借り主負担特約は無効 施行後更新で消契法適用 〜京都地裁〜  
 

 賃貸マンションの解約時にクロスの汚れなどの自然損耗分の原状回復費用を借主に負担させる特約を理由に、敷金を返還しないのは違法として、京都市南区の女性が家主に敷金20万円の返還を求めた訴訟の判決が3月16日、京都地裁でありました。
田中義則裁判官は消費者契約法を適用して「特約は借主の利益を一方的に害しており、無効」と原告の訴えを認め、全額の返還を命じました。
敷金返還訴訟は各地で起こされていますが、原告側の京都敷金保証金弁護団によると、2001年4月施行の消費者契約法に基づき原状回復特約を無効と認めた判決は全国でも珍しい、とのことです。

 判決によると、女性は1998年に京都市伏見区のマンションの賃貸契約を締結。解約の際、家主は原状回復特約を理由に敷金を返しませんでした。
原告側は「特約は(同法が定める)消費者に不当な契約条項に当たる」と主張しました。家主側は「特約は同法施行前に締結され、法の適用はない」と反論していました。
田中裁判官は、同法施行後の2001年7月に契約の更新に合意しており適用できる、と判断、その上で「借主は原状回復費用の予想が難しく、交渉力を持たないが、貸主は費用を契約の条件にすることができる。費用を負担させるのは、情報力と交渉力に劣る借主の利益を一方的に害する」と指摘しました。

  同弁護団は「特約を理由に敷金を返さない家主が多く、賃貸住宅事情に与える影響は大きい。施行前に結んだ契約にまで消費者契約法の適用の幅を広げた点も画期的」と評価している。
今後に大きな影響を与える極めて重要な判決です。