今回は「ネット集客」の話です。
10年くらい前なら、ネット集客には「そこそこ」自信がありました。
まだ業界で「エス・イー・オー」という言葉が一般的でないときに、
「SEO対策研修」を開催したりしていました。
当時は(乱暴な話ですが)「ホームページビルダー」で、
コンサル先のサイトを30~50社くらい作成して、
Yahoo! の検索結果でまあまあの成果を出していました。
自慢話のようですが、
僕の作ったサイトが「名古屋市 不動産」で長い間1位だったことがあります。
素人がビルダーで作ったサイトがですよ。
もちろんgoogleです。
サイトの中に重要なキーワードを有効的にちりばめるて、
10000近い外部サイトからリンクを貼るのです。
(そんなことが簡単にできる専用ソフトを購入しました)
こんな小手先の方法で結果が出せる時代でした。
5年前くらい前から、ネット集客は「システム」の時代になったので、
サイト制作から撤退して、
優れたシステムを持つWEB制作会社を紹介するようになりました。
小手先のSEO対策は通用せず、システムがSEO対策を行うようになったのです。
そして、現在(いま)はどうでしょうか。
いまは「システム」だけでは差別化ができなくなりました。
多くの優れたシステムが生まれて、どこの会社でも使えるようになりました。
みな、同じ土俵に上がってしまったのです。
では、どのように差をつけるのでしょうか。
システムの利点を、
我が社の特徴に合わせて、
システムを「使い切る」ということではないかと思います。
僕の考えを具体的に説明しましょう。
実は、久し振りに新規のコンサルタントを引き受けることになりました。
1年間の限定期間です(もう歳なので)。
はじめにスタッフに、
「この1年間の最重要テーマは何ですか」と聞いたら、
「ネット集客です」という答えでした。
僕の得意は「管理を増やすこと」なのですが、
それより「ネット集客が優先事項です」と言い切るのです。
仕方がないので1年間をそのテーマで行くことにしました。
そこで最初に打ち出したのが「集中」と「テスト」というキーワードです。
僕は、
10年前なら「こうしましょう」という方向性を自信を持って示せたし、
5年前なら「このシステムを持つ会社でサイトを作りましょう」と紹介できました。
でもいまは「これだ」と言えるものが正直ないのです。
だから、
「一緒に手探りで答えを見つけていこう」ということになったのです。
まずは「集中」です。
「絞り込み」と言ってもいいでしょう。
まずスタッフに問いかけました。
もしあなたに、月に1通だけの反響メールが渡されて、
「このお客様を必ず来店させなさい」と指示されたら、
結果はともかくとしても、
あなたは一所懸命に返事を書いたり資料を送るでしょう。
「その『反響対応の質の高さ』を、すべてのお客様に提供しませんか」と。
もしそうなら、いま大事なのは、
反響を増やすことではなく、ひとつひとつの反響への対応力ですよね。
満足な対応ができていないのに反響を増やしても、
もっと対応が悪くなるだけでしょう。
そこに集中すべきです。
また、こうも問いかけました。
もしあなたに、月に1部屋だけの物件が渡されて、
「このオーナーのために必ず決めなさい」と指示されたら、
あなたは一所懸命にネットに登録するでしょう。
多くの写真と、考え抜いたコメントを何度も入れ替えるでしょう。
「その『物件登録の質の高さ』を、すべての部屋に実現しませんか」と。
もしそうなら、いま大事なのは、
数多くの物件を手当たり次第に登録するのではなく、
大事な(早く決めたい)物件から順番に、
質を高くしていくことですよね。
「いま〇〇件が登録済みです」なんて意味がありません。
スタッフの時間と掛けられる費用は限られているのですから、
何かに集中させた方が効果が大きいはずです。
たとえば掲載する物件の「エリア」
そして「価格帯」
物件の「タイプ」
件数の目標も「多ければいい」のではありません。
「多い」よりも「質が高い」を重視すべきです。
「質」よりも「公開するスピード」を重視すべきかもしれません。
もうひとつ絞り込むのはポータルサイトです。
たとえば「アットホーム」だけを使い、その他のサイトは捨てる・・・
その方が、アットホームの特徴を最大限に活かしきれるので、
アットホームのサイト内では近隣のライバルを圧倒できるはずです。
まずはアットホーム(他のサイトでもいいですが)で勝つのです。
もしそうするなら、
入力システムも「一括入力方式」は使わずに、
アットホームが用意した管理画面から入力すべきですよね。
その方がパフォーマンスを最大に発揮できる可能性が高いのは間違いないでしょう。
絞り込むのは勇気がいります。
何かを選んでその他は切り捨てることなるからです。
切り捨てたら「機会損失が生まれるのではないか」と不安になります。
だから多くの会社は、
エリアも、価格帯も、物件タイプも、ポータルサイトも、
できるだけ多くを選択しいるのです。
結果として、反響が多いならいいのですが・・・
だから「テスト」という感覚が必要です。
たとえば2つの方法があるとしたら、
どちらを採用すべきか徹底して検討します。
そしてひとつを選んだら、
3ヶ月(6ヶ月でも)間、これまた徹底して「それ」を実行します。
その結果を見るのです。
もしダメなら、その方法を改良するか、
それは捨ててもうひとつに突き進むかを検討することになるでしょう。
この場合「徹底して」行わないと正しい答えが出ませんね。
結果として「いい方法」だけが残ります。
でも多くの会社は、
あらゆる方法を「何となく」やっているので、
結果が出ても出なくても会社の中に根付かないのでしょう。
そしてネット集客においては、
二進(にっち)も三進(さっち)も行かない状態になっています。
・・・ということで
「集中」させて「テスト」することにしました。
1年以内に、
「現在のネット集客はこれだ!」という結論(のひとつ)に到達したいと思っています。
これは現在進行中のコンサル先のことなので、
「何に集中させたか」の詳細まで申し上げられませんが、
その成果の一端を、時おり報告させていただこうと思います。
「集中」と「テスト」
あなたのところでも、何か結果がでましたら、
ぜひ教えてください。
今回の検討の際に参考にさせていただいた書籍があります。
「鳴らす会社の考え方」 小林憲人・宮本裕大 共著
(キンドル版がアマゾンから出ています)