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管理を増やすための講演より 1

26年12月18日に「管理を増やす」テーマの講演をしました。
そのときの原稿を3回連続で紹介させていただきます。
少し、長い記事になるかもしれませんが。

第一回目は「準備」。

今回は、管理戸数が300戸未満の方を対象としたお話しです。

いつも最初に、会場の皆さんにお聞きすることにしています。
「管理を増やしたい、と思っている方は手を挙げてください」
そうすると、ほとんどの方が手を挙げられます。
さらに、もうひとつ質問をします。
「では、管理を増やすために、具体的に行動している方は手を挙げてください」
すると、数えるくらいの人しか手が挙がりません。
「管理を増やしたい」と願っているのに、なぜ、行動できないのでしょうか。
きっと、「管理の増やし方が分からない」とか「以前、実施したことがあるが、実績が挙がらなかった」という理由が多いのではないかと思います。
本日は、「こうしたら管理が増える」という方法を話しますので、ぜひ、実践してください。

キーワードは3つです。
それは、「準備」と「宣言」と「戦略」です。
この3つを「おろそか」にしてオーナー訪問を始めるから、なかなか実績が挙がらずに、途中で断念するのではないでしょうか。順を追って説明しましょう。

まずは「準備」です。
準備が不可欠といっても、完全に整ってからでないと、動き始めてはイケナイ、ということではありませんが、あまりにも準備不足では、よほど意思がないと続かない、のです。

ある社長さんが、何かの勉強会で「管理を増やさなければ」という話を聞いて、会社に帰って早速 号令します。「これからは管理だ。管理を増やすぞ」
すぐにオーナー訪問を始めろ、とスタッフに指示します。
スタッフが「オーナー訪問を始めるのは分かりましたが、どのオーナーに対して、どんなことを話したらいいのですか」と聞くと、「それを考えるのが君たちの仕事だろう」「とにかく訪問して、当たって砕けてこい」と、言います。スタッフは訪問して、本当に当たって砕けます。
「どうだった」と社長。
「ダメでした。会ってもらえませんし、会っても、話を聞いてもらえません」
社長は「そうか、やはり管理を増やすのは難しいか」と考え込んでしまいます。
このように、何の準備もしないでオーナー宅に飛び込んでも、
・門前払い
・話を聞いてくれない
・そもそも、何を話してよいか分からない
という現実に直面するのです。
「何を話してよいか分からない」から、あなたは、ご自分の都合の「管理の話」をするだけです。
オーナーは、あなたの「管理の話」などは聞きたくないのです。

管理を増やすなら「準備」が必要

管理を増やしたいなら、少なからず、「準備」が必要です。
準備万端にならなくても、準備に着手して、準備を進めながら、オーナーへのアプローチを開始してください。
オーナー訪問しながら「万端」に近づけていけばいいのです。

準備として、
「管理を増やすためのトライアングル」を決める必要があります。
まず、このトライアングルの3点のひとつは「オーナー」です。

あなたが管理したいオーナーは誰ですか?

「管理を増やすための研修」の冒頭で、参加者にこのように聞くと、みなポカンとします。
「賃貸物件のオーナーなら、誰でもよいのでは?」と反論してくる人もいます。
しかし、オーナーと言っても、色々といますよね。
・すでに賃貸物件を所有しているオーナーさん
・これから賃貸物件を建てる予定の地主さん
・投資物件を探しているサラリーマンや主婦の方たち などです。
相手によって、アプローチの方法が異なります。
そもそも、ターゲットの「見つけ方」からして違いますよね。
「オーナーなら誰でもいい」というのは乱暴なのです。
それでは、僕が提唱する「このつぎの行動」が取りにくくなります。

あなたが管理したいオーナーが誰なのか、を決めてください。
多くの方が「すでに賃貸物件を所有しているオーナーさん」と言うと思います。

それにしても、物件の築年数はどうでしょうか。

すでに他社に管理を任せている、あるいは自主管理している、どちらでしょう。
管理を任せているオーナーさんは、5%の管理料を払うことは納得しています。
ただ、あなたの管理が、他社の管理より優れていることを証明する必要があります。
それに対して、自主管理のオーナーさんは、5%を負担することに納得していません。
その分、収益が減ってしまうと考えていますし、管理は自分の方が「うまい」と思っているかもしれません。だから、あなたに5%を払っても、収益は減らないことを説得する必要があるのです。
この二人のオーナーさんを口説く方法は、同じではないですよね。

それでもあなたは「決める必要があるのか?」と疑っているかもしれませんが、このあと、その理由が、もう少し明らかになるはずです。

オーナーが決まれば、管理したい物件が決まります。
これがトライアングルの2点目です。

そして最後に決めていただきたいのは、
この物件やオーナーさんが求めている「賃貸管理という商品」です。
賃貸管理というのは「ただひとつ」ではありません。
どこも「似たり寄ったり」の管理を勧めているのは事実ですが、本来は、オーナーが求める「賃貸管理」は、ひとつではないはずです。
オーナーによって、求めるモノは異なるはずです。

もう少し具体的に説明しましょう。

このトライアングルの3点を決める順序は、必ずしも、オーナー、物件、商品、とは限りません。
たとえば、リフォームを専門にされている方が、新たに賃貸管理を始める、とします。
リフォームのノウハウを賃貸管理に活かしたい、と考えるでしょう。
すると、「築古物件にリノベーション提案する」という、オーナーに向けた商品を先に掲げるかもしれません。
築古物件を抱えて立ち往生しているオーナーは多くいますし、これからも増えます。
そのオーナーに対して、明確に、効果的な処方箋を示せる管理会社は、多くはありません。みな、「家賃を下げましょう」としか言わないのです。
需要はあり、ライバルは不在なら、有望なマーケットだと思います。
そのように商品を決めたら、つぎは該当する築20年以上の物件、ということになり、そして、そのオーナーが決まります。
さきほどの話と、決まる順序が逆でしたね。

同じような、築古で、オーナーが立ち往生しているような物件を見ても、売買仲介を専門にしている方なら、違う見方をするかもしりません。
もう賃貸経営がイヤになっているオーナーに、売却を勧めるのです。
そして、不動産投資家に買っていただいて、あなたが管理をさせていただく、という筋立てです。
売買仲介の手数料が稼げて、管理も増えるという、一石二鳥です。
でも、この(未来の)オーナーは、いまは、どこにいるのでしょう。
物件と商品が決まっても、オーナーが決まりません。
だから、そのオーナー捜しが、今後のテーマということになります。
既存オーナーをターゲットとしたときと、マーケティングが、まったく違ってきます。

ただ管理を増やそう、と思うだけで行動するのではなく、このような可能性を、色々と考えていただくのが「準備」です。

ちなみに、不動産投資を希望しているオーナーが「求める商品」とは、
売り物件情報と、
不動産投資の知識と、
投資家に積極的に融資する金融機関の情報、となりますね。

このように、3点を決める順序はマチマチですが、とにかく、「賃貸管理という商品」を決めることはとても重要です。
他社(よそ)と同じ、では、売り込む段になって苦労します。
他社(よそ)と同じでは、お会いするだけでも一苦労です。

そもそも、賃貸管理を「商品」と認識していない方が多いように思います。
賃貸管理とは、間違いなく、「オーナーに買っていただく商品」です。
商品なら、「よりよい」方がいいに決まっています。

たとえば、
既存のオーナーが一番に求めるのは
・稼働率95%以上を実現する管理
そのためには、ネットの集客力が不可欠です。本日は、僕のあとに、お二人の専門家による「ネット集客術」の秘訣を聞くことができるでしょう。

賃貸収益を生活費としているオーナーなら
・オーナーの収益を増やす管理 の方が伝わりやすいでしょう。
「稼働率95%の管理」と「収益を増やす管理」は同じように思うかもしれませんが、似て非なるものです。

築年数が古くなった物件のオーナーは
・リフォームやメンテナンスが売りの管理 を求めています。

「商品を決める」というと分かりにくければ、「メニューを決める」と考えてください。メニューとは、その商品の内容と、その値段です。

ありがちなメニューですが、
募集と、家賃集金と、クレーム処理と、契約更新と、退室処理。これを管理の5大メニューと呼んでいますが、それで家賃の5%といった具合ですね。
それ以外にも、清掃とメンテナンス、家賃の滞納保証、空室を保証するサブリースなど、オーナーが求めるメニューは「いろいろ」です。

このメニューを決めるときのポイントは、
自社側から見た、都合のいいメニュー項目をズラズラと並べ立てないこと、です。それでは、他社(よそ)と同じメニューになってしまいます。
どこの管理会社のサイトを見ても、同じような管理メニューが並んでいて、オーナーは「どれを選ぶべきか」が分かりません。
せっかく、ターゲットのオーナーと物件を明確にしたのですから、
そのオーナーに与える「付加価値」で、メニューを表現してください。

「オーナーが他社(よそ)をやめて、あなたに管理を任せる理由」
これが明確であるほど、管理は増やしやすいのです。

そして、メニューが決まったら、分かりやすくビジュアル化します。
何も言わずに置いてきて、
あとでオーナーが見てくれたときに、
「ああ、これはいい管理だな」と言ってもらえるようなメニュー表です。

こうしてトライアングルを決めてください。
相当、ピントの合った決め方でも、少々、ぼやけてる決め方でもいいです。
ぼやけていても、行動しながら、どんどん明確になっていくハズです。
ピントを合わせても、行動しながら、軌道修正される箇所が出てくるでしょう。それでも、あらかじめ「決める」ことが重要なのです。

つぎのキーワードは「宣言」です。

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