随分と、マニアックなセミナーを聞いてきました。
オーナー向けのセミナーです。
よくある「空室対策セミナー」みたいな、
オーナーなら誰でも「聞きたい」と思う「軽いセミナー」ではありません。
賃貸経営を真剣にとらえて、
自分の手で、「なんとか」収益を上げようと考えているオーナーが参加する、
超マニアックなセミナーです。
東京で行われたのですが、北海道から来ている方もおられました。
この方たちに、賃貸管理会社のアドバイスは不要かもしれません
でも、
ここで教えているノウハウを賃貸管理会社が持ったら、
「収益増をもたらす賃貸管理」として鬼に金棒かもしれません。
興味があるようでしたら検索してみてください。
講師は小林大祐氏です。
「大家さんの為の満室経営実践会」を主宰しているそうです。
きっとネットで、すぐに出てくるでしょう。
今回のセミナーの主旨は、
「オーナーが大規模修繕を行うときのコスト削減のノウハウを伝える」
というものです。
冒頭でも書きましたが、これが「かなり」マニアックな内容なのです。
それだけに「知識は本物」だし、
「経験に裏付けられた内容」だと思いました。
3万何千円かの参加費ですが、全然「高くない」と思いましたね。
著作権のある内容なので、肝心なノウハウの部分に触れるのは危険です。
ただ、僕はセミナーの内容を盗むつもりはなく、かえって宣伝しているつもりです。
さて、
オーナーが「大規模修繕のコスト削減に注目すべき」理由として、
以下の項目を挙げています。
・そもそも賃貸経営は儲かりにくい。
(満室でも赤字の例すらある)
・賃貸経営を中期で見れば「大規模修繕の工事」は避けて通れない。
・工事会社に50%以上の平均利益を「ぼったくられて」いる現実がある。
・だから、賃貸経営で利益をあげるためには「大規模修繕のコスト削減」が必須である。
「その通りだなー」と思います。同感ですね。
プロパティマネジメントとしても、必要な「考え方」だと思います。
では、「差しさわり」がない程度に、セミナーの内容に触れていきましょう。
まず、4時間のセミナーの2時間30分を「知識編」に充てています。
オーナーが工事会社とコストの面で渡り合うには「理論武装」が必要、
というワケです。
工事内容に「ある程度」は精通していないと、交渉できないのです。
ここの講義がマニアックですね。
たとえば「外壁塗装材料の種類」を説明する「くだり」があるのですが・・・・
そこで「下塗り材」や「上塗り材」の種類や特徴や利点をが語られます。
「上塗り材には、アクリル・ウレタン・シリコン・・・・・とあって、
それぞれ特徴はこうで・・・・長所と短所は・・・・」みたいな。
塗装職人のセミナーでなくオーナー向けセミナーですよ。
次に「外装塗装の工事項目」を説明しながら、見積書の見方の講義が続く、
といった具合です。
これが「防水工事」や「解体工事」「給排水設備交換工事」「電気設備工事」・・・
延々と続きます。
いやー、頭が疲れてきました。
お蔭で、修繕工事について「かなり」詳しくなりました。
(今までも、それなりに知ってるつもりでしたが・・・・)
その後も、「元請け業者」と「下請け業者」の、それぞれの立場や「彼ら」の考え方。
それぞれの利益構造や接し方など。
建築業界の裏話を聞いているようで面白いです。
これが延々と2時間30分。
では、
こんな専門的な基礎知識を「どう活かすのか」というと・・・・
たとえば、工事項目ごとの「相場観」を知るために必要になります。
それが分かれば「高い、安い」の判断がつきますね。
見積もりに応じている工事会社の「本気度」も分かります。
講義はさらに、エリア内の工事会社の探し方、
見積りの依頼の仕方、
そのときの業者の順序 など、
かなり詳細な説明が展開されていきます。
これらの基礎知識を蓄えたうえで、
見積もりを依頼する相手を見据えて、
しっかりと交渉して
コストを大幅にさげていくノウハウが語られるのです。
(うーん、もっと書きたいけど、これ以上は著作権にかかる・・・・)
これは、このセミナーのセールスレターにも書いてあったので隠さなくていいと思いますが、
50%以上の利益を、
たとえ10%以下に減らしてでも請け負ってもらう方法が「ミソ」になっています。
それだけに、簡単ではないし、相手も選ばなければならないでしょう。
渡り合うだけの知識が必要なのも頷けます。
さてさて、
今回の記事の主旨は、
このセミナーの内容を盗んで、皆さんに伝えようとするものではありません。
また、このセミナーに参加を呼び掛けるつもりもありません。
賃貸管理をする上で、オーナーに大規模修繕を提案することはありますね。
そのときに、工事会社を選定して発注したり、
工事の進捗をチェックする作業を真剣にやっていたら、
これらの知識と経験は「望めば手に入る」はずですから。
(望まずにやっていたら通り過ぎるだけです・・・・)
このマニアックなセミナーを受けて重要だな、と思ったのは、
「オーナーの収益に貢献したい」と考えるなら、
賃貸管理会社にとって、これも必要なノウハウです。
※驚いたことに、30人限定のこのセミナーの参加者のリピート率が80%ということです。
※ほとんどのオーナーが、「この講師の固定ファン」なのです。
今回のようなセミナーを日本中から聞きに来るオーナーは「ほんの一握り」です。
彼らは「あなた」のお客様ではありません。
あなたのオーナーは、
そんなに一所懸命に知識を得ようとしないし、
任せられるなら任せたいと、と考えているでしょう。
そのようなオーナーが99%です。
賃貸経営を中期で見れば「大規模修繕は避けて通れない」のは事実です。
賃貸経営で利益を稼ぐためには「大規模修繕のコストを削減」するのが効果的なことも事実です。
空室をなくすのも「もちろん」重要ですが、
このコスト削減は1000万円単位でオーナーに貢献できるケースもあるわけです。
そしてこの「ノウハウ」は、望めばあなたにも蓄積できます。
ちなみに、講師の小林氏は、
ご自分が購入した20年以上の賃貸マンションの大規模修繕工事で、
当初見積4000万を1500万に削減した事例を紹介していました。
「新築よりも高い家賃で貸せている」と言っていましたが、
その、ビフォーアフターの写真を見ると、
確かに、この部屋なら「新築より高く貸せるかも」というような出来栄えでした。
最後に・・・・
今回の提案は、
大規模修繕の提案によって、
自社で「たんまり」と儲けようと考えているなら難しい話ですね。
あるいは、
関連や親会社が工事会社で、
そちらに利益を供与するのが宿命づけられているケースも難しいですね。
純粋に賃貸管理会社として、
「オーナーの収益増に貢献しよう」と考えられるか、どうかですが、
これは会社の方針なので強要できるものではありません。
ただし、多くのオーナーは、
そのような「賃貸管理」を求めているはずです。