アスベスト調査と耐震診断の説明始まる
   
 
4月24日から、賃貸物件を入居希望者に説明するときに、「アスベスト使用調査の有無」と「耐震診断実施の有無」について説明することが、不動産業者に義務づけられました。どのように説明すればよいのか、国交省から発表されましたので、ごく簡単にお知らせいたします。

 まずこれは、不動産業者に課せられた義務で、オーナーの義務ではありません。ほとんどのオーナーさんが入居者探しを不動産業者に依頼されていますので、間接的にオーナーの賃貸住宅経営に影響します。
 まずアスベストですが、オーナーご所有の賃貸建物の建材に、アスベストが含まれたものが使用されているか、その調査を行ったかを説明します。未調査ならば「無し」と説明して、それで終わりです(それによって入居希望者が申込みを取りやめる事が、あり得るかもしれませんが)。

 アスベスト使用の有無の調査結果の記録が保存されているときは、「その内容」として、調査の実施機関、調査の範囲、調査年月日、アスベスト使用の箇所を説明することになります。実際にアスベスト含有建材が使用されていることが調査結果によって分かったときは、「ではどう対処するか」を説明しないと入居希望者は納得しないでしょう。前号で詳しく報じたとおり、それが「吹きつけアスベスト(もしくは含有のもの)」で露出しているなら、危険度が高いので削除した方がよいでしょう。成形板のように接着剤で固められたものなら、飛散の可能性が低いことを伝え、もし老朽によって壊れそうな時期には撤去する旨を説明することになると思います。

 つぎに耐震診断ですが、オーナーご所有の賃貸建物が、昭和56年6月1日以前に建築確認を受けた場合に、診断を行ったか説明しなければなりません。築年数が約25年の建物ということになります。該当するかどうかの判断は、建築確認済証か検査済証に記載されている確認済証交付年月日の日付によります。それらの書類が紛失している場合は、建物登記簿に記載された表示登記日で判断します。そのときは工事期間を考慮する必要があるので、居住用建物なら昭和56年12月31日以前、事業用建物なら昭和58年5月31日より前かどうかで判断します。完成年月日が微妙なオーナーさんは、お調べになるとよいでしょう。

 耐震性については、昭和56年の耐震基準の見直しによって、その前と後では強度に大きな差があるようですから、人命を預かる建物の供給者としては、診断をしておきたいところです。木造建物の診断ならば無料でやってくれる業者もあるようです。その際は不良リフォーム業者にお気をつけください。まともな業者なら、平面図を基に現地で時間をかけて、地盤・基礎・土台・建物の形・壁の配置と割合・筋交い等を調べ、診断結果として提出するはずです。もし補強をする場合でも、必要なことを効果的に最小資金でできるよう、業者に説明を求めて工事依頼するようにしてください。