昨日の秤(はかり)のバランスが崩れていたら、
右側の「家賃」の方が圧倒的に重かったら
部屋は決まりません。
いまのお客様はインターネットによって本当のことを知ることができます。
空室対策の第一番目は、この秤(はかり)の均衡を取り戻すことです。
左側の錘(おもり)について、もう少し説明を加えましょう。
まず「サービス」とは、
入居者に快適に住んでもらうために行うものです。
テナント・リテンションといいます。
借主(テナント)を保持(リテンション)するための行為です。
たとえば、
共用部分が「いつも綺麗で整っている」という状態を保つのは基本中の基本です。
エントランスや、共用廊下や、駐輪スペースなどが乱れている物件に
だれも長く住みたいと思わないでしょう。
そして、長く住む人が「得する」というルールを考えます。
一定期間住むと設備を増やしてもらえるとか、
4年に一度の畳替えとか、
プロの室内清掃サービスが受けられる などです。
すくなくとも、
同じ家賃なら「もっといい物件がある」という理由による解約は避けたいですね。
「条件」とは
ひとつは、「ペット可」などへの変更を検討します。
年齢、その他の入居制限を緩和することも検討課題です。
また、入居時費用をなくしたり、
フリーレントとして最初の家賃を無料とする、などの条件も検討できます。
家賃を下げると入居期間中すべてに影響しますが、
入居時の一時的なものなら家賃収入への影響も限定的で済みます。
「設備」は、説明するまでもありませんね。
もはや入居者には必須と言われる設備も増えていますすし、
ターゲットを絞った上で必要となる設備もあります。
そして、老朽化によって交換が必要な設備もあります。
「部屋」は、
費用が少なく効果的なのは「壁クロスの貼り替え」ですね。
白基調の無難なものではなく、ターゲットを絞った上で決めるべきです。
男性と女性では、あなたが選ぶクロスがまったく違うはずです。
間取の変更を決断することが必要なときもあります。
特に過去に供給の多い3DKは、極端に需要が失われてしまいました。
2LDKや1LDKに変更することで、根強い需要が掘り起こせるエリアもあるでしょう。
「建物」は、
特に外観が重要です。
お客様は外観を見て最初の判断を下します。
この第一印象が悪いと、挽回するのが難しいです。
外観は、費用をかけなくても「見た目」の整備が可能です。
植栽や、門扉や、物件銘板を変えるだけでも印象が違ってくるでしょう。
普段の清掃の「良し悪し」も影響します。
そして、10年を越えたら外壁塗装工事を考える時期です。
これらの錘(おもり)の「どれか」の重量を増すことによって
秤の均衡を取り戻すのです。
右側の家賃を下げてバランス調整するのは、
最初からあきらかに相場をオーバーしている場合を除いて、最後の手段とすべきです。
どの錘(おもり)を重くするか、
どんな順番で手を打つか、
あるいは家賃でどう調整するか、
それが空室対策の処方箋です。
「名医の腕の見せ所」になります。
つづきは、あした・・・・