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管理を増やすための講演より 3

最後のキーワードは「戦略」です。

営業戦略を、少なからず、決める必要があります。

何も決めないで「リストのオーナーを訪問しよう」というのでは、キツイ戦いが待っています。
戦場で、武器も作戦もなく出撃するようなものです。
・門前払い
・話を聞いてもらえない ことを覚悟しなければなりません。
だいたい、いきなりの訪問は、オーナーの都合を考えていません。
もしたかしら「暴れん坊将軍」の再放送をみていたかもしれませんし、
「徹子の部屋」を楽しんでいたかもしれないのです。
そこに、こちらの都合で訪問しても、お愛想は得られないでしょう。
それでも門前払いを食らうと、次の訪問の足が重くなります。
たまたま、オーナーの都合が悪かっただけかもしれないのに。

だから、戦略のひとつとして「最初から人が行かない」を提案しました。
ある程度の認知までは「ダイレクトメール」に任せるのです。
訪問したときに、
「こんにちは。管理の話で来ました」と言うのと、
「毎月、オーナー情報誌を送らせていただいている○○です。読んでいただいてますか?」と入るのとでは、大きな違いでしょう。
精神的にも、ずいぶんと楽だと思います。

ふたつめの戦略として、
ダイレクトメールを数回送ってから訪問しても、
それでも、話まではなかなか聞いてもらえない、という現実に直面するかもしれません。
そのときは、10ページ20ページの、
「賃貸経営に役立つノウハウをまとめた冊子」を置いてくる、という作戦です。
話は聞いていただけなくても、あとで読んでいただくことはできます。
内容に納得したら、次も読んでくれます。
「置いてくるだけ」を繰り返すのです。
そのうちに、オーナーも「話を聞いてみよう」という姿勢になります。
僕の方では会員さん向けに、そのための冊子を14冊用意して提供しています。
この営業手法は「セールスループ」と名付けられて、書籍で紹介されています。

3つめの戦略として、
オーナーとの最初のお付き合いを、
一般媒介で預かるか、最初から管理から入るか、決めた方がいいでしょう。
オーナーに語るセールストークが違いますし、
用意する営業ツールも違います。

どちらかと言えば、一般媒介から入る方が楽ですね。
募集看板が2枚以上ついているなら、まず、預からせてもらえるでしょう。
でも、預かっても、決めなければ何もなりません。実績ゼロです。
いや、かえって「決められなかった」という結果を残すだけなら、マイナスです。
最初は一般媒介から入ることを容認するなら、たとえば、
月に50人のオーナーに会って、
20室の募集を預かって、
そのうち10室を決めて管理させていただく、
というような数字を、あらかじめ明確にすべきです。
そうでないと、ただ預かっただけ、という結果になりかねません。
「あそこは決められなかった」という評判だけを残すのが怖いのです。

そもそも、他社が決められなかった部屋を、他社と同じ条件で募集に参加しても、短期間で決めるのはカンタンではありません。
そのためのネット集客方法として、僕のあとのお二人のお話は、大変に役に立つはずです。

対して、一般媒介では預からない、という戦略もあります。
一般で預かることを容認しないのです。
最初からオーナーに、管理を勧めます。
譲っても専任です。
そうすれば、あなた独自の空室対策を提案することができます。

4つめのとして、
あえて、築20年以上の物件をターゲットにする、という戦略もあります。
20年を、賃貸物件の一生の「折り返し点」と捉えて、
ここでリノベーションを提案して、物件力を上げて、そして管理させていただく、という作戦です。
いまから20年前の、平成元年から6年というのは、
賃貸住宅の着工戸数が、100万とか80万とか言っていた時代です。
税制改正などがそうさせた理由ですが、
ハウスメーカーも、銀行も、税理士さんも、皆で建築を勧めました。
つまり築20年を超える物件は、
戦後のベビーブーマーのように数が多いのです。
まだ、賃貸物件にとって受難の時代ではありませんでした。
オーナーは、「建てれば決まる」と思って経営を始めましたので、
現在の状況に大いに困っているのは、ご存じの通りです。
つまり、需要がある、ということですね。
築古物件の管理を取られた会社も、あまり怒らないかもしれません。
このリノベーション提案に「家賃保証」をセットすれば、最強の戦略になります。

最後の戦略として、
あえて、もっと古い老朽化したアパートをターゲットにする、という作戦です。
空室は多いけど、古くから住んでする入居者は、なかなか出ていかない。
収入は少ないが、固定資産税は高い。
このまま相続が発生すれば、不良資産となってしまう。
こちらも、困っているオーナーは多いでしょう。
テーマは「リノベーション」ではなく「退去の交渉」です。
代わりに立ち退き交渉を成功させて、
その後の、建て替えをプロデュースさせていただきます。
自社で建築ができなくても、ハウスメーカーでジョイントしたいところを探すのに困ることはないでしょう。
うまくいけば、ハウスメーカーから管理の紹介を得ることもできるでしょう。
新築から募集管理ができる、というのが、何よりも嬉しいことです。

このような戦力が決まったら、
それを分かりやすく説明するリーフレットにまとめ、
営業用ツールを作成します。

あとは、オーナー訪問のみです。
オーナーと面談する時間を、とにかく増やすことです。
そのときは、
せっかく「オーナーが求める賃貸管理」を目指したのですから、
ただ管理を説明するのではなく、
オーナーに与える「付加価値」で説明してください。

最後に
「目標とスケジュール」についてお話しします。

賃貸管理を増やす理由として「売上げの安定」を挙げる方は多いです。
安定とは、いくつの管理戸数を前提としているのでしょうか。
たとえば、平均7万円の家賃とすると、5%の管理料で一部屋3500円。
100戸の管理で35万円の管理料となります。
仲介の3~4本分ですね。これでは安定とはいえないでしょう。
300戸でも105万円(3500円×300)ですから、仲介の10本分。
これでも安定には遠いと思います。
「安定した売上」とは、1000戸以上ではないでしょうか。

ところが、100戸でも300戸でも、管理の作業は発生します。
管理のリスクも発生します。
「儲かる」というレベルの売上げでないのに、時間は取られるのです。
とても効率の悪い状態です。
僕は、管理300戸までの道のりを「トンネルの中の泥濘(ぬかるみ)」
と表現しているのですが、
早くこの泥濘(ぬかるみ)を通り過ぎてしまうべきです。
だから目標は、
いつまでに1000戸を達成するか。
いつまでに300戸を抜け出すか、を明確にすべきなのです。

しかし、多くの会社が、この泥濘(ぬかるみ)に長く滞留しています。
30万とか100万とか、確実に入ってくるのだから「ま、いいか」と思うのかもしれませんが、そこにかかる労力を他に使えば、もっと稼げるでしょう。
300戸未満は、とても効率が悪いことを自覚すべきです。
抜け出して、一日も早く「安定路線」に到達できるように、
目標とスケジュールを定めていただきたいと思います。
何事も計画通りに進まないかもしれませんが、計画を定めれば、それ以降は計画にコントロールされますから、計画を立てることが無駄ではありません。

以上のように、管理を増やすときに重要なのは、
「準備」と「宣言」と「戦略」の3つのキーワードです。

しっかりと社内で決めて、
一日も早く行動を開始してください。

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