「家賃督促規制法」が参議院で可決 来年の5月〜6月には施行か
   
 
 本誌で何度かお知らせしている「家賃督促規制法」(仮称)が、4月21日に参議員本会議で賛成228、反対ゼロの全会一致で可決されました。

法案は今後 衆議院に送られて、6月16日までの通常国会会期中に成立するとみられています。
この法案は公布後1年以内に施行するとしているので、国交省は来年の5月〜6月頃の施行を予定しているようです。

 これに先立って、4月15日に参議院の国土交通委員会で審議が行われ、不当な取り立て等を規制する61条の範囲など、家主や管理会社にとっても影響の大きい条文に関する質問が相次いだので、いくつか紹介いたします。

 問題になった61条とは次の通りです。
 「家賃の取立てに当たっては、人を威迫し、人の私生活の平穏を害するような言動をしてはならない。」(途中略)

質問 『威迫』に当たる行為を具体的に説明して欲しい。

回答 2人での督促は威迫に該当しないが、多人数で押しかけて行って、殴る・蹴るのそぶりをするなど荒々しい行為、暴力的な態度を示すことなどが該当する(馬淵副大臣)。

質問 条文に『はり紙』とあるが、すべて違反なのか。

回答 事務的な連絡として「家賃滞納について連絡ください」という大家さんの連絡程度は許容されるが、「あらゆる強制手段を行使する」「どうなっても知らないぞ」というものは許されない(馬淵副大臣)。

質問 督促の不適切な時間帯とは?

回答 今後、パブリックコメント(意見公募手続のこと)を実施し、個人家主が混乱しないよう配慮するが、現時点では夜22時から朝6時までの間を検討している(馬淵副大臣)。

質問 勤務先への電話は禁止か?

回答 法案には規定していない(馬淵副大臣)。

質問 裁判での明け渡し手続きは現状では時間が長く、家主の費用負担が重い。司法制度を短期間で円滑にできるよう改善することはできないか。

回答 平成20年の審理にかかった平均期間は、民事訴訟全体で6.5ヶ月。このうち建物明け渡し関係は3.6ヶ月なのでかなり短い。今後もできる限り短期間で円滑にできるよう努める(加藤公一法務副大臣)。


 回答を聞いていると、かなり緩く適用されるように思えますが、法律は施行されると一人歩きするところがあります。滞納者が「威迫された」と思えば訴えられますし、その判断を下すのは裁判官ですから、最終的な条文・省令を吟味して、督促の現場では細心の注意が必要になってきます。なんと言っても、最悪は「家主の禁固刑」という事態があり得る法律ですから。

 この法案に反対している家主組織として、大阪リアルオーナー共同組合がホームページを立ち上げました。ホームページアドレスは、www.oro-chintaimondai.net です。ご覧になってみてください。