リクルートが発表した「入居者ニーズ」アンケート
   
 
住宅情報賃貸版フォレント(リクルート)と、21C住環境研究会が賃貸住宅契約者の単身者627人を対象に、設備・仕様のニーズに関するアンケートを行いました。それぞれの設備について、
@絶対に必要な条件
A賃料次第では必要な条件
B賃料アップするなら不必要
C全くニーズなし
の中から回答させたものです。

まず、エアコン、ガスコンロ、バス・トイレ別などは、部屋を選ぶ際に「@絶対条件」と「A賃料次第」と答えた人を合わせると60%を超える結果となりました。単身入居者からすれば、もはや「あって当然」というレベルになりつつあるようです。一方で、単身世帯の入居者にそれほど重視されていない設備はバリアフリー、床暖房、IHヒーターなどです。理由として、自分が生まれ育った実家で使用していなかった設備は、賃貸住宅に求める優先順位が低いという事情が考えられます。また、賃料との兼ね合いを考えると、必ずしも無ければならない設備ではない、ということが予想されます。

近年注目を集めている設備はどうでしょうか。@とAを合わせた数字で検討してみましょう。
浴室乾燥機は27.3%、宅配ロッカーは23.3%、洗浄機能つきトイレは18.5%、ディンプルキー46.1%でした。セキュリティーに対する関心が高まっている今、ディンプルキーはかなり高い支持を得ています。このほかの設備は「あれば便利」ということだと思われます。物件の差別化を図るならば、このあたりの設備を導入するのが効果的のようです。
意外と支持率が低かったのがデザイナーズ物件。「B賃料アップなら不必要」との回答が87.7%と、実に9割近くに達しています。賃料とデザインを天秤にかけたとき、当然に賃料の方に重きを置くというわけです。同じ質問に対して2人以上の世帯の回答者もBが87.2%となっています。設備を導入する際には、入居者が賃料との兼ね合いをどう見ているかを考えることが大切です。「B賃料アップなら不必要」と考えている設備の場合は、導入しても賃料に上乗せするのは難しいでしょう。

設備・仕様に対するニーズはどのように変化してきたのでしょうか。
「@絶対条件」と「A賃料次第」を足した数字を見てみると、バス・トイレ別は、1996年には56.2%だったのに対し2003年には64.4%となりました。近年の単身者向け新築物件は、ほとんどがバス・トイレ別です。もはや3点ユニットは入居者のニーズからかけ離れていることを数字は物語っています。

ガスコンロの人気も上昇中です。96年は59.4%だったのに対し、03年には67.8%まで上昇しました。自炊をする単身世帯にとっては、ガスコンロが必須ということです。
ペット可物件の人気も高まりつつあります。96年の25.9%から03年には30%まで上がりました。単身世帯でもペットの飼育を希望する人が増加しているのです。
一方、ほとんどニーズに変化のないのが宅配ロッカーです。96年22.2%、99年19.5%、03年23.3%と、ほとんど変わっていません。追い焚き機能つき風呂も同様です。96年27.4%、99年31.3%、03年28.9%と、常に3割近くを推移しています。単身世帯の場合は、そもそも追い焚き機能自体の必要性が低いという理由でしょう。「追い焚き」は、ファミリー世帯のアンケートでは72%が「@絶対条件」「A賃料次第」と答えています。

入居者の賃料に対する感覚はシビアです。賃料と設備面の兼ね合いを図るには、入居者のニーズを把握することが第一歩となります。