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「空き室対策について」B<ブロードバンド編>


司会 前回は「空き室対策」に必要な設備の中で「防犯」についてお話をいただきました。そのほかにどんな設備がありますか?

G ぼくは、ブロードバンドっていうのが、いまいち分からないです。インターネットが繋がる設備、ということは分かるんですけど。

A それは高速でつながる設備のことでしょう。光ファイバーやADSLやケーブルTVという通信方法をそう言うのだと思います。

G うちはISDNとかいう電話回線を使ってるけど、それはブロードバンドとは言わない?

A そうですね。電話やISDNを利用した方法はナローバンド、と言って区別しているようです。

G どこが違うのかなぁ。

M 映像などの大容量のものがインターネットで見られるようになるのが大きな違いです。たとえば我々の空き室をインターネットに掲示するときも、ちょっと前は写真や間取図があると、なかなか画像が表れなかったものです。いまは通信速度が速くなったお陰で、写真を5〜6枚載せたり、ビデオで撮影した映像を見せることもできるようになりました。これからはもっと凝った映像で空き室を紹介することができるようになるのではないでしょうか。

D そのブロードバンドの普及率はどれくらいでしょうかね。

M 2006年2月の白書によると普及率は41.4%です。これをあと3年で100%にすると総務省は計画していますから、急ピッチで進むのでしょうね。

D ああ、「ユビキタス」ですね。

G 「ユビキタス」?何ですか。

M 総務省が進めている政策で「ユビキタスネットジャパン」と言います。これは3年後の2010年には国民のすべてが高速、または超高速通信を利用できる環境を整えるということです。

G 国民のすべてって・・。それじゃ我々の賃貸住宅も2010年までにはブロードバンドになるわけですか?

A 総務省がお金を出してやってくれるわけではないですから、そうしないと取り残されてしまう、ということでしょう。ところでMさんが先ほど、高速と超高速と仰いましたが、その区別は何ですか?

M 明確な定義はないのですが、一般的にはADSLやVDSLやケーブルTVなどを利用した通信環境が高速回線と言われ、光ファイバーを超高速回線と呼んでいます。

A ブロードバンドと言われる中でも違うのですね。ぼくの賃貸住宅に6世帯の小規模物件がありますが、NTTが無料工事をやってくれないので光ファイバーが導入されていないのです。

M 以前は10戸以上が無料施工の対象でしたからね。今ではさらに大規模の集合住宅のみ無料で工事を行っているようです。

G 小規模物件はどうすればいいの?

M 方法としてはNTTなどに依頼するか、専門会社に頼む形になりますね。いずれにしても有料ですし、各社によってサービスや料金が異なります。例えばブロードバンド化のための設備をリースできるところもありますし、設備導入後、インターネットを利用する通信費が1戸あたり1000円と安価なところもあります。

最近はVOD(ビデオオンデマンド)と言ってインターネット上で映画などが好きなときに見られるビデオレンタルサービスや、ネットを利用した防犯カメラなどのセキュリティ商品を取り扱う会社も出てきましたから、設備というハードだけでなくソフト部分も大切ですね。

G そんな便利なサービスが、ブロードバンドが整っていないと利用できないとなると問題だね。普及率が40%台ならいいけど3〜4年で100%近くなるなら、どこかで考えなきゃならないね。

賃貸住宅が、どこかの会社のブロードバンドサービスを導入するとして、どんな形態があるのでしょうか。

M それには、各戸加入型と全戸加入型の2種類があります。各戸加入型とは、入居者自身がインターネット接続サービスに加入するものです。現在のマンションは大半がこのタイプです。

それに対し全戸加入型とは入居の有無にかかわらずすべての部屋にあらかじめサービスが導入されているものです。各戸加入型より一部屋当たりの利用料金が安くなる場合が多いです。私たちが料金を負担すれば「インターネット無料マンション」として宣伝することができます。「インターネット使いたい放題」とかね。

G またまた経費がかかる話だね。高速なインターネットは使えた方が有利でしょうが、ぼくは利用料金は入居者負担でいいと思うな。

D そこは経営方針なので、色々考えがあると思いますが、いまの話で思い出したのは、北海道のぼくの友人のことです。20戸のマンションに全戸加入型のインターネット接続サービスを導入したのです。入居者には月々2000円でインターネット使い放題サービスとして提供しています。10人の入居者が加入しているので収入は2万円ですが、友人自身が費用としてかかるランニングコストは1万円弱なので、毎月収入が得られている、と言ってました。

G えっ。儲かるんですか?
・・・・それなら、考えないこともないけど。

M まあ、会社によってサービスや料金が異なるので、私たちが儲けられるかどうかは慎重に判断しないとなりませんが、競争力が増すのは間違いないですね。
あとは、かける費用に見合った効果があるかの判断が経営者として大事なところです。

司会 仲介会社によりますと、入居者のブロードバンド設備への需要が高まっている、という話は頻繁に聞きます。とくに学生は、就職活動で利用するので利用頻度が高いわけです。単身者向けのアンケートで、部屋探しの際に絶対条件と考える設備の1位にブロードバンド対応が選ばれたことからも分かります。

 2010年まではあと3年。高速、超高速インターネット回線が日本中にいきわたったことによる実際の効果は見えない部分も多いですが、確かに、これからの賃貸住宅に必要な設備のひとつと言えるのではないでしょうか。


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