「アプローチ」の段階で「情報収集」がしっかりできていれば、
「予想もしなかった反論」が出てくることはないはずですね。
駅からの距離とか、
希望する設備とか、
周辺に欲しい施設とか、
お客様の要望を、「100%叶えきれていない」部分があることは最初から分かっています。
お客様は、「分かっていて」案内に応じたのです。
ただ、「完全に納得」できていないので、最終局面で「抵抗の道具」として出てくるのです。
「それを承知で」見に行ったのですから、
それらが「絶対に決められない理由」ではありません。
あなたはそれを予想できていますから「あわてる」必要はありません。
反論にも準備しておけるので、余裕をもって対応できるはずです。
お客様は、いろいろな「決めない理由=質問」を投げかけてきます。
それに対処するテクニックも色々と語られています。
「イエス・バット法」
お客様の反論を「イエス」で受けておいて「しかし」で切り返す話法です。
クロージングのときだけでなく、対人関係をスムーズにするときにも活用できるテクニックです。
この話法を使うときは、「イエス」の部分を中途半端にしないことです。
考えられる、あらゆる「イエス」で同意してから「しかし」で切り返さないと、
お客様は、自分の主張が無視されたと思うので納得してくれません。
「予算から6000円オーバーしているので。やっぱり毎月の6000円は大きいです」
と抵抗されたとします。
「確かに!6000円の差は大きいですね!一日にすれば200円の違いです。
ご主人、200円違えば、お昼の定食でも随分と贅沢できます。
奥さんも、200円違えば、晩御飯の、ちょっとした「おかず」が一品増えますよね。
この前ニュースで、老人の基本年金を6000円も引き上げる案を発表していました。
収入のない老人にとって、1日200円の支給が増えるのは大きいですよね。」
ここまでが「イエス」です。お客様の言い分を「これでもか」と認めます。
そして、ここから「バット」の部分。
「でも、その200円を負担するかしないかで、どれだけお部屋に差が付くか考えてみましょう。
予算内に収まる物件を1番目に見ていただきましたが、
和室の一間が4畳半でした。
奥さん、4畳半は使いにくないですか?
もうひとつの物件は、駅からの距離が5分ほど遠かったですね。
ご主人の毎日の往復と、奥様の駅前スーパーからの帰り道、重い荷物を持って歩く時間を考えたら、
それでも200円は高いと感じますか?」
結論を営業が言ってはいけません。
質問で、お客様に考えさせて、そして答えに「誘導」します。
「埋め合わせ法」
物件には必ずマイナス面があるので、そこをお客様は突いてきます。
そのマイナス面を切り返しても意味がありません。
マイナスであることを認めて、それを「埋めて余りある」プラスで切り返します。
「駅から15分も歩くというところがどうも・・・・」
と抵抗されたとします。
「ご主人、確かに「ちょっと」距離がありますね。
駅から1200mですから、普通の方が歩いて15分ほどかかります。」
マイナス面を「あっさり」認めます。
「ただし、それを埋めても余りある「いい点」がたくさんあります。
まずは環境です。ご覧になりました通り、空気もいいし静かです。
車も少ないので安全です。
駅から近かったら、この環境は手に入りません。
毎日歩くご主人の体にも良いですよね。ウォーキングが一番健康的だといいますから。
そして、なんといっても広い間取り。この面積でご希望の8分以内で歩けたら、家賃は1万円以上高くなります」
「質問法」
反論はお客様からの「質問」ですから、質問には質問で切り返します。
これは、一瞬、切り返しに困ったときにも使えます。
「もっと探せば、他にもあるんじゃないかと思って・・・・」
と抵抗されたとします。
「ご主人は、本日紹させていただいた以外にも、もっといい物件があるのではないか、と考えていらっしゃるのですか?」
次は相手が答える番です。この間に「切り替えしトーク」を整理する時間が作れます。
「・・・・・・ええ。・・・・・・・ないですか?」
「はい、ないはずです。なぜなら・・・・」
もう一つ「質問法」の効用は、お客様が質問に答えようとすると、
自分が発した「反論」が「取るに足らない」ことだと気付くこともあるのです。
「笑って受け流す」
お客様は、軽い気持ちで、あるいは本気ではなく反論してくる場合もあります。
「やっぱり、この家賃は僕の「稼ぎ」では高すぎますよ」
と抵抗されたとします。
「ははは。ご冗談を・・・・・・・・・」
これで、おしまい。
これらのテクニックは「切り替えし」には役に立ちます。
いろいろな本やセミナーでも勉強できますので学んでください。
お客様から、
「家賃が高い」
「希望の設備がない」
「希望の所要時間より遠い」
「時期が早すぎる」
「他にもあるのではないか」
「人に相談したい」
いろいろなことを、どう言われようとも、
物件がお客様に与える「利点」を再確認いただくのが、すべての基本です。
「これがあるから気に入っている」という事実を、
お客様に正しく認識していただくことが一番大切です。
テクニックは、それを「どう伝えるか」の方法論です。
そして、もうひとつの基本。
物件は「ただひとつしかない」ということです。
「それでは家に戻って、ゆっくり考えてみます」
と抵抗されて、
「分かりました。よくお考えください。よいご返事を待っております」
と帰してしまう。
賃貸物件が工場生産されていて、発注すれば何日後かに配達されてくるなら
この会話は「まだ」理解できます。
でも物件は「ただひとつしかない」ですね。
他の人が決めたら、その物件とは巡り会えませんから、「ゆっくり考える」余裕はありませんよね。
この瞬間も、他の会社から申し込みが入るかもしれないのですから。
きっと、「軽い案内」をしていると、このような結論を「軽く」認めてしまうのだと思います。
「そんなに、すぐには決まらないだろう」と
素人のお客様が考えるのは、これは「仕方ない」でしょう。
でも、プロの営業が、そう思ったら失格ではないでしょうか。
お客様が決めた時に、物件がなくなっていて悔しがった経験は、いやというほどあるはずですから。
気に入っていただいたお客様のためにも、ここで決断まで誘導して差し上げないと
あとでガッカリさせることになります。
だから、「ゆっくり考えます」なんて、認めてはダメなのです。
プレゼンテーションが終わり、
ここから「申し込み」へのラストスパーが始まったら、
ここからは、
「話しては質問」 「話しては質問」で会話を主導します。
あなたの会話を、すべて質問で終わらせるようにします。
するとお客様は、その質問に答えるでしょう。
あなたは、お客様の答えに対して言及して、また次の質問で会話を締めくくります。
お客様の、
「今日は帰って、ゆっくり考えます」などの断りを言う間を与えません。
このようにして、申し込みへと誘導していくという、クロージング話法です。
シナリオで例を示しましょう。
それは、クロージングの最終回の明日で・・・・・