甲乙付けがたい商品を前に迷ったとき、ちょっとした理由で「どちらか」を選ぶことがあります。
それは、ほんの少しの「お得感」だったりします。
オーナー様のお部屋にも、そのような「お得感」を用意しておくのは、空室対策の一手(ひとて)になるはずです。
実は、このシリーズで紹介した「カスタマイズできる部屋」も「家具や家電がセットされている部屋」も、「お得感」を与えるのが目的のひとつでした。
お客様が「得をする」ということは、その分をオーナー様が「負担する」というのが前提ですが、その負担分は、空室を早期に埋めるための対策費ということになります。
対策費を有効に使って一日も早く部屋を決めよう、という考えですね。
では、どのような有効的な使い方があるのでしょうか。
まずは「フリーレント」という使い方です。
入居後の最初の1ヶ月から数ヶ月分の家賃をサービスします。
最近では、お客様がインターネットで探すときに、最初から「フリーレント物件」という条件をつけることが出来るようになっていますので、オーナー様の貸室がお客様の目に触れやすくなるという利点があります。
初期費用か室内設備か
つぎに、お客様は「初期費用を少なくしたい」という要望を持っていますが、アンケートを見ると、その要望は年々増しているようです。
お金がない人が増えたというより、それが部屋を探すときのトレンドなのかもしれません。
初期費用で思い浮かぶのは「礼金と敷金」ですが、こちらもアンケートによると「礼ゼロ・敷ゼロ」で募集する貸室が増えていて、もはや「珍しい」ものではなくなりました。
それ以外の初期費用には、前家賃(入居時の日割り分)、火災保険料、保証料(保証会社を使う場合)、鍵交換費用などが必要ですが、それらを含めて「○○○円パック」で入居できるとか「ゼロ円」で入居できる、というサービスがあります。
そのサービス分に対策費を活用するというアイデアです。
お客様の立場で見てみると、少額で計算しやすい費用で入居できる部屋は、他の物件と比べて魅力的に映ることでしょう。
「そんなことまで家主が面倒をみるのか」と考えるよりも、同じ対策費を使うなら「お客様はどれに一番“お得感”を感じるか」という選択の問題です。
最後の活用方法は室内設備です。
迷っているお客様に「好きな室内設備が選べる」という条件を提示します。
どんな設備が選べるかは対策費の予算によりますが、エアコン、テレビドアホン、浴室乾燥システム、壁に据付けの液晶テレビなどは喜ばれるでしょう。
あるいは、ケーブルテレビの使用料(1年分など)やインターネットサービスの使用料(同じく)として活用もできます。
さて いかかでしょう。
昔はオーナー様が借主に、このようなサービスをすることは考えられませんでした。
今でも、お部屋に競争力があるなら必要はありません。
しかし競争力には限界がありますし、同じタイプのライバル貸室と遜色ない状態なら、これらの「お得感」は迷ったお客様の背中を押す決め手となるのではないでしょうか。