ルイ・ヴィトンのバッグを欲しがっている、
AさんとBさんがいました。
Aさんは丈夫で長持ちするバックが望みです。
1~2万円のバッグを毎年のように買い換えるなら、
高価でも何十年も使えるバッグが欲しいのです。
そのためには、丈夫で、いつでも直してくれて、
デザインの古くならないバッグが必要です。
Bさんは、友達に自慢できるバッグが望みです。
そのためには、高価であり、希少性があり、
それを誰もが知っている事が必要です。
二人にとってルイ・ヴィトンのバッグは、
その条件を備えているように思えました。
さて、
僕がルイ・ヴィトンのバッグのセールス担当だったとします。
丈夫さを求めているAさんに対して、
ルイ・ヴィトンの希少性や「友達に自慢できる」優位性を訴えたら、
Aさんはどう感じるでしょうか。
きっとAさんは、
そのセールストークに心を動かされないと思います。
友達に自慢したいBさんに対して、
ルイ・ヴィトンの歴史や丈夫さを訴えたら、
Bさんはどう感じるでしょうか。
同じように、心を動かすことはないでしょう。
その理由は、二人がルイ・ヴィトンのバッグに求めている
「利点」が異なっているのに、
僕がそれを、適切に説明できていないからです。
「利点」とは、「メリット」と言い換えてもいいでしょう。
つまり、
企業が商品を通じて顧客に提供しようとする「便益」のことです。
この「利点=メリット」は、
同じ商品であっても、顧客によって、
感じ方がそれぞれに違う、のです。
誰もが、「コンビニが1階の賃貸マンション」に
魅力を感じるわけではありません。
それを嫌う人もいます。
小さなお子さんのいるファミリー世帯にとって、
「駅前立地」は必ずしも利点とはなりません。
自分の商品(仲介したい物件や賃貸管理業務など)を説明するときに、
相手が感じるであろう「利点」に焦点を当ててみると、
説得力が生まれます。
さて、「駅から徒歩5分」の物件があったとします。
「駅から5分」は「利点」でしょうか。
(答えを出してから下を読み進めてください)
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「駅から5分」は「利点」ではありません。
駅から5分の家に住むことによって、
・朝 ゆっくりできる
・遅くなったときにタクシーを使わないで済む
・同じ時間に家を出て始発電車に乗れる
ことが「利点」です。
だから、利点は、人によって異なる、のですね。
「来店客が毎月100組ある」ことは、
オーナーにとって「利点」でしょうか。
・それによってオーナーの部屋が決まる
ことが「利点」です。
なので、そのように言い換えた方が伝わるでしょう。
「24時間受付の賃貸管理」がオーナーにもたらす利点は?
・それが「テナントリテンション」※ につながる
・それによって入居率が高く維持できる
・キャッシュフローが安定する
ことが「利点」です。
「毎週の日常清掃」も
「毎月の定期巡回点検」も
「リフォーム提案」も
すべて、「オーナーに、どんな利点をもたらすか」、
という観点から説明されることが大切です。
このように考えると、
私たちはお客様に「利点」をうまく説明できているか、
もう一度、再点検したほうがいいかもしれませんね。
セールスポイントを並べているつもりで、
単に、「自慢話」をしていたかもしれませんから。
前回、USPを持つことが大切、という記事を書きました。
繰り返しになりますが、
USP(ユニーク・セリング・プロポジション)とは、
「どうしてあなたが他と比べて特別なのか」
「どうしてあなたの会社は、他の管理会社よりもオーナーの役に立てるのか」
といった質問に対する明確な答えです。
お客様に感じてもらえる当社(あなた)のUSPを効果的に表現するには、
「お客様にもたらす利点」を一つか二つ入れることがポイントです。