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【税金基礎講座】築古物件を子供が引き継がない問題

【質問】
築25年の居住用賃貸物件を所有しています。   
総戸数は12戸ですが、
設備も古く空室が半分近くで子供が「引継ぎたくない」と言っています。
相続対策も大事ですが、子供には好んで受け継いでほしいと思います。
よい方法はありますか?

   

【解答】
収支が悪く管理も面倒な賃貸物件を受け継ぐことを嫌がる気持ちは理解できますね。

建物を取り壊し、新たに借入金で賃貸マンションを建てる、
という選択もありますが、これは大ごとです。

築25年ですから、まだまだ壊すのは勿体ないとも思います。

建物を取り壊し、更地のまま所有するか、
売却して現預金に替えるというのでは、相続対策から離れてしまいますね。

このような場合は、
「節税よりも収益の改善」を優先させた方がよいと思います。

儲かる不動産ならお子さんも「もらってもいいかな」と考えを変えてくれるでしょう。

そのために、ある程度の費用をかけて、
外壁塗装と、各部屋をリフォームかリノベーションする、
というのが一つの提案です。

「お金がかかるのか!」と思ったかもしれませんが、
それが相続対策のポイントになります。

これは
「評価を下げて、価値を上げる」という戦略になります。

具体的に説明しましょう。

仮に、
外壁塗装と5部屋のリノベーションで1500万円を投資したとします。

もちろん、お客様が好む色やデザインの外壁塗装と、
対象とする入居者層に支持される工事内容、
費用対効果を考慮したリノベーションでなければいけませんね。

これで5部屋が埋まり満室になれば家賃収入が格段に増えます。

費用の支払いは、現預金を減らしても借入れでも、どちらでもよいです。

さて、1500万円をかけて、物件の価値も高まり、
家賃収入も増えましたが、建物の相続税評価は増えていません。

ここがポイントです。

さらに現預金が減るか借入金という負債が増えているわけですから、
トータルの相続税評価は下がっています。

これが、「評価を下げて、価値を上げる」という戦略の種明かしです。

ご存じの通り、賃貸建物には貸家評価という評価減がありますが、
入居率が悪いと相続時の評価が違ってしまうので、
つねに満室近くを維持しておくことも大事な対策になります。

それがお子さんの「引き継ごう」という意欲につながります。

ちなみに、この外壁塗装とリノベーションの概要については、
「資産評価を上げない」ことと
「収支計算を長期的にしっかり行う」ことが大前提です。
 

ご相談されたオーナー様が、
どのように賃貸管理されているか分かりませんが、
お子様が賃貸経営を面倒と感じていらっしゃるなら、
オーナー様に代わって、
オーナー様の意思を尊重した賃貸管理を代行する会社に依頼してください。

賃貸経営されるオーナー様は、
それぞれに必要なキャッシュフローや、
10年後20年後のビジョンが異なりますから、
それに合った賃貸管理を提案する不動産会社を選べば、
お子さんの不安も減るでしょう。
 

さて、このあとの課題についても軽く触れておきましょう。

オーナー様は元気で長生きされるわけですから、
収支が改善することで現預金が蓄積されて相続資産が増えてしまうという、
嬉しくも悩ましい問題が生じます。

そのための対策として、
建物だけをお子さんに生前贈与しておく、という手段が、
このあとの検討課題となるかもしれません。

これは、オーナー様が60歳以上、お子さんが18歳以上なら、
贈与税の精算課税制度を選択して、
賃貸建物だけをお子さんに生前贈与することで、
その後の家賃収入をお子さんに移転させる、というものです。

オーナー様は、
賃貸マンションの収入がなくなるので所得税対策にもなります。

しかし良いことばかりでなく、考慮すべき点がいくつかあります。

紙面の都合で詳述できませんが、
まず、贈与税が非課税になるのは2500万円までです。

つぎに、
相続発生時には遺産に贈与財産をプラスして相続税が計算されるので
節税にはなりません。

贈与から年数が経過して建物の評価が下がっていても、
相続計算に組み入れるのは贈与時の建物評価となります。

そして、小規模宅地等の評価の特例を活用する場合は、
お子さんと生計を一つにしておく必要があります。

この辺りは複雑になりますので税理士さんにご相談ください。

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