会社によっても若干の違いはありますが、
・氏名
・生年月日
・現住所
・勤務先の情報
・同居予定者の情報
これらは必須項目ですので記載漏れがないかチェックすること。
同時に入居希望日を確認します。
申込み時点から2~3週間先の入居希望日なら、それが家賃発生日となりますが、
1週間以内とか、反対に1~2ヶ月先となると調整が必要になります。
前者は、それまでに必要書類が揃って契約締結が可能かどうかです。
さらに、急いで入居する理由を確認したいところです。
後者は家賃発生日の交渉が入るので、どこまで発生日を遅らせることができるか、
管理大家さんへの提案・確認・了承が必要になります。
入居審査は
1.保証会社の審査
2.自社の審査
3.大家さんの審査及び確認
という手順で進みます。
すぐに保証会社に所定の書類で入居審査を依頼します。
保証会社の審査に通ったら自社の基準で審査します。
お客様の勤務年数や年収、同居家族の内容、入居理由などが
審査する上でのチェックポイントになります。
自社の審査を通ったら、最後に大家さんに了承をいただきます。
電話での説明で了承してくれる管理大家さんは電話で申込者の内容を説明します。
自社の審査で通した理由なども説明しましょう。
大家さんから入居審査の了承が得られたら、すぐに、
客付け業者に連絡して、
申し込まれたお客様に「審査OK」の通知をしてもらいます。
ここでイタズラに間を空けると、申込みキャンセルという可能性も出てくるので、
決まったら急いで連絡するようにしてください。
ここから契約関係書類を準備します。
賃貸借契約の締結までに必要な書類は、
・重要事項説明書
・賃貸借契約書
・入居規約
・保証契約書
・入居金の計算書
・提出していただく書類一覧
・火災保険の関係書類
などになります。
これらを、社内のツールと手順に従って作成します。
契約スケジュールとして、
入居申込みから契約締結まで1~2週間を目安に決めていきましょう。
たとえ入居日が先だとしても、契約締結までは いつでもキャンセル可能な状態ですので、
なるべく早く契約を済ませるようにしましょう。
そして ここから先の申込者への連絡は、
客付け業者を通さずに直接できる方が効率がよいので、
そのように客付け業者に説明して了解をもらいましょう。
では、ここから先の流れについては
各社によっても若干の違いがありますので、
ひとつのルールを元に説明していくことにします。
自社と違いがあるときは修正しながら聞いてください。
作成した
・重要事項説明書
・賃貸借契約書
・入居規約
・入居金の計算書
・提出していただく書類一覧
以上の5点を申込者に郵送で事前に送ります。
(アプリ等の場合はシステムで送信)
入居規約のような書類がない時は4点になります。
契約書や重要事項説明書は、事前に渡しておくことで
内容を契約日前に把握してもらうことが出来ます。
中には読まないで来社されるお客様もいらっしゃいますが、
事前に渡しておくことが大事です。
普段は馴染みのない難しい記述が並ぶ契約書を、
契約当日に初めて見せるのは、
賃貸借契約に素人の消費者に対して勧められる行為ではありません。
入居金の計算書には合意した家賃発生日からの当月分日割りと、
その翌月分の家賃等が含まれています。
そして「〇日までにお振り込みください」という説明書きと、
振込先の口座も掲載されています。
この計算書の中で、
住民票や収入証明などの提出書類についても説明されていれば、
当日に揃わない、という事故を防ぐことができます。
そして、書類を郵送した数日後に申込者に連絡を入れておきます。
書類が届いたかの確認と、不備や質問がないかの確認と、
契約締結の日時の再確認をしておきましょう。
ここからは賃貸借契約締結の当日の流れの説明です。
入居金は事前に振り込まれているので、確認をして領収証を用意しておきます。
申込者様が来店されたら、
「契約書等を見て特に疑問や質問があるか」を確認します。
特になければ、
重要事項説明書を宅建取引士が読み上げて説明して、借主から署名押印をもらいます。
続いて賃貸借契約書の条項の読み合わせと説明をして、こちらも署名押印してもらいます。
貸主欄の記名押印は、管理会社が代理で行えるように
大家さんから承諾・許可をもらっておくと便利です。
保証契約書と火災保険の申込書にもサインをもらいます。
持参していただいた提出書類を確認して、領収証をお渡して契約は終了です。
当然のことですが あえて説明をしておきますと、
契約が締結されても、この時点では鍵の引渡しは行いません。
鍵は家賃発生日に引き渡します。
家賃発生の当日が引っ越しで忙しいなどの事情がある時は、
前日に引き渡すことはあり得ますが、
荷物の搬入は許可しないでください。
火災保険の保証期間も始まっていませんので注意が必要です。
賃貸借契約が締結されて手続きが完了したところで、
今まで内見用に使っていた鍵はお役御免となり、
新しい借主用に鍵の取り替えを行います。
もし契約日と家賃発生日が同日のときは、
契約前に鍵を取り替えておくことになります。
新しく替えた鍵は、業者などに貸し出すことは厳禁となります。
借主に引き渡されるまで厳重に管理してください。
こちらもスマートロックなどのテクノロジーが進化すれば、
今後はコードの書き換えだけで済むようになることでしょう。
最後に引っ越しの日時を確認して契約締結は終了です。
さて、部屋の入居前チェックという作業があります。
ひとつは借主さんに、
家財道具の搬入前に部屋をチェックしていただきます。
壁や床に傷がある場合は事前に双方で確認合意しておきます。
こうしておけば退去の時に、「前からあった傷です」「そんなはずはない」、
と言った議論を防ぐことができます。
そのために、契約締結時にチェック表を借主さんに渡しておいて、
入居前の都合のよい時にチェックしていただき、
後日にチェック表を提出してもらう方法と、
管理会社と借主が立ち会って一緒に確認する方法があります。
契約締結した当日に時間があるのでしたら、
一緒に部屋を見て確認するのが合理的です。
借主の入居前に、管理会社の責任業務としての入居前チェックが必要です。
原状回復工事の完了後にチェックは済んでいますが、
あれから日数が経っていますし、
多くの内見が行われたかもしれませんので、
壁や床の傷や汚れ、設備の不具合など、
入居して生活するのに支障がないかをチェックします。
その際に鍵の交換をスタッフが行えば経費の節約にもなります。
さて、いよいよ最後となりますが、
お勧めするのは入居後のあいさつに行くことです。
入居した日から2~3日後の都合のよい時間帯に、
入居後のあいさつに行くのです。
電気・ガス・水道などのライフラインが問題なく使えているか、
戸の立て付け等は大丈夫か、などの確認をします。
このあいさつは、
多くの管理会社で当たり前に行われている事ではありませんが、
借主さんと良い関係を保っていくための、大事なイベントです。
これから数年間の良好なお付き合いの、
その始まりが「入居後のあいさつ」になります。
この機会を逃す手はないでしょう。
ぜひ、入居後のあいさつを実施してください。
つぎの記事では「滞納家賃の督促」について解説いたします。