前回は、「連帯保証会社」を使うメリットとリスクを考えました。
「連帯保証会社」を使うメリットも、確かに多いです。
しかしオーナーや管理会社にとってリスクもあります。
オーナーのリスクを軽減する必要がある、と訴えさせていただきました。
「火災や自殺等による損害」が担保されていない。
「保証会社の倒産」や「事業を投げ出される」リスクもあります。
管理会社が被るリスクで大きいのは、社内に「督促の技術が廃れてしまう」ことです。
賃貸管理会社にとって「督促技術」は「無くしてはならない」と思うのです。
前回の最後に「連帯保証会社が『正しく督促しているか』を見極めたい」と言いました。
正しい督促とは何でしょうか?
答えを言いますと、
オーナーと管理会社にとって借主は「お客さま」です。
家賃を滞納していようと「お客様」です。
そして滞納している借主の周りにも、将来の「お客さま」がいらっしゃいます。
「保証会社」はその原則を理解していません。
「行き過ぎた督促」をすると、世間の評判というものもあります。
特にインターネットの発達によって、誰でも世間に「発信」できる道具を手にしています。
ただ、「家賃を回収」したり「追い出し」たりすれば良いのではありません。
もうひとつ、滞納しているからといって「追い出し」ても、
次の入居者が見つからない、という事情もあります。
面倒な督促をしながらでも、家賃を徴収した方が「得策」ということもあります。
プロパティマネジメントとしては、そこも考えなければなりません。
ところが、連帯保証会社にとって「滞納者」は、ほうっておけば自社に損害を与える「相手」となります。
その担当者にしてみれば、自分の仕事を増やす「厄介な奴」と映ります。
「お客さま」ではないので、見方が全然違います。
だから、現地に行って感情的な振る舞いをするとか、
事務的に、すぐに法的手続きを開始する、というのは、
賃貸経営から見たら「正しい督促」ではありません。
実際に督促作業をすると分りますが、
滞納している借主には高圧的に出るより、
「話をじっくり聞く」という姿勢で接した方が解決する事が多いものです。
連帯保証人を味方にしたいなら、上から物を言ってはいけません。
もちろん例外的な借主はいます。
その手の借主は早期に判断して、別の「督促管理」に移行します。
その辺の判断も経験が物を言う、のです。
「滞納賃料の督促」は、オーナーの収益(キャッシュフロー)を増やす目的で行います。
決して、相手を憎んで「叩きのめす」ことが目的ではありません。
それをしたら「しっぺ返し」を食らいます。
今日、家賃を支払えない人が、永遠にそういう境遇ではありません。
いつかは立ち直って「家を購入する」立場に返り咲く、かもしれません。
「追い出し屋」と呼ばれた連中は、それを勘違いしたのでしょう。
自分が「強い力を持った」とでも思ったのでしょうか。
そして「連帯保証会社」にも、同様の危惧を感じます。
そこをチェックしたい、のです。
督促の実務として、ほとんど現地に行かない保証会社もあるらしい、、、ですね。
現地に行かないで、どうやって「話し合う」のでしょうか。
それでは、文書による督促と、早めの「法的手続き」しか方法はありません。
「うまく行った」として、半年後に「明け渡し」が実現される、だけです。
オーナーはその間の賃料は保証されますが、
そのあとは募集で苦労するかもしれませんし、
賃料を下げなければならないかもしれません。
「追い出された人」の怨念も残りますし・・・・・・。
「滞納している借主」に対する立場が、
オーナー(管理会社も)と保証会社で異なるので難しい問題です。
難しいので100%とはいきませんが、
保証会社を選ぶときの「判断基準」になります。
「審査がゆるい」とか「早い」とか、
「親会社が大きい」とか、
「仲良しの管理会社が使っているから」とか、
それも選択する条件のひとつに違いないかもしれませんが、
「督促のプロ」であることも大切な要素だと思います。
※「ナニワ金融道」や「ミナミの帝王」が「督促のプロ」と言っているのではありません(笑)。
この問題は、自分が現場にいたら、
自社で「保証会社」を立ち上げるか、
保証会社を使わない、という選択をしているかもしれませんね。
僕としては、「管理が1000戸を超えたら自前の保証会社」という考えが捨てきれません。
せっかく、「借主が賃料の50%を負担する慣習」が、この10年で出来上がったのですから。