Q. 50歳代のご夫婦の上階に自営の若いご夫婦が住んでいます。
部屋に戻るのが夜10時頃なので、騒音についての苦情がきています。
大家として、すぐに訪問して、気を付けるように言うべきでしょうか?
A. すぐに「若い夫婦」に注意するのは待ってください。
騒音の問題は、必ずしも「音の主」に原因や責任があるとは限りません。
苦情を申し出る人が「神経質」過ぎるのが原因の場合もあります。
安易に直接注意すると、入居者同士が険悪になり、
別のトラブルを誘発してしまう可能性もあります。
まずは「騒音への注意書き」を掲示板へ貼り出したり、
全室へポスティングして様子を見てみることです。
この行為で音が小さくなり、苦情が止むかもしれません。
(その後の確認はしっかり行う必要があります)
それでも苦情が続く場合は、現地で「音の診断」をする必要があります。
共同住宅には、「許容範囲内の音」と「許容範囲を超えた音」があります。
つまり「通常の生活音」は我慢しなければなりません。
しかし夜中に走り回るのは「通常」ではありません。
昼間だって、度を過ぎた夫婦喧嘩の声などは「通常」ではないでしょう。
この「音の診断」をする必要があります。
これをしないと「我慢すべきか」
「音を出さないように注意すべきか」の裁定を下すことができません。
これを「あやふや」なまま注意に出向くと、
余計なトラブルを招くことになってしまいます。
では、とうやって診断するか。
その時間帯に出向いて、実際に確認するのです。
タイミングが合わないときは、何回か出向くことになります。
その上で「裁定」を下します。
さて、ここまでは一般論でしたが、
今回は10時過ぎに帰宅した後の音が問題ですが、
料理を作る、テレビやオーディオを聞く、
風呂に入る等の行為を止めるわけにはいきません。
それが通常の音の範囲なら「我慢」していただくしかないでしょう。
しかし11時や12時以降なら極端に低い音にすることを
義務付けることは出来ます。
同じ音でも時間帯によって裁定は異なります。
また、洗濯機はどうでしょうか。
昼間にお願いすることは正当な要求でしょう。
カラオケや麻雀は「もっての外」ですね。
このように「通常」と「通常外」に選り分けて、
50代の夫婦に納得してもらいます。
「通常外」の音については、
もちろん若い夫婦に「注意」をお願いしますが、
「通常」の音についても
「夜10時過ぎの音については出来るだけご注意ください」
と付け加えましょう。
この他にも、建物の構造上の原因で音が響きやすい、
ということも考えられます。
この場合は、今後の賃貸経営に関係してくる問題なので、
防音工事で対応できないか、等を検討する必要があります。