前回は、オーナーに毎月届ける報告書のうち、
「家賃の収支報告書」と「定期巡回点検報告書」について書きました。
今回は、残されたもうひとつの報告書です。
それは「空室報告書」です。
「空室報告書」とは、「リーシング状況報告書」と名付けてもいいでしょう。
いま空いている部屋の、入居募集に関する活動と結果を、オーナーに報告する書類です。
「空いている部屋の報告だって!? そんな事したら余計に怒られちゃうよ」
「報告書作ってるヒマがあるなら、早く部屋決めろ!って言われちゃう」
こんな心配な声が聞こえてきそうです。
この報告書は、空室がなければ作成する必要はありません(当たり前!)。
空室が少なければ、作成の手間も少なくなります。
でも、空室が多いと忙しくなります。
ある部屋の「空室報告書」を作成しよう、としました。
目を閉じて、この1カ月間のことを思い浮かべたりしましたが、何も書くことがありません。
よく考えたら、
この1カ月間に、内見が1件も発生していません。
この1カ月間に、掃除や空気の入れ替えに行っていません。
この1カ月間に、社内の誰も現地に行っていなかったのです。
これでは報告書が書けませんね。
って言うより、部屋が決まるわけがありませんね。
空いている部屋の報告書を作ろうとすれば、それでは困るはずです。
「内見が1件も無し」とか「部屋がほったらかし」などと報告できるはずありません。
ウソももちろん「ご法度」です。
そこで、担当者は、「空室報告書」に書ける行動を取ろうとするでしょう。
結果的に、部屋が決まる方向に力が注がれるいくことになります。
もちろん、報告書がなくても、常にこのような行動を取るべきのです。
それに越したことはありません。
「空室報告書」のもうひとつの利点は、「オーナーへの提案のキッカケ」です。
この書類には「内見の回数」だけでなく、「申し込まなかったお客様の理由」も報告されます。
私たちが案内した時に、お客様に尋ねるのはもちろんですが、
客付け業者にも聞くようににしてください。
(教育されていない他業者の営業さんだと、「聞いてません」の答えが多いと思いますが・・・)
定期的に、部屋を点検し、
業者にも図面を配り、
ネットにも「分かりやすく」掲載し、
その結果、何件かの内見が実施されました。
それなのに決まらない理由は、お客様からのアンケートから○○○にあると思われます。
だから○○○しましょう!
、と言うような説得材料になります。
「空室報告書」の作成が3回目を迎えたら、アクションを起こしましょう。
「空室対策」というものは、私たちが一所懸命になっても、
オーナーの理解と協力が得られないと難しいです。
この報告書は、その両面に効果があるはずです。
「空室報告書」の内容は、
・リーシング活動の報告(ネット・看板・その他の広告媒体の利用状況)
・リーシング活動の写真(証拠みたいなものですね)
・内見客のアンケート
・近隣のライバル物件の情報
・空室対策の提案
などです。
以上、
プロパティマネジメントとしては、
「賃料の収支報告書」
「定期巡回点検報告書」
「空室報告書」
の、「3つの報告書」は準備したいところです。
しかし、それぞれの報告書は、目的があって作られています。
作成することが「目的」ではありません。
もし、この面倒な作業を始めるなら、
これらの報告書が「目的」を達成するための有効な「手段」とならなければ、
時間の無駄遣いになります。
その意味も分からずに「ただ決まりだから」という理由で作成するぐらいなら、
その時間で空室の掃除をした方が「まし」です。
始めるときは、「手段」と「目標」と「目的」を、担当者が明確に理解したうえで取り組んでください。
その目的のひとつとは、
「オーナーが、賃貸経営において得られる収益の最大化」です。