Q.火災保険の「見直しが必要かもしれない」と指摘されました。どのような理由でしょう?
A.今年の10月1日に「保険料率改定」が実施されます。改定されるポイントは2つあり、1つは「保険料率が値上げになる」ということ。
2つめは、「保険期間が最長で10年に短縮される」ということです。
Q.保険料の値上がりとは、どれくらい負担が増えるのですか
A.地域や保険内容や対象となる構造によって異なりますので、一概に「いくら」とは答えられません。
最近では、大雪や洪水などの自然災害による損害が多くなって保険金の支払いが増加しているそうです。
さらに、自然災害の将来予測に「不確実な要素が増している」との研究成果が発表されたことも、値上げの一因になっています。
保険料率を決めるのに影響する「参考純率」という数値があるのですが、平均で3.5%引き上がると発表されました。
実際の改定率は、地域や建物の構造によってマチマチです。
特に「鉄筋コンクリート造の共同住宅」の引き上げ率が高いのが目立ちます。
損害保険料算出機構の資料によると、東京は12%で、最も高い福岡県は24.1%の引き上げになりそうです。
オーナーさんのご所有の建物と地域と保険会社によって違いがありますので、それぞれを確認されるといいと思います。
管理会社などに問い合わせてはいかがでしょうか。
その引き上げが本年10月1日以降の新規契約から採用されるということです。
Q.では既存の建物については関係はないのですね。
A.いえ、関係あります。
たとえば築10年の建物で“期間は5年”という契約の場合、本年10月1日以降に更新されるときから値上げされます。
保険料は長期契約の方が抑えられますので、今年の9月30日までに、たとえば15年の契約に切り替えれば、その分は「値上げ前」の長期契約割で計算された保険料となり抑えることができます。
25年なら更に割安になります。
しかし10月1日以降は10年以上の契約をすることができなくなるのです。
現在契約している保険を切り替えるときは、支払った保険料の未経過部分が払い戻されます。
それで「どのくらい下がるのか」を確認するのは無駄ではないでしょう。
Q.もし切り替えるなら契約期間以外に注意すべき点はありますか?
A.あえて言うなら“補償内容”でしょう。
豪雪災害や土砂災害が多い地域なのに、保険金の支払いに「免責」を付けてしまっていたり、逆に、そのような災害の可能性はないのに「免責」による保険料の引き下げをしていなかったりすると勿体ないです。
住宅火災保険の補償対象は、「火災」だけでなく台風や竜巻などの「風災」、大雪や雹(ひょう)などの「雪害」、そして「落雷」による損害もカバーしています。
ただし、「20万円以上でないと保険金がでない」などの条件が設定されている場合があるので確認が必要です。また補償額が「時価」となっていたら、「新価」という再調達価格に変更することを検討していかがでしょう。
古い物件が大きな被害に遭ったとき、建替えや補修するための資金が足らずに困ることになってしまいます。
地震や噴火についても不安な現実が続いていますが、地震を原因とする火災や津波などの損害は「地震保険」でしか補償されません。
噴火による損害を補償するのも地震保険です。一般的な火災保険では補償されません。
地震保険は建物5千万円、家財1千万円を限度に、火災保険の30~50%の範囲内までしか補償されないことは覚えておいてください。
今回の保険料率の改定の原因は、最近の予測できない自然災害にあるのですから、オーナーさんの地域においても、そのようなリスクの増大に対する補償が付いているかは、気になるところだと思います。
もし切り替えを検討されるなら、ついでに補償内容についてもチェックされると良いと思います。