平成21年11月30日、京都地裁に更新料返還を求める「集団提訴」がなされました。今回の集団提訴は、更新料裁判が問題となっている時節柄、マスコミの注目するところとなり、新聞・テレビ等で報道されています。
今回の集団提訴で原告となったのは、京都府内のマンション・貸家等の借主又はかつての借主で、京都敷金弁護団が平成21年9月に実施した電話相談などを通じて、訴訟を依頼した人たちです。
訴えられた家主は、法人5社で、個人15名となっています。京都では個人家主が多く、しかも年配の方も多く、いわば零細・個人家主を直撃する訴訟となっています。訴えられた家主の中から、困惑、疑問あるいは怒りが示されています。
「更新料問題については聞いていたが、まさか自分のところが訴えられると思わなかった」
「訴えてきた借主には、居住中にいろいろと便宜を図ってあげたのに、恩を仇で返されている」
「うちのマンションは他と比較して良心的な料金設定をしていたのに、更新料を返せとは・・・・」
「更新料物件であることを納得したうえで借りてもらってるのに、今になって返せとは理解できない」
「更新料は以前から契約してもらっているのに、遡って返還請求を受けるとなると、賃貸物件を維持できない」
これらの家主の声に共通しているのは、今回の集団提訴が家主にとって予想外であったということです。まさに、誰が訴えられてもおかしくない状況が今回の集団提訴後の状況として生じています。
さらに今後は、消費者運動団体の一部から、居住用建物賃貸借契約においては、賃料以外に礼金、ハウスクリーニング代、共益費などの名目で徴収する料金はすべて消費者契約法10条に違反するとの主張がなされています。
更新料返還によって、消費者の利益さえ実現できれば事業者はどうなってもよいとの考え方は、法の精神からしても間違っていると思われます。司法の正しい判断が期待されます。