「オーナーに増税」特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入
   
 
 賃貸住宅を個人所得として申告されているオーナーには関係ありませんが、法人として経営されているオーナーには増税の話です。法人が「特殊支配同族会社」に該当すると、社長(オーナー)の役員年間報酬が1000万円の場合、最高で90万円の大増税となります。

 まず、どんな場合に「特殊支配同族会社」に該当するかというと、『主宰役員(社長)と同族関係者の持ち株合計が90%以上で、かつ常勤の役員が過半数を占める同族会社』となっています。不動産オーナーの法人の場合は該当するケースが多いのではないでしょうか。

 法人から個人への役員報酬や給与には、一定の所得控除があります。この『給与所得控除』の額が、法人税の課税所得に加算されるという仕組みです。その分、法人税が増税となります。先ほどの年収1000万円の例を具体的に計算しますと、まず給与所得控除の額が、『1000万×5%+170万=220万』となり、その220万が法人の課税所得にプラスされます。法人税率41%とすれば、90万2000円の増税負担となります(一定の要件の中小企業は31%ですが)。

 この増税を回避する対応策は、基本的には特殊支配同族会社に該当しないようにすることなので、まず考えられるのは、10%以上の株式を同族外の人に持ってもらう方法です。同族の間で行われている会社経営に対し、中立な意見・発言ができる立場の株主であることが条件になります。また、常勤役員の半数以上が同族外となるようにする方法も考えられます。

 ただし、従業員や親族等の関係者を補充しても認められません。つまり、同族グループの経営権に対し、はっきりと主張できて、場合によっては経営方針に反対の立場を取ることのでき得る人が半数以上を占めないと認められないということです。同族会社にとってこの条件は厳しいですね。

 いずれにしても、租税回避行為として否認されないように実態を伴った対応策が必要なので、税理士さんに相談されてください。

 また、「直前3年間の法人所得と社長年俸の合計が、平均800万を下回る場合は適用除外」となることから、今期の社長役員報酬を逆算して減じる、という方法も考えられます。適用除外としてもうひとつ、「直前3年間の法人所得と社長年俸の合計が平均3000万を下回り、かつ、社長年俸がその50%以下の場合」というものがあります。
 この改正は本年4月以降開始する事業年度から適用されました。対策は次の決算日までにとることが条件となります。