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客付け力として重要な『企画力』とは

客付け力は、「営業力より企画力が重要」というテーマの続きです。

あるオーナーに「当社に管理を任せて下さい」とアプローチしていたとします。
オーナーが「まず空室を埋めてほしい。埋めたら考える」と言ってくれました。
築18年 20m2 20世帯の1Kマンションで、募集中の部屋は5つあり、平均で6ヶ月空いたままです。
募集賃料は平均65,000円です。
「2ヶ月以内には埋める」と宣言しました。
貴方はどのように募集しますか?

これまでと変わらない条件で募集するなら「企画力ゼロ」です。
自社の「営業力」に余程の自信があるのですね。

この会社では「客付けのための企画提案」が四段階まで用意されています。
物件の競争力に応じて「どの段階のどの方法」を採用するかを判断します。

<第一段階 必ず提案するもの>

・賃料査定をする
近隣のライバル物件と比較した時の、この物件の「実力」をオーナーに正確に報告します。
平均6ヶ月も空いているので、募集賃料は「高すぎる」と予想されます。
ただし、賃料を下げるよりも、オーナーの希望する賃料で募集することを重視します。

例えば、この会社の査定額が60,000円だったとします。
オーナーの希望額(65,000円)と5,000円の差があります。
「毎月の支払金額5,000円」を条件に、金利3%で3年間の36回払いでローンを組むと約17万円が借りられます。
この予算なら、TV付きドアホンと浴室乾燥機を設置することも可能です。

60,000円に賃料を下げても、
設備等を追加して65,000円を維持しても、
オーナーの手取り(キャッシュフロー)は同じです。
(5,000円はローンの支払いで消えますから)

オーナーにどちらかを選択してもらうことになります。
(もちろん、65,000円案を強く薦めます)

「このまま何もしないで65,000円で募集して」というオーナーには、科学的データを用いて説得しなければなりません。
(ここでオーナーに負けてはダメです)

・業者バック
近隣の業者に「AD付き」で流します。
非管理物件の場合はオーナーから「契約事務手数料」をいただくようにします。
(でないと無報酬になりますから)

・案内図面を業者配布
案内図面は、この物件の魅力を最大限に訴えるために「定型」ではありません。
載せたい写真の枚数も位置も物件によって異なります。
物件によっては建物配置図を掲載することもあります。
また、枚数がB4サイズで2~3枚綴りになることもあります。

今回は、1枚目に概要、外観写真、配置図、間取図を載せました。
2枚目は、エントランスと室内の写真とコメント集です。
3枚目は、この物件を中心において近隣の施設を説明している案内図です。
この会社では「周辺マップ」と呼んでいて、主な施設は写真も掲載されています。

作成した案内図面は、過去「客付け」に実績のある業者に配布します。
配布方法は「訪問」が基本ですが「PDFファイルでメール送信」も併用します。
カラーで届けることを重視します。

この「第一段階」は、管理(あるいは専任募集)を依頼されたときは必ず行います。
特に「募集賃料に見合った物件」とすることが一番重要です。

ここまでの提案で「部屋が決められる」と確信できない場合は、次の段階の「アイデア」を検討します。

<第二段階 比較的多く提案するもの>

・モデルルーム化
テーブル、椅子、座卓、ラグ、スリッパ、玄関マット、照明器具、カーテン等の「家具類」をセットします。
マグカップなどの「小物類」も雰囲気を良くしてくれます。

・礼金敷金ゼロ
初期費用をなるべく少なくして、最小限度とします。さらに、

・定額入居パック
「5万円パック」とか「8万円パック」など、この金額だけで入居できる条件です。

例えば今回の物件を65,000円で募集するとします。
日割り賃料が15日分のとき入居時に必要なお金は、
手数料65,000円、保険料15,000円、保証料32,500円、日割り賃料32,500円で、
合計145,000円が必要になります。(消費税は計算していません)

「ゼロゼロ」と言っておきながら、賃料の3ヶ月分近くが必要になっています。
(問合せのお客様で、これを聞いた時に電話を切る方もいます)

これを「8万円だけで入居できる」という条件とするのです。
足りない65,000円はオーナーに負担していただきます。
つまりその分は「フリーレント」ということで最初の賃料からサービスしてもらいます。
お客様には「8万円あれば入居できる」という「分かり易さ」でアピールします。

・担当者バック
客付けしてくれた担当者に「お礼」をあげます。
2万円の商品券程度です。
もちろん業者の了解が必要です。

ここまで提案しても「不安」なら、さらにオーナー負担を強いることになります。
次の段階の「アイデア」を検討します。

<第三段階 オーナー負担の説得が必要なもの>

・フリーレント
最初の2~3ヶ月の賃料をサービスします。
「フリーレント」では一般の方に伝わりにくいので、「3ヶ月間は『家賃100円』」、のような表現を用いる事もあります。

・完全ゼロパック
「第二段階」の「定額入居パック」をさらに進めて、「支払いゼロで入居可能」の条件とします。
65,000円の物件に支払金額ゼロで入居して、当月末に最初の家賃を支払います。
実際には、契約時に翌月分を徴収するケースが多いですが。

上記の「フリーレント」と「完全ゼロパック」は、オーナーに負担いただく分は代わりません。
(賃料の2~3ヶ月分の負担です)

・3ヶ月間は「賃料100円」! (あるいは2ヶ月)
・支払い金額ゼロ円で入居できます!

どちらがお客様にアピールする力が強いか、で選択します。

ここで一言。

このようなアイディアを聞くと必ず、
「初期費用を負担できないような入居者を入れると、家賃滞納が心配」と言う方がいます。
僕は、「それとこれとは」分けて考えるべきだと思います。
「入居審査」をしっかり行わなければならないことは明白ですし。

昔、「携帯電話ゼロ円」という画期的なアイディアで、一気に携帯が普及したことがあります。
3~4万円の電話機を「タダ」で配っても、通話料で元が取れる発想で「大成功」しました。
そのとき、「タダでもらった人は通話料も払わないのでは」とは考えませんでした。
「携帯電話は欲しいけど、毎月の使用料が払えない」から携帯を持っていないのではなく、
多くの人は「きっかけ」がなかっただけなのです。

話を「第三段階」に戻しましょう。

・壁紙サービス
洋室の壁クロスの柄を、一面だけ選べるというサービスです。
賃貸住宅で使われているクロスは、ほとんどが白に近い無地で「個性」のないものが多いです。
四面のうち一面だけでもカラフルな色と模様のクロスに替えると、見違えるようになります。
それを入居者自身で選ぶことができます。
(選べる見本は選別しておきます)

この段階までくると、オーナーの負担が増えるので、説得が難しくなります。
そのときは、3~4年間の数値を示して説明してください。
最初に2~3ヶ月の犠牲を負担しても、3~4年間の総収入を見てみれば「ささいなもの」と理解してもらいましょう。

「そのように説明していますが、なかなか理解してくれないのです」と言う人もいますが、多くの場合は説明の仕方が「稚拙」なのです。
エクセルなどで分かりやすい「表」を準備して、「熱意」をもって説明してください。
「必ずオーナーのためになる」提案なのですから。

物件が「家賃に見合ったレベル」になっているなら、
ここまでの提案で「決まる」のではないでしょうか。
それでも不安なら、
あるいはオーナーが望むなら、
次の段階を検討します。

<第四段階>

・リニューアルの提案
こちらの詳細は「そのうち」のテーマといたします。

どんな商品でも同じですが、
「その価格に見合った価値がある」ことが大前提です。
賃貸物件の場合は「賃料を調整する」か、設備やリフォームによって「価値を上げる」ことになります。
新しく物件を預かるときは、必ず「この提案」を行って下さい。

この提案なしで物件を預かっても、「客付け」に苦労するだけです。
部屋を埋められなければ「評判を落とす」ことになります。

次に、
「価値に見合った」商品になっても、それだけでは売れるとは限りません。
売り方が問題です。
それを「企画力」と呼んでいます。

業界新聞等で、色々な企画案が成功事例(?)として紹介されていますね。
このメールマガジンでも、いくつか紹介しています。
それらの中から「これは」と感じるものを、実際に実行してみて下さい。
そして、社内に成功体験を積み上げていきましょう。
「我が社の客付けパック」のようなものを確立してください。

実績が積み重なれば自信になります。
オーナーにも「力強く」説明できるようになります。

この「客付け力」に自信があれば、
管理物件を増やすのは、そんなに難しくないのではないでしょうか。

「オーナーさん。●ヶ月以内に絶対に決めますよ」と言えるのですから。

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