「新井さん。管理物件を増やすのに、どうしたらいいの」
こう質問されることがあります。
もちろん「タダ」では教えませんが、心の中で、
「いま管理させてもらっている家主さんを満足させることですよ」
と訴えます。
皆さんは違うと思いますが、
「新規」ばかり追いかける、という傾向がありますね。
現場の「営業スタッフ」にも、「経営者」にも。
今日のテーマは、
『「新規」より「既存」を大切にしよう』 です。
トヨタのセールスマンで日本一の実績は、「年間400台」だったそうです。
ほとんどが“紹介”と“リピート”のお客様です。
第一生命の、当時は社長よりも年収を稼いでいた「おばちゃん」も、
そのほとんどが“紹介”と“リピート”のお客様です。
つまり「新規」を追っていない、のです。
※“紹介客”も“新規”に違いないけど、“既存客”から生まれたものですから。
「既存客を大切にする」とは、ふたつの見方があるのです。
「新規の管理物件」が欲しくて、そちらにばかり気を取られていますが、
大切にすべきは「既存の管理オーナー」です。
大切にすれば、その行為が「新規獲得」につながります。
だって、狭いエリアの中で、「管理に満足」しているオーナーがいたら、
その「想い」は広まらないワケがありません。
「そんな圧倒的な『満足』を得るのは無理だよ」と言うかもしれませんね。
実は「圧倒的」である必要はないのです。
ほんの少しの満足でも、人は誰かに語りたくなりますから。
とにかく、地域を限定して商売を続けるなら
「粗悪品」を売ってはいけません。
「満足いただく商品」を売り続けなければなりません。
一度ついた悪評は、なかなか消すことができません。
トヨタでもソニーでも、不祥事一発で商品が売れなくなるのを、
私たちは目の当たり(まのあたり)にしています。
そして、「既存のオーナーの満足」を目指すなら、
必然的に「品質の高い管理」が積み上がっているはずです。
今年、オーナーからの紹介で、どれだけ管理が増えたか、勘定してみてください。
この「紹介」の中には、「良い管理をしていると聞いたので」という、
噂を聞いて依頼してくれるような、言わば“間接的な紹介”も含めて良いと思います。
「既存客を大切にする」ことの意味として、もう一つの見方とは。
管理している「部屋当たりの売上」を増やす、ことです。
5万円の部屋の管理料は、5%として2,500円です。
このままにしておくと、家賃が下がる、稼働率が落ちる 等の原因で、
戸当たりの売上は減るばかり、です。
2,500円を3,000円に増やしたり、5,000円に倍増できないでしょうか。
27年前に初めて管理をしていた頃のエピソードですが、
当時の部長(あだ名は“鬼軍曹”)が、
「新井君。せっかく管理しているのだから、入居者に物を売ったらどうだい。油とか米とか、重くて運ぶのに困るものを売るんだよ」
と言っていました。
僕は、
「油なんて・・・・。しかも、米は食管法もあるし・・・・」
と言って「無視」していました。
もちろん、油や米は「例え」で言っているのは承知していましたが・・・・
「面倒な事を言うなぁ」と迷惑がっていたわけです。
当時は、新築物件の提案も好調だし、新規物件も今より楽に増やせたので、
会社としても、「それ」は優先順位の高いアイディアではなかったのでしょう。
実行に移されることはありませんでした。
現在、それを思い出していて、ハッとしたのは、『水』です。
当時は、日本で「水」を売るなどとは考えも及びませんでした。(さすがの鬼軍曹も) でも今は、皆が「当たり前に」買っています。
例え、放射能の心配がなくても・・・・
僕の家でも「ヤマトの宅急便」から定期的に購入しています。
(さすがに3月半ばは、「東北に持っていくので」と言って、届けてくれませんでしたが)
例えば管理物件の入居者に「水」を届けて、月1,000円の儲けがあるなら、
2,500円の売上は 3,500円になります。
これはひとつの例で、決して「水を売れ」とは言っているワケではありません。
「既存客」当たりの売上を増やす方が「新規」を追い求めるより、
先に取り組むべきだし、
比較的楽に売上が増えるはずだし、
結果「新規」の獲得にもつながります。
「賃貸管理」が「プロパティマネジメント」に進化できれば、
5%の管理料は 6%に上げられるかもしれません。
オーナーの収益が増えるなら可能だと思います。
「滞納保証」を管理メニューに加えたら、
管理駐車場の一部を「コインパーキング」で運営したら、
一部の管理物件を「サブリース」して、「シェアハウス」「マンスリー」を運営したら、
入居者に喜ばれるサービスを提供したら、
儲けさせてもらって、永く住んでもらえるかもしれません。
僕の「得だねッ情報」も、購入いただいている会社の数が100に近づきました。
現在いただいている価格としても、なかなかの収入になってきました。
でも、僕の野望は1,000社かもしれません。
もちろん、単価も上げたいと思っています。 価格=価値 ですから。
(あ、既存のお客様は“値上げ”しないので安心してください)
(それと、皆さんの「最寄駅」では、他の不動産会社には売りませんので)
※ 以上は、僕の「たわ言」と聞き流してください。
でも、「細かな売上」を積み上げていくと、会社を支える売上になることは事実です。
安定売上とは、そういうものだと思います。
そして、「既存客」を大切にしないで、「その実現」は不可能です。
いまの入居者、
いまのオーナー、
いまの「既存客」を、
大切にしてください。
「新規」は、後からついてくる、と思います。