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空室対策の一手「カスタマイズという貸し方」

今回は、具体的な「貸室の魅力を増すための方法」について考えたいと思います。

「カスタマイズ」という貸し方をご存知でしょうか?
あるオーナーさんが、築40年のマンションを「ある方法」で募集したところ、すぐに借り手がついたそうです。
その「ある方法」とは、壁や造作などを、自分の好きなように「模様替え」することができる賃貸借契約です。
借主となった女性はお母さんと一緒に、畳の上にフローリングを敷き込み、壁を塗り替え、キッチン等のパネルに好きな柄のシートを貼ったそうです。
契約条件は、躯体に影響するような工事は行わない、電気・ガス・水道などは専門業者に依頼する、次の借主に影響するような工事は行わない、事前に工事の内容を届け出ること、等です。

似たような方式を国土交通省も検討しています。
「個人住宅を賃貸物件として流通させるための検討会」というのがあり、そこで打ち出された「借主負担のDIY型」という貸し方です。
この方式は、貸主は安い賃料で賃貸する代わりに「入居前と入居中の修繕義務」が免除されます。
借主は、修繕せず そのまま居住することも可能です。
一方で、躯体を除き、自分の負担で自由に修繕や模様替えすることもでき、退去時の原状回復義務も免除される、というものです。
まさに「カスタマイズ賃貸」です。

「築年数が古いが費用もかけたくない」という貸主と、「自分の好きなように模様替えして暮らしたい」という借主の思惑(おもわく)を一致させることができます。
「老朽化の一歩手前」の貸室でも活用できる賃貸方式として、今後は増えていくのではないでしょうか。

しかしこの方法は、築30年40年の話ですから、多くのオーナー様は「関係がない」と思うでしょう。
そこで、もっと多く普及しているカスタマイズは、「壁紙を自由に選ぶことができる」という貸し方です。

借主は「自分好みの部屋を選びたい」と願いますが、貸主は「そんなに自由にされても困る」と考えます。
でも壁紙くらいなら、自由に選ばせても大きな問題ではありません。
それでも借主の「自分好み」という要望を叶えることはできます。

壁紙は、居室の4面のうちの1面だけ「選べる」というのが一般的です。
その方が、思い切った色や柄を選択することができます。
間取りのカタチにもよりますが、玄関ドアを開けたときに最初に目に飛び込む壁面に、好きな色や柄の壁紙を貼ることが出来る、というサービスも、特に女性には人気があると思います。

もうひとつ、カスタマイズではありませんが、その方法から波及した「アクセントクロスを採用する」という貸し方があります。
アクセントクロスとは、「部屋の一面だけに貼られる色や柄のあるクロス」のことです。お部屋のアクセントになる、ということで名付けられたのでしょう。

実は「壁紙を選んでもらう」というのは、現場の作業が煩雑になります。
退去後の原状回復工事も、壁の一面だけ残しておかなければなりません。
一方で、借主の方も「選べるのは嬉しいが、実際に選ぶのは悩むし難しい」という現実があります。
そこで、オーナー様側の方でクロスを選び「それをアクセントとして貼っておく」という簡易方式が採用されています。
「自分好み・・・ではないかもしれないけれど、他(ほか)とは違った部屋」ということで人気があります。
この「カスタマイズ=自分好み、自分だけ」というキーワードは、貸室の魅力を増すための方法として、今後も多く採用されていくことでしょう。

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