被災地の管理会社を訪ねる
4月18日に、茨城県神栖市の賃貸管理会社さんを訪問してきました。
地震のときの「管理会社」の対応を取材するのが目的です。
こちらの管理会社は、僕が最初に賃貸管理に従事した、
埼玉県富士見市の「渡辺住研」の関連会社です。
(写真を見れば分かりますが「アパマンショップ」加盟店さんです)
20年ほど前に、鹿島市と神栖市に本拠をおいた管理会社としてスタートしました。
丁度、僕が退職するときと時期が一緒の頃なので、訪問したのは今回が初めてです。
昼過ぎに訪問した時は、3組のお客様がカウンターを占領していました。
作業服のスタッフの人が、忙しそうに出入りしています。
月曜日の昼過ぎなので、通常なら「繁盛してますね」と軽口をたたくところですが、
もちろん、そんな雰囲気ではありません。
「ただでさえ大変な時に、申し訳なかったなぁ」と思いました。
カウンターのお客様は、すべて管理物件の入居者さん達で、
被害に遭っていない物件へ移るために、物件の紹介や手続きをしているところでした。
まだ市内の半分くらいが「断水」のままです。
特に被害の大きなアパート群を2か所見せてもらいました。
車で走っているときに、空き地の中に「コンテナ」が置かれているのが見えたので、
「ハローコンテナ」のように、スペースを貸しているのかな、と思いました。
しかし、1個しか置いてないので、「なんで1個だけ?」と不思議でしたが、
そんな光景が何箇所か過ぎたあとに、目を見張る景色が飛び込んできました。
広い空地の「あちこち」に、コンテナが、「落っこちて」いるのです。
置いてあるのでなく、「落ちて」いる感じです。
まるで「コンテナの墓場」みたいに。
(驚きすぎて、写真を撮り損ねてしまいました)
地震の当日と翌日に、手分けして、全物件を見回ったそうです。
こちらの管理物件は1400戸です。
そのうちの28戸、約300戸が「傾き」ました。
すべて「入居不可」という判断をくだし、入居者さんに、他の管理物件へ移ることを勧めました。
家賃は、3月10日までの分を日割りで請求するようです。
店を空けていると、管理物件以外のお客さまも来店してくるのですが、
とても手が回らないので当初は「管理物件の入居者オンリー」としたそうです。
地域内の他の管理会社も同様でした。
入居者さんを現地まで案内したいのですが、ガソリンがないので案内できません。
物件案内図と地図と鍵を渡して、お客さま自身に見に行っていただきました。
気に入れば、契約書なしで「入居開始」です。
気に入らなければ別の物件の鍵を渡す、という繰り返しです。
当初は手数料もいただきませんでした。
オーナーさんにも、当初は賃料を30%ほど下げてもらうようにお願いしました。
落ち着きを取り戻したあとは、手数料については半月分をいただくことにしました。
「傾いた」アパートについては、
・ジャッキで持ち上げて復旧をはかる
・築年数の古い建物は取り壊す
という選択肢があります。
「ジャッキで持ち上げる」という方法は根本的な解決にはなりません。
また大きな地震があれば「傾いてしまう」可能性があります。
しかし、「土壌改良」などの方法では費用がかかりすぎて、経営的に採算が合わないでしょう。
取り壊さないでアパート経営を続けるなら、その方法が一番現実的なようです。
その工事も、業者が不足していて、正式な見積もりも出ていない状況です。
(普通の戸建で80万円くらいだったそうです。)
こちらの管理会社の短期的な問題を伺うと、
まず、管理料収入は3〜4割ダウンとなります。
仲介手数料は、管理物件の空室がなくなると紹介する物件がありませんので、ほとんど望めません。
しかし、仕事の量は膨大に残っています。
1000戸以上の、大きな被害を受けなかった建物にもダメージはありますから、
今後の点検と小修理に多くの時間が費やされるでしょう。
「傾いた」アパートの復旧の手当てもあります。
経営的には「厳しい」ですね。
私たちの仕事の目的は、「賃貸経営するオーナーの目的を達成すること」です。
オーナーはそのために、「テナントに快適に過ごしてもらう」必要があります。
必然的に、それは私たちの「目的」にもなります。
今回のような大災害で、管理物件のテナントが「住む場所を失う」ような事態になったとき、
私たちの責任(というか、果たせる役割)は大きいと、つくづく感じました。
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